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年下男。

唐揚げ、ポテトサラダにお味噌汁……なんか、こいつすごいかも……。

「どうぞ、召し上がれ」コタツの上には手際いよく作られた美味しそうな陸の“THE男の手料理”が湯気を立てて並んでいる。

「あ、うん。いただきます」アキはできたて熱々の唐揚げを一口食べた。

「どう?」

(美味しい……)

「うん!すごく美味しいっ!」

「やっぱりね」エプロンを外しながら自信満々の陸はニヤッと笑みを浮かべる。

「そう言えばさ、この間の鍋も陸が作ったね」

「俺、料理好きなんだぁ」

陸、嬉しそう。

「ふ〜ん。料理人になりたかったの?」

「ん、別に、うち母親いないからいつもネェちゃんと一緒に作ってたんだよ」

「そ、そうなんだ。ごめん」アキは陸の言葉に俯き、箸を茶碗の上に置いた。

「気にしないでよアキちゃん」

「……」

「そう言えば、アキちゃんは4人の兄弟がいるんだよね?」

「あ、うん」

「どんなん?」

「23才の兄貴を筆頭に、22才私、19才弟、15才弟、11才弟」

「すげー。楽しそうじゃん」

「楽しいってもんじゃないよ!」アキは兄弟のコトを陸に話した。

楽しそうにアキの話を聞く陸。

「19才かぁ……俺と同い年だね」

19才……そうか、陸、私より3つ下なんだ。口調がしっかりしてるから自分と同い年ぐらいに感じる。

「年下かぁ……」アキは陸の顔を見つめなぜか切なくなった。

「ん、何?」自分の顔をジーッと見つめるアキを不思議そうに訊き返す陸。

「うんん、何も」

年下か……。

「……」

「あっ!そう言えばっ!!」少しの沈黙の後アキは突然大きな声を出した。

「ぐおっほっ。なっ、何?アキちゃん」飲みかけの味噌汁が喉を通過し進んではいけない方向へ進みむ

せかえる陸。苦しんでいる陸の手の中から箸が離れテーブルの上に転がった。

そんな苦しんでいる陸を気にするコトなくアキは自分の疑問を訊く。

「陸、あんた荷物は?」アキは辺りを見回す……。

確か、日曜日に来た時は……大きなエナメルバックひとつ持ってたハズ。

「あー、みんな売っちゃったから服以外はスッ〜カーン」

「は?」動いていた箸を持つ手が止まる。

「あれ、言ってなかったっけ?マージャンでスッて借金作って、学費以外の仕送り止められて家賃滞納

してアパート追い出された。だからここで世話になってんの。あは……」

あは?

陸の淡々とした説明を目を丸くし硬直したまま聞くアキ。

な、何?アパート追い出された?な、いつの時代の話?この人笑ってるよ……。

「はぁー?」アキは首をガクッと落とし深くため息をつく。

見た目が、茶髪にピアスに長身のけっこうイケメンチャラ男に見えるから、とんでもないヤツだとは思

っていたけど、話すと会話と口調がしっかりしてるから少しはマシかと思った。

なんか、私……とんでもないヤツ置くハメになったかも……。

さっき陸に感じた切なさは竜巻のようにイッキに吹っ飛んでいく。

「アキちゃん?」

「私……人生初めてのMISTAKE……」アキは呆れた目で陸を睨んだ。

「うっ、アキちゃんひどい……」

「いや、ひどくないし……」

とんでもないヤツ……。

嗚呼、これも神様のイタズラ。

この先、すんごーく不安。

嗚呼、神様。どうか、私の人生、平淡平凡でありますように(祈!)


  


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