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あれ…?。

 陸が実家に帰って、一人大晦日の大掃除。

でも心はウキウキ、窓を拭く手にすら窓が壊れそうなほど力が入る。

 ピキッ…。

(えっ、ピキッ…?。)

し、しまった…力入れすぎた。

どこもひびが入っていないことを確認し、またウキウキモードに入る。

思いもよらなかった陸からの言葉…。

本当に信じていいんだよね?。

あははぁ〜。

幸せぇえ〜。

「もー、ヤダァ〜。」

この人へーン。

完全におかしい…。


 夜になり、一人で紅白を見ているとやっぱり一人を淋しいと感じる。

「陸、早く帰ってこないかなぁ…。」

身体を横にし、蜜柑を食べる。

こんな食べ方陸がいたらできない。

私も少し女らしくなったのかな?。

それにしても、

「はぁ〜、たるい。」

いつも聞く大好きな歌が切なく聴こえる。

(陸の声…聞きたい。)

携帯電話をカチャカチャ、カチャカチャ、カチャカチャ…開けたり閉めたり。

陸、電話してくれないかな?。

そう思っていても電話はかかってこない。

そうだっ、私からかけちゃえ〜。

ドキドキしながらデスクトップの陸のボタンを押す。

ドキドキドキドキドキドキ…ドキッ。

「あ、陸っ?。」

あれ?

『ただいま電話に…。』

「…。」

(なんだ、留守電かぁ…。)

メッセージを入れずに電話を切る。

ぐすんっ、忙しすぎて私の事なんか忘れてる?。

「もー、陸のバカァ〜。」



 今年も一人淋しく新年を迎え、また憂鬱な日々が始まろうとしている。


 ♪you've got a mail♪


朝早くにひかるからのメールが届く。


 あけおめぇ〜♪。

今日、仕事終わったら飲みに行こうぜ〜!!。

プぺで待ってるぜぇ、バイ!。


 また一方的なひかるのメール。

こいつ、人のスケジュール無視か?。

まぁ、どうせ暇人Aだけど…。

「えっ?。」

ひかる、もう帰ってるん?。

『ひかるネェと一緒にすぐ帰ってくるよ。』

陸…確か…。

「まぁ、いいや。ひかるに聞こ。」

ドライヤーをかけるアキ…少しイヤな予感がする。


 仕事を終え、急いでプぺに向かう。

プぺはフランス料理の店で、かしこまった店ではなく暖かい感じのアットホームな店。

学生の頃は、20歳になったらここでおワインを飲めるいい大人になりたいと思っていた。

いい大人になれたかは分からないけど、20歳になってからはよくここでひかると飲んでいる。

「ごめーん、ひかる。」

「いいよ。新年早々忙しかった?。」

「うん、なんかね。」

「何頼む?。」

「うーん、コースとお任せワイン。」

「食べる?。」

「うん。お腹空いた。」

「じゃぁ、私も。」

「そう言えばひかる、陸ってあんたと一緒に帰ってくるんじゃなかったの?。」

「あー、陸?。お得意さん回りが忙しいみたいでさ、先帰ってきた。」

お得意さん回り…。

「…そうなんだ。」

落ち込むアキにひかるは、

「伯父さん、来たんだって?。」

「う…ん。」

「すごかったでしょ?。」

注がれるワイン…14世紀頃からワイン作りが発展したジゴンダスの赤ワイン。

力強く、がっちりした骨格を持つ。均整がとれ、香りが洗練されている…ゆっくりと成熟し、保存が

よければ、長期熟成に耐えるワイン。

なんか…。

「うん。陸って許嫁みたいなのいる?。」

「どうして?。」

「うんん、なんでもない。」

恋してるアキ、なんか綺麗。

男ばかりの兄弟のせいか、ずーっと男勝りな女だと思っていた。

馬鹿言って、どんちゃん騒ぎできる友達。

「アキ、変わったね。」

「えっ?。」

「なんか、女らしくなった。」

「やだっ、ひかる。」

「陸に恋してるあんた、すごく可愛いよ。」

「ひかる…。」

「がんばるんだよ…アキ。」

珍しく真剣なひかるの顔…何を…。

「ありがとう、ひかる。」



 明後日から大学が始まるというのに、連絡も帰ってくる気配もない陸。

あれ?…おかしい。

もしかしたら、あの時感じた事は本当になってしまうの?、不安になる。

私との同棲のせいで、『もう、大学は行かなくてもいいっ。』っとか…。

明日、陸の実家に行ってみようかな?。

もう、我慢できなかった。

不安は自分から取り除かなきゃ…。

行動…起こさなきゃ。

この恋をして、強くなる。

私はこの恋を信じてる…。


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