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有紀の異変

命が入院して1週間が経った。


平日の昼間、家には母親と有紀しかいない。


「おかータン、おねータンは?」


有紀は何も知らずに母親に尋ねた。


「……有紀」


母親がどう説明しようか迷っていると、


ピンポーン


インターホンが鳴った。


「あ、はい!」


母親はそそくさとその場から離れ、インターホンを覗く。


「あ…」


インターホンを鳴らしたのは命の友人達だった。


雛子と唯と紫姫だ。


母親は玄関に向かった。



「命、いますか?」


唯が尋ねた。


「ごめんなさい。

まだ入院中なの」


そう答えると、3人はとても残念そうな表情になった。


「あ…あの、学校から手紙と宿題のプリント…」


雛子は差し出した。


「ありがとう。

命に渡しておくわね」


母親は笑顔でそれを受け取った。


「それじゃあ…」


唯がお辞儀をすると、雛子と紫姫も続いてお辞儀をした。


そして3人は帰っていった。


「…」


母親はドアを閉め、

リビングに入った。


入院中の命への手紙と宿題は家に溜まったままだ。


「どうしよう…」


本来なら命に渡さなければならないが、命には異能の力がある。


それは恐ろしい。


今までに実害がなかったとわいえ、隠していた事は許せない。










だが、もし…










もし、言っていたら?










命がもし本当の事を言っていれば、どうしただろう…










母親はふと考えた。



ヴー…ヴー…ヴー…


「!?」


しばらく考えていると、携帯が鳴り出した。


「何?」


携帯には非通知と表示されている。


「誰?」


跳ね上がった心拍数を抑え、母親は電話に出た。


「…もしもし、澤田です。

どちら様…?」


「もしもし、こちらは中央総合病院の…」


電話は病院からだった。


「病院…、命が何か?」


病院と聞いてすぐに命を連想したのだったが、連絡の理由は他にあった。


「いえ…」


次の通話口からの言葉に、母親は驚いた。


「澤口…有紀ちゃんが……」


「有紀!?」


母親は命ではなかったことに安堵したのもつかの間、連絡の理由が有紀であったことに嫌な予感を過らせた。


「…はい、今すぐにそちらに行きます!」


母親は電話を切ると急いで出かける仕度をして、慌てて家を出た。


――有紀ちゃんが道路で倒れていたのを近所の方から病院に通報を受けまして、只今検査中で…――


母親の脳裏には先程までの電話の内容が浮かび続けた。


「有紀…」


有紀は母親が命について悩んでいた間に一人で家を出た様だった。


倒れていた場所は病院に近かった事から、命に会いに行こうとしたのだろう。


母親は自身の不甲斐なさを責めながら、有紀に何もない事を祈り続けた。



その頃、病院では…


命は自身の病室で本を読んでいた。


「命ちゃん!」


そこへ新菜が壁から通り抜けて来た。


「新菜、どうしたの?

そんなに慌てて…」


命は読んでいた本を閉じて枕元に置いた。


「大変!澤口有紀って命ちゃんの妹じゃなかった?」


「そうだけど?」


前に家族について新菜と話したことがあったので、新菜は有紀の事を知っていて当然だ。


「大変って?」


「さっき先生が言っていたんだけど、その有紀ちゃんがココに搬送されてきたみたいなの!」


「有紀が!?」


命は身を乗り出して驚いた。


「何で!?」


「うーん。よくわからないんだけど、病院の近くで倒れてたらしいよ?」


と新菜は聞いたままを話した。


「…行ってみる!」


命がベッドから飛び出ると、


「案内するよ!」


と新菜も後を追った。



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