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べいびぃ。

 陸に会いたい。

そんな気持ちひとつで重い体を持ち上げる。

1日待ってれば、きっといつかは陸に会えるだろう。

そんな気持ち。

アキは陸の通う大学へと足を運ぶ…。


 なんて言おう…。

今さら、ごめん戻ってきて、なんて、むしがよすぎるよね?。

でも、会いたい。

そう思っちゃったら後には引けない…。


 途中何度か吐き気に襲われる。 

「う…、気持ち悪い…。」

後少しで、大学に着くからアキがんばろう。

自分を励ます。


 今は何時だろう?。

携帯電話で時間を確かめる。

「もう、お昼かぁ…。」

空を見上げると、キレイナ飛行機雲。

お腹空いてるはずなのに、

あんなにあげたのに、食べたいと思わない。

妊婦って不思議…。

まだ、今日分かった事なのに、全然実感ないのに、こうして私の身体で訴えてるみたい。

赤ちゃんに言われてるみたい…。

『ここに居ますよっ。』って…。

あーもう、なんかわけわかんない…。

どうしたらいいのか…どうしたいとも、思わない。

好きな人の赤ちゃんなのに、嬉しくもない…。

不倫だからかな?。

どうしてこんな事になっちゃったんだろう?。

泣く気力さえない。

お腹空いてるのに、空いてない…。

思考回路が混線してる…。

アキは混線気味の頭を両手で押さえその場に座り込む。


 「アキ…ちゃん…?。」

混線気味のアキに誰かがそっと声をかけた。

「…。」

まだ少し混線してるアキには声が届かない。

「アキちゃんっ!!。」

門の植木の躑躅の前で座っているアキは突然の大声にびっくり立ち上った。

「わぁ!!何?。」

アキが横を向くと、陸が立っている。

「なんしてんの?。」

不思議そうな顔。

「あ、ずっぅ。」

おもわず溢れ出しそうになる涙と鼻水をすする。

「もぉ…ほんと色気ねえなぁ…。」

陸はスタスタと歩きアキの前で止まり、少し汚れたタオルをアキに差し出した。

「…汚い。」

「うっ、ひどっ、アキちゃんの鼻水よりはキレイだと思うけど…。」

久しぶりに聞く陸の淡々口調。

いじけながらそう言うと陸はタオルをバックにしまおうとする。

「いいっ!!。」

アキは陸の薄汚れたタオルを陸から奪った。

「あっ…。」

「ずずっぅ。」

アキは思いっきりタオルで鼻をかむ…。

「アキちゃん〜、勘弁してよぉ。」

「ぐすんっ。」

「…。」

「ひっ…ひくっ。。。。」

アキは鼻水をかんだ陸のタオルで顔を覆う。

「アキ…ちゃん?。」

陸はタオルで顔を隠すアキを覗き込んだ。

「うっ…うっ…。」

泣いてる?。

「アキちゃん、泣いてるの?。」

「ぐすんっ、うるさい。」

「どうしたの、俺に会えて感動してるの?」

アキが自分に会いに来てくれた事がすごく嬉しい。

アキちゃんから会いに来てくれた…。

アキの顔が見たい。

陸はタオルをはずそうとするがすごい力で押さえてるアキ。

そんなアキを愛しく思える。

「違うっ、っく…うっ…。」

「…アキちゃん…ごめん。」

思いもよらない陸の言葉に

「なんで、謝るの?。」

「俺…アキちゃん傷つけた。」

「…。」

アキはタオルを顔から離し、陸を見た。

「サイテーって。」

「…。」

「あれから思ったんだ、俺も一緒なんじゃないかって。」

「陸…。」

「ほんと、ごめんっ!!。」

思いっきり頭を下げる陸。

「…陸が…言った事、間違ってないよ…。」

本当に間違ってない…陸が言ったこと正しいよ。

「アキ…。」

アキはそっと陸に微笑んだ。

「私、ほんと、サイテーだよ。」

ほんとサイテー。

「…アキちゃん?。」

アキは空を見上げ大きく息を吸って吐き、ゆっくり目を細めうつむいた。

「私…先生の子妊娠しちゃったみたい…。」

「!?。」

びっくりして何を言っていいのか分からない陸。

「今日ね、検査薬買ってね、調べたら…陽性が出たの。」

アキは笑いながら泣く。

「あはは…私って馬鹿だよね?。」

「アキ…。」

「ぐすんっ、ほんと大馬鹿者…。」

「アキちゃん…。」

陸はそっと、泣くアキを抱きしめた。

「陸ぅ…私…宇宙1の大馬鹿ヤロウだね。」

「アキ…。」

アキは陸の胸に顔をうずめ泣く。

「ううっ、どうしようって考えてたらね、陸の顔が浮かんでね…タケル先生より陸に会いたくてね…むしがよすぎると思ったんだけどね…気づいたらね…ぐすんっ。」

「もう、いいよ、アキちゃん。」

「むしがよすぎるよね?、私…。」

「もう、いいから…。」

アキをぎゅっと抱きしめる陸。

陸、暖かい…。

「ごめんね…陸。」

「もう…しゃべんな。」

ごめんね…陸。


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