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敵の中に味方あり。

 ひかるの結婚式を終え、アキと幸子は家が遠いという事もあり、ひかるの母方の親戚とひかるの実家で一泊する事になっていた。

ひかるの家は、ひかるの両親とひかるの兄と妹がいる。

「ひかるがいないけどゆっくりしていってね。」

優しいひかるのお母さん。

ひかるとは反対で物静かな感じ。

「はい、ありがとうございます。」


 アキと幸子が親戚に交え夕食を取っていると、

「アキさんと幸子さんですよね?。」

どこかで逢った事があるようなフインキの女の人が二人に話しかけてきた。

「はい。」

女の人はニッコリ微笑むと、

「初めまして安西百合です。弟の陸がいつもお世話になってます。」

とお辞儀する。

「陸のお姉さん?。」

「はい、アキさんですよね?。」

「あ、はい。」

「弟と父が迷惑をかけてごめんなさいね。」

「あっ、いえ、そんな。」

「今日はゆっくりしていってね。」

「はい、ありがとうございます。」

綺麗な人。

品のある旅館の女将さんといった着物の似合いそうな感じの人で、優しいフインキが陸によく似てる。

「なんか、陸のお姉さんアキに似てる。」

「へっ?。」

「私が?。」

「うん。黙ってればね。」

黙ってればって、…みんなして…もぉっ。

「ふっんっ、いいんだ、いいんだ、私はどうせ男みたいな女だよ。」

「ごめーん、アキぃ。」

ぶすっとふくれ、近くにあったお酒をグラスになみなみと注ぎアキは一口で飲み干した。

「ぷはぁ〜、このお酒美味し〜い。」

もう一杯なみなみとグラスに注ぎ飲む。

「すごっく美味しい、こんな美味しいお酒飲んだの初めて。」

どんどん入っていく。

「あっ、アキ飲み過ぎないでよ。」

日本酒が大好きなアキ。

アキはニコニコし、お酒の一升瓶を持ち上げ電気に照らし見、

「きらり、って言うんだぁ。ふーん。」

またグラスになみなみと注いで一気に飲み干す。

「ちょっ、アキ。」

そんな事を繰り返し、電気に一升瓶を照らしニコニコ一升瓶を見つめているアキに

「おいっ、ひかるの友達っ!。」

大きな声でひかるのお父さんがアキを呼んだ。

びっくりしみんなはアキを見る。

あっ、しまった。

アキは我に返り一升瓶を降ろしひかるのお父さんの顔と周り見た。

陸のお父さんに似た、ひかるのお父さんにアキの心臓はドキドキする。

あ、私…。

「あ、すみません。」

ひかるのお父さんはアキをのそばまで来て座ると、

「がははっ。」と、笑った。

「あ、あの、このお酒がすごく美味しくてつい…。」

「あんた、なんて名前だったっけ?」

「あ、安藤アキです。」

ひかるのお父さんはニッコリ笑い、

「アキっ、気に入った!!。」と、バシッとアキの背中を叩いた。

「お、おじさん、痛いです。」

「うちで造った酒だ。アキみたいに飲みっぷりのいい女初めてみた。さぁ、飲め。」

ひかるのお父さんはアキのグラスに溢れんばかりの酒を注ぐ。

「はいっ、頂きます。」

また一口で飲み干すアキ。

「がははっ!、いいぞアキっ。お前うちの息子の嫁になれっ!!。」

「えっ?。」

嫁?。

「お父さん、アキちゃん明日帰るからあんまり飲まさないで下さいよ。」

ひかるのお母さんが止めにはいる。

「いいんです。気にしないでください。」

「大丈夫、アキちゃん?。」

「はい。」

アキはニコニコしひかるのお父さんが注いだお酒を一気に飲み干す。


 しばらくしてアキにたらふくお酒を飲ましたひかるのお父さんとアキは酔いつぶれた。

「叔母さーん。」

なのかを家に送りに行った帰り陸はひかるの家に寄った。

「陸ちゃんいらっしゃい、今日はありがとね。」

「あ、うん。」

「お姉ちゃんならお勝手にいるよ。」

「えっ?、あ、う…ん。」

何か言いたげにしてる陸にひかるのお母さんはニッコリ微笑むと

「あ、ふふふ、アキちゃんね。」

「えっ、なんで?。」

真っ赤になる陸。

「ひかるから色々聞いてるのよ。ふふ。」

「あ、ひかるネェのお喋り、ったく…。」

ぶつぶつ言いながら座敷に行くとアキとひかるのお父さんは死んだように寝ている。

「あっ、二人とも寝てるわ。」

アキの周りには、一升瓶が5本も転がっている。

「わっ、アキちゃん、まさかこんなに飲んで。叔母さんごめんっ、こいつ酒が好きだから…ほんと、ごめん。アキちゃん、アキっ!!。」

陸は何度も謝り、アキのほっぺをペチペチ叩き起こす。

「うーんん。」

目を覚まさないアキ。

「いいの、いいの陸ちゃん寝かせておいてあげて、ごめんねウチの人が飲ませたの。」

ひかるのお母さんはニッコリ微笑みながら、アキ達に毛布をかける。

「へっ?。」

「アキちゃん、このお酒が美味しいって。」

「…。」

「叔父さん喜んじゃって、アキ気に入ったって、またアキちゃんもひかるみたいにノリがいいから、佳彦の嫁にするって叔父さんすごい盛り上がっちゃって。」

「えっ、よっちゃんの?、それは困る。」

「陸ちゃん、いい子見つけたね。」

「叔母さん…。」

「ゆっくりして行きなさい。」

「うん、ありがとう。」

陸は座りアキを優しく見つめ、アキの黒い髪をそっと撫ぜる。

「アキちゃん。」

お前のこと…お前のいいとこオヤジも見て、気づいてくれればいいのに…。

アキちゃんの親のことは抜きにして、きちんとこいつの事見てくれればきっと。

俺、がんばって説得するから。

俺は誰かではなく、アキ…お前がいいから…。

ずっと一緒にいるのはアキちゃんがいいから…。

俺を信じて待ってて。


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