おでんとおでんとお酒。
「ありがとう、ひかる。」
「うん、がんばれ。」
ひかるのアパートから仕事場へ向かう。
いつもの事だけど、冷静になるといつもの自分。
普通に仕事して、普通にお昼ご飯食べて、帰り陸に何を食べさせよう?。って考えている。
陸の嫉妬は私を大好きでいてくれてる証拠。
こんな事、取り乱すと見えなくなるなんて私はなんてお子様なんだろう?。って笑ってしまう。
でも、恋って自分を見失わせる事がたまにある。
男でもそうなのかな?…。
「ひゃぁ〜、寒い。」
すごい突風が身体を押してくる。
今日はおでん、絶対おでんにしよう…それで熱燗で一杯やろう!!。
親父か私は…。
スーパーで、コンニャク、はんぺん、玉子、大根…おでんの材料をカゴに放り込み、お酒の一升瓶もカゴに入れる。
「さぁ、帰ろう。」
陸と喧嘩してる事もう忘れてるアキ、いや忘れてない…。
ウチに近づくと徐々に緊張する。
陸、いるかな?まだ怒ってるかな?…そんな不安が沸いてくる。
「…ただいま…。」
小声で言いながら部屋を覗く…。
(あれ?。)
いない…鍵かけないで出ていったのかな?。
まぁ、いいや…取り合えずおでんでも作っておこう。
アキはコートを脱ぎ、髪の毛を束ねおでんを作る準備をする。
陸、帰ってくるかな?。
そんなアキの心配をよそにおでんが出来上がった頃、陸は帰ってきた。
カチャッ。
「…。」
「あ。」
目を合わす二人。
アキはお玉を持ったまま、陸はドアを開けたまま立っている。
ヤバイ…なんて言おう。
しまったなんて言うんだっけ?。
あ…そうだった…。
「「ごめんっ!!。」」
二人同時に頭を下げる。
「あ。」
「あ。」
なんか…。
「あはっ。」
「ははっ。」
二人は顔を見合わせ笑う。
「おかえり。」
「ただいま。」
そう…ごめん。おかえり。ただいま。が大事。
「何、その荷物?。」
アキは陸が両手に持つ荷物を指差す。
「あー、これぇ?、おでんの材料と酒の一升瓶。」
「えっ?。」
「そう言えばこのいい匂い、何?、外でもしたんだけど。」
陸は鍋の近くでにおいを嗅ぐ。
「…寒いからおでんにしようと思って…。」
「えっ?。」
「後、熱燗も飲もうと…。」
お酒の一升瓶を差し出すアキに陸は笑った。
「俺達ってさぁ…。」
「なんか不思議だよね?。」
「こんなに気の合う女…いないよ。」
そう言うと思いっきりアキを抱きしめる。
「ほんと…こんなに気の合う男いないよ。」
アキも陸を思いっきり抱きしめかえす。
大好き…。
ながーい春休みに突入。
なかなか集中できなく執筆が遅くなりそうなので
ゆっくりと更新します。
希凛希。