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少女編 第十話

おひさしぶりです。


ワンパターンではありますがお待ちいただいている方々のために書き上げました。

お楽しみいただければ幸いです。


 超人外交官である父上の力をもってしても、タンジャッテ神聖国への姉上訪問は阻止できなかったのです。

 というか、すでに一号機を輸出しているので、向こうさんの宗教的に取り込まれているのです。

 まぁその実例があるからこそ、ツヴァイを回したようなものですが。

 ともあれ、タンジャッテ神聖国へやってきた私と姉上ですが、国境線を越えてから驚きの連続でした。


 姉上が女神扱いなのは平常運転なのですが、王国の悪魔とまで言われた私が「天使」扱いなのです。

 あのくされマゾどもと同じ扱いとは、と怒りを燃やした私ですが、一応姉上のとりなしがあったのでスルーしておきました。


 で


 王宮での歓迎レセプションがあったのですが、見事なまでに女性ばかり。

 目には「ボーデスよこせ」「魔法少女したい」と輝くばかりに語っているわけで。

 ああ、この国も女房連中が強いのですねぇ、うんうん。

 そんな関心とともに、案内されたのは王宮内に新設されたと思しい神殿。

 女人宮という、王族ですら男子禁制の建物だそうです。


 これで姉上への婚礼外交であるという疑いが消えました。


 ここで行われるのが魔道の深遠の伝授というのですから、業の深い話だと思うのですよ。

 ともあれ、到着その日から魔法少女ブートキャンプが開始され、促成魔法少女達が形成され始めたのでした。


 ちなみに、姉上はどんなに頑張っても魔法少女になれません。

 なぜならば、神界の過半数を占める信仰力の鋳型効果で体型が固定されているからです。

 ちょっと太るとか痩せるとかはありなのですが、それ以上の変化は世界が許さない、そんな感じなのです。

 よかったですねぇ、姉上。


「よかないわよ!!」


 魂からの絶叫なのですが、誰も本気にしてくれない可哀そうな姉上なのでした。


 なーむー。




 促成魔法少女一期生が出荷されると、それはそれは盛大なパーティーが開かれたのですが、姉上と私は女性達のガードの輪の中にいました。

 これはどんなに禁止しても結婚外交へ持って行きたい貴族やら皇族が多いので、物理的に遮断しているそうです。

 この国の女性からすると、この国の男性は「アホ」バカリなので、いくら警戒してもしたりないそうです。

 そうですが、ということは、今天井に張り付いているバカは撃墜していいと?


「「「「「え?」」」」」


 全員で見る先には、口にバラをくわえた貴族風の男が数人ぶら下がって、徐々に近づいてきているのがわかります。


「「「「「ひぃぃぃ」」」」」


 驚きで身をすくませる女性達の前に私がでると、おお、とうれしそうに顔をゆるませたおっさん達。

 天井から近づくアホと正面のアホ。

 やつらには恐怖を刻みつけなければなりません。


 というわけで


 懐のホールディングポシェットから取り出すのは一対のマシンガン。

 そー、マシンガン。

 射撃を目的としたものではなく、銃弾による面制圧を目的とした武器、のレプリカ。

 射出されるのはもちろんBB弾。

 ただし、中身の付加はいつも通りにあらず。


 ぱららららららららららら!!!


 弾に当たった天井紳士(へんたい)は地にまみれ、地上進撃してくる紳士(へんたい)もうめき声と共に倒れてゆきます。

 無論、非殺傷性のBB弾ですが原料は某木材をエンチャントしたものなので、実に平和的なのです。

 ビクンビクンしているので生きていることこの上なし。


「あ、あの、教官。いきてますか?」

「この程度で死ぬのならば、変態どもの始末など簡単すぎてあくびが出るのですよ?」


 にこやかにほほ笑みつつ、新勢力の窓から侵入してくる紳士へんたいを迎撃。

 ぱらららら、と軽い音でばら撒いていますが、少しでも触れた瞬間に脱力して落下してゆきます。


「そろそろ、機嫌が損なわれてもいい頃だと思うのですが?」


 そう言いながら引きつった顔でこちらを見ている王に微笑むと、いやーと言葉少なに引いて見せた。

 つまり、国内貴族の圧力に屈して、私たち姉妹を生贄に、と?


「い、いやいやいやいやいや!! そんなことそしておらんぞ!? 接点の少ない国内貴族と少しでも仲良くしてもらえればと、そう考えているだけでだなぁ!?」

「股間に我欲滾らせた、死兵のごとくの欲望貴族を押し付けて悪意はないと?」

「ま、ま、ま、まってくれ!! 欲望とか我欲とか、誤解だぁ!」

「相手に理解できる方法で対話したなら未だしも、相手から不快な表現であるという表明があったのに押し付けること自体に善意はありません」

「わわわわわわ、悪かった!! われらの見識不足で客人に大変不快な思いをさせたことを王の名に詫び、再発防止を徹底させる!!」


 と王はいってますが、王の知らない方面で外交は動いているのですよ?


「え?」


 私が懐から取り出したのは、タンジャッテ神聖国外交担当のブルマルカル公爵から我が家に送られた手紙。

 傲欣ちゃんが実家から持ってきたものの実物なのです。


「外交担当殿は、わたくし達姉妹が婚姻外交に合意したので、もう祖国には戻りませんって宣言してます。これってわたくし達への宣戦布告ですよね?」


 知らない知らない、と王が真っ青になりましたが、一部貴族がニヤニヤし始めました。


「正直、全く同意していない話でしたので、実家から装備を送っていただきました」


 自分御蔭から引っ張り出したのは、二号機サイサリス三号機デンドロビウム

 姉上はそそくさと二号機を着こみ、私は三号機を身にまといます。

 あまりに自然な流れで装備を着こむ私たちを呆然と見ていたパーティー参加者でしたが、急いで騎士団を呼びます。


「こ、こ、この者たちを取り押さえろ!」

「王宮での武装、戦争行為に値する!!」

「愚かな女たちを抑えろ!!」


 輝く槍を四方から構える騎士、いや兵たちを一瞥すると姉上に語りかけます。


「・・・姉上、人殺しはしません。でも、許しません」

「デルフィルナちゃん、止めても無駄なのね?」

「これから同じようなことが起きないように、出来るだけ惨たらしくしなければならないのです」


 一罰百戒。

 この心意気で行った殲滅的制圧は、後に「衝撃のデルフィルナ」という字を世界に広めることになったのですが、まぁ、気にしない気にしない。

 変態どもへトラウマを叩き込んだと思えば、よくやったと自画自賛なのです、ええ。




 タンジャッテ神聖国の国内貴族の半数を引きこもりにさせ、さらに残りの貴族を精神的な従属国へ叩き込んだという某姉妹の活躍は祖国はおろか周辺各国へ恐怖と興味と畏怖をもって迎えられることになった。

 

 それでも、「魔法少女」教導の希望は衰えないと言うのだから人間の業の深さを感じさせられる話であった。






 タンジャッテ神聖国の国境を越えるとき、来たときのような騒ぎはありませんでしたが、タンジャッテ神聖国側の検問所がオールフリー状態なのが評判を物語る話なのです。


「さすがにやり過ぎだったかしら?」

「そんなことないと思うのですよ? かってに婚姻を進めて手込めにしたモノ勝ちなんて下品な外交を認めるわけには行かないのです」

「んー、でも、もう少しやりようがあったと思うのよ、デルフィルナちゃん」


 姉上の意見はもっとも。

 とはいえ穏当な方法を時間をかけて進めていたら、祖国から出兵が始まる可能性がありましたし・・・


「ありましたし?」

「ぶっちゃけ、妖精領やら教会やらから『開戦許可要請』が父上のところに行っていたので、やばかったのです」


 ゆっくりと顔色を青くする姉上。

 ともにガーベラシリーズを抱える勢力なので、転びようによっては国土破壊とか首都壊滅とかとんでもないことになるはずでした。

 あと、ストーカーの数が窓の向こうに増えていたので、時間の問題でしたし。


「ストーカー?」

「木偶ですよ」

「・・・デルフィルナちゃん。天使さんたちを木偶と呼ぶのはやめなさい」

「はいなのです」


 まぁ、自称天使達。

 奴らに加えて傲斤ちゃんによる父上たちとの対話がなければ、面倒な事態になっていた可能性がありますが。

 正直に言えば、魔法少女訓練さえなければすぐに放り出した話なのです。

 ですけど形だけでも弟子とした相手を放り出すわけに行かず、卒業とともに行動を起こした訳です。


 一応最後まで王様は弁明をしていましたが、責任はとってくださいね、と伝言はしておきました。

 とるべき責任の形は色々と有りますが、その辺は我が国の超人的外交担当に任せるのです。


「・・・ねぇ、デルフィルナちゃん」

「何ですか、姉上」

「まさか、この騒動を全部お膳立てしたのはデルフィルナちゃんじゃないわよ、ね?」

「まさか、そんなはず無いじゃないですか姉上」

「・・・ふふふ、それを正面から信じられるような人間関係を築いていたかったわ」


 なんと、姉上はこの騒ぎで人間不信になっているようです。

 これは是非ともタンジャッテ神聖国に責任をとってもらいませんと、と教会関係者に吹聴しなければなりません。


「それよ、それ! その諜略最前線で踊ってますと言う発言、それが不振の原因なのよ、わかってちょうだい、デルフィルナちゃん!」


 なるほど。


「わかりました、姉上」

「・・・デルフィルナちゃん」

「以後、そのような発言は、できるだけ陰に隠れてしあmすので、ご安心ください」

「・・・ふえぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」


 なぜか姉上がさめざめとお泣きになってしまいました。

 何ででしょう?


「ソニックちゃん、わかる?」

「きゅ?」


 私もソニックちゃんも小首を傾げるばかりなのでした。

デルフィルナちゃんでした。

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