退治
A HAPPY NEW YEAR!
今年も頑張りますので、
どうぞよろしくお願いします
(_ _)
命が呼び出した霊魂は、
命を中心に渦を巻きながら広がり、白狐を巻き込もうとした。
「そんなモノか?
ソナタの力は…」
白狐は余裕の笑みで命を見下ろしていた。
「!」
――もっと…
命は霊魂に更に力を委ねた。
すると霊魂の渦を巻くスピードが増した。
「ほぅ…」
白狐は命を試し見るかの様な視線を向けた。
――もっと、もっと…
命をその視線に触発され、更に力を求めた。
「っ…」
命は今までにない力の放出に眉を歪ませ、目を瞑った。
――もっと…
それでもまだ力を求めた。
――もっと!
ブワァッ!!!
霊力が溢れだし、霊魂を呑み込んで渦を巻き始めた。
「っ、何!?」
命の範囲を超える力に制御を失いかけた。
「…言うことを聞いて!」
命は何とか力を扱うために、意識を強く持った。
「ぃっ…けぇー!!」
命は思う力を…手にした力の全力を白狐に向けて放った。
回っているうちに霊魂に光が集まって形が変形していき、人骨となった。
人骨は次々と白狐にしがみついていった。
「こんなモノで!」
白狐は力を放出しようとした。
だが、
「!?」
力は放出できなかった。
青く光る各個体の人骨が白狐の力を抑え、縛り付ける鎖となったのだ。
命は無意識に左手の人差し指と中指ゆ立てて口元に寄せた。
そしてそれをきっかけに、命の口や体が勝手に動き、声を発し出した。
まるで遺伝子に刻まれていた、遠い昔の記憶が受け継がれているかのように…。
「人に仇なす悪しき妖怪よ、
その身が引き起こした悪行と共に消え去れ!」
すると立てた指先に光が集まった。
そして命の体は飛び上がり、白狐に向かった。
「な…ち、ちょっと!
お待ち……!!」
何の抵抗もできない白狐は
慌てふためき人骨を払おうとしたがもう遅かった。
パシンッ!
気付いたときには命の光に白狐の体が真っ二つに割られていた。
「ぐっ…」
それでも白狐はしぶとく足掻き続けた。
「消え去れ!」
「ぐあぁぁぁっ!!」
冷徹な命の一言の後、
白狐の叫び声が上がった。
光が白狐の肉片を包み込み、塵ひとつ残らぬほどに粉々に砕ききったのだ。
「っ…」
命は肩で大きく息を着き、
周りを見渡した。
霊魂は静かに床に浸透する様に消えていった。
残ったのは最後の一撃で滅茶苦茶になった教室だった。
ガラスは全て割れていて、蛍光灯は落ちているものや取れかけているものもあった。
カーテンは所々破れていて
壁には穴は空いていないものの、生々しい傷跡があちこちに残っていた。
机や椅子は霊魂によって巻き上げられ散乱している。
ふと唯や紫姫たちが倒れている方を見た。
不思議なことにそこだけは何の被害もなかった。
命の力が無意識にそこだけは避けていたようだった。
「よかっ…た…」
そこで命は意識を手放した。
視界が傾き目の前が真っ暗になった。