好き、大好き。
自分の気持ちに気づいたけど行動に移せない。
陸からの返信メールは届かない。
あんないいムードの時に拒絶したからな…。
男としたら立場ないし、すごく傷つくよね?。
でも、陸には百花ちゃんがいるし、私はもう傷つきたくない…。
私への愛がないSEXはしたくない。
心よりも人よりも、自分の身体を傷つけたくなかった。
診察台の得体の知れない恐怖。
今思い出しても、ゾッとする。
生きてる命を葬る。
一生消えることのない選択。
この過ちを私は二度としてはならない…。
陸…あの時私がとった行動…分かってね。
拒絶した私の事分かって欲しい、決してあなたの事嫌いなんじゃない…。
それだけは、分かって欲しい…。
アキちゃんへの気持ちを気づいたからには、もう百花とは一緒にいられない。
アキへの気持ち…隠しておく事はもう…できない。
隠せないぐらいアキへの気持ちが大きくなっている。
陸は百花を夕方の公園へ呼び出した。
「珍しいね。陸が公園なんかに呼び出すの。」
「うん。」
「夏休みで毎日会えないから淋しくなった?。」
俯きベンチに座る陸。
陸、別れを言いに来たんだ…。
こんな時ってイヤってほど敏感に感じてしまう。
うんん、前から少しずつ気づいてたけど…。
「百…。」
「ん?。」
百花はベンチに座ろうとしない。
「座れば?。」
優しい陸の顔と冷めた口調。
そのギャップがいい。
口調とは違ってとっても暖かい心を持ってる。
一目ボレ…じゃなくて、話していくうちに好きになっていった。
「うんん。いい…。」
「話が…ある。」
「うん?。」
分かっていても、聞きたくない言葉。
「別れよう…。」
「…。」
別れよう…… …。
「あれぇ?、部屋の電気がついてる。」
部屋を見上げると電気がついている。
朝、電気をつけっぱなしで仕事に行ったかぁ…。
私としたことが。
んんっ!?…。
ド、ロ…ぼう?…!?。
まっ、まさか…でも、電気つけて入るか、フツー?。
そーっと、アパートの階段を上り、そーっと、ドアノブをひねる…。
(あ、鍵が開いてる。やっぱり…ドロ…ボー?。)
「こらぁーあ!!。」
アキは入り口に置いてあった箒を両手に部屋へ飛び込んだ。
「うわぁ〜。」
バシッ!!。
(えっ、えっ?。)
「いって〜!!。」
おもいっきり振り払った箒の先端、しゃがみ込む物体を見ると、
それは陸だった。
「陸?。」
「いってぇ、いって〜ぇ!!。」
「…。」
「痛いよ、アキちゃ〜ん。」
肩を押さえながら座り込む陸を見て、ドッと気が抜ける。
ヘロッ〜。
「なんだ陸かぁ…。」
「アキちゃん、ほんとに女ぁ?。」
涙目でアキを見る陸。
「あはは…。」
「あはは、じゃないよっ!!。」
「陸だったんだぁ。」
アキの頬を涙がつたう。
「アキ…?。」
「陸でよかったぁ。」
「…。」
「泥棒じゃなくて良かったぁ。」
陸の顔を見てニッコリ笑う。
「アキ…。」
そんなアキの顔を見てたら抱きしめたくなり、陸はそっとアキを抱きしめる。
「アキ…好きだよ。」
「…。」
好きだよ。
今、陸が私の事、好きって言った…。
アキは陸の顔を見た。
「今、なんて?。」
「え?。」
「だって聞いてなかったもん。」
陸は照れくさそうに笑う、
「あと1回しか言わないよ。」
「うん。」
「好きだよ。」
「…。」
「アキちゃんは?。」
「…。」
アキは自分を見つめる陸の顔を見てドキドキする。
「アキちゃんは?。」
ドキドキドキ…。
陸の顔…。
心臓…故障しそう…。
恥ずかしい。
あまりにも優しい顔で見つめる陸にアキは俯き一言、
「きらい…。」
「えっ!?。」
「…。」
「ひどっ!!。」
鼻をすすり、アキは顔を上げ恥ずかしそうに、
「うそ。大好き…。」
「ん?聞こえない。」
「好き。」
「えっ?。」
「大好き…。陸が大好きっ。」
二人は照れくさそうにみつめあうとお互いをぎゅっと抱きしめた。