表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/40

捜してる…。

 桜の花が咲き乱れ、そよ風に舞う。

陸は結局、1ヶ月帰ってこなかった。

もうじき私の23歳の誕生日。

今年は、タケル先生と二人でいられるのかな?。

さすがに毎日の診察室LOVEは1ヶ月経つとなくなり、週2日ぐらいのペースになる。

 最近、暖かくなったせいか粒コーンスープを作るのを止めた。

そろそろ陸のいない生活に慣れてきた感じがする…。

人間、日が経つにつれ、今自分のいる場所に納得する。


 そんなある日、思いもよらない珍客がくる。

「はい。」

玄関のドアを開けると、陸の彼女、百花が立っていた。

「お姉さ〜ん!!。」

お姉さん!?あっ、そっか。

「おっと!。」

百花はいきなりアキに抱きつく。

「ふえーん。」

泣いている?。

「どうしたの?。」

百花は鼻をすすりながらアキの顔を見る。

「ふぇ…れないんですぅ。」

「へ?。」

「陸と、連絡が全然とれないんですぅ。」

「…。」

「もう、1週間になるんですぅ。ぐすんっ。」

「そ、そうなんだ…。」

「お姉さんなら知ってるかなぁ…と思って。迷惑かな?と、思ったんですが来ちゃいました。」

私、お姉さんじゃぁないんだよな…。

「うー、ごめんね。私にもわかんない。」

「そうなんですかぁ?、分かりました、ありがとうございます。」

「えっ?。」

なんて淡々とした子なんだろう。

百花は、わかんないの一言であっさり帰っていく。

ありゃぁ気づかんわ…私と陸が他人だって事。

うらやましい性格してんな…。

感心する。

 陸、どこに行ったんだろう?。

今、何してるのだろう?。

陸のいない生活に慣れてきた感じの今、突然の陸の事…。

気にならないわけがない。

けど…もう気にするのはよそう…私には、もうカンケイない。


 カンケイない…。

気にするのはよそう。

そう思っていたのに、手は言葉と裏腹にひかるの電話番号を押していた。

「ハロー。ひかる?。」

『どしたぁ…。』

「あのね、この間ね、陸の彼女が連絡取れないってウチ来たの、あんた知らないかなぁ。」

『陸ぅ、アキんとこからウチきてさぁ、2日で追い出してやったから、それからの事はしんなぁーい。ネットカフェで寝泊りしてんじゃぁない?。』

はぁ…、このノー天気淡々従姉弟。

どうして私の周りはこんなんしかいないんだか…。

「そうか、ありがとぉ。」

『連絡あったらアキんとこ帰れって言っとくよ。』

「んなこと言わんでよいっ!!。」

『がははっ。』

がははって、あんた…。


 「陸、どこ行ったんだろう?。」

うっ…、気になる。

もうぉ〜やだぁ。


 百花が来た次の日から昼休憩の時間は大学、仕事帰りはインターネットカフェを捜し歩く。

まさか殺されてないだろうな?そんなありもしない事も考えながら、陸を探した。


 陸を探し続けたある日。

「ん?。」

なんかお腹が痛い…生理でもくるのかなぁ…。

急に、下腹部が痛み出した。

(今日はこれで止めておこう。)

引き返してアパートへ帰る。


 しばらくすると腹痛は言いようのない吐き気に変わっていく。

「うっ。気持ち悪い。」

アキはトイレに駆け込んだ。

「げほっ。はぁ…はぁ…。」

水道の蛇口をおもいっきりひねり水で口をすすぐ。

最近まともにご飯食べてないからなぁ…。

胃がおかしいのかなぁ…?。

排水溝に流れていく水、奥ふかく、アキはハッとし鏡の中の自分を見た。

「まさか…?。」

でも…。

まさか…。

もうしばらく待ってみよう…。

わけが分からない事を考える。

 

毎日わけもわかんないまま通り過ぎていき、気づかないうちに4月15日の自分の誕生日も過ぎていた。

 

 朝、気分が悪いと嘘の休暇をもらう。

タケル先生とは、相変わらず週2日のペースで続いている。

 朝一、ドラックストアに走り、妊娠検査薬を買いアパートのトイレに駆け込む…。

時計の秒針のすすむ音がやけに大きく聞こえる。


 後少し、後少し…。


 結果は…。

落胆、この二文字。

頭を大きなハンマーで殴られたような、そんな感じ…。

どうしよう…。

頭ん中で赤ちゃんがフォークダンス踊ってる。

そんなのんきな場面見てる暇じゃないよ…。


 「陸ぅ…どうしよう…。」

私、タケル先生の子妊娠しちゃった。

走って陸に相談したい気分。

けど、今はもう陸はここにはいない…。

今は、タケル先生より陸に会いたい…。

私は、タケルより陸に会いたかった。

読んだ感想お待ちしております。

               希凛希

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ