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言えない気持ち

これはさくやとみきの物語です。

初めての恋愛作品を書きました。恋愛経験がないので少しリアリティに欠けるかも知れませんが許して欲しいです。

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば

忍ぶることの よわりもぞする


これ、今の私にぴったりだな。


もしかしたら、前世の私が書いたのかもしれない。

そんなことを思いながら、ぼんやりと教室の中を眺める。


窓から差し込む光。

誰かの笑い声。

ページをめくる音。


全部いつも通りなのに、私の心だけが落ち着かない。


「おーい朔夜」

そんな声が聞こえてくる。

視線は、自然と一人の男子の背中を追いかけてしまう。


朔夜。


私の幼馴染で――私の好きな人。



「どうにかしてこの気持ち伝えられたらいいのにな」


心の中で呟いた、そのときだった。


「その願い、叶えてしんぜよう」


一瞬、心臓が止まったような気がした。


「ちょ、ちょっと驚かさないでよ、由奈」


振り返ると、悪戯っぽく笑う由奈が立っていた。


「いやそんなこと聞いたら、誰だって反応するでしょ」


「別に……」


視線を逸らす。


「それで?」


「え?」


「朔夜との距離、縮めたいんだ?」


「――っ」


思わず顔が熱くなる。


「あ、別に――言って」


言い訳しようとして、言葉が止まる。


「ばればれだよ。そんなこと言うなら、もっとうまく隠さないとね」


「私、そんなにわかりやすい?」


「うん。びっくりするくらい」


即答だった。


何も言い返せなくて、机に突っ伏したくなる。


そんなことをしているうちに、始業のチャイムが鳴った。


面白くない授業が始まる。


先生の声は右から左へ流れていく。


ふと、昔のことを思い出した。


小学校の頃。


朔夜と二人で、学校の裏庭にタイムカプセルを埋めた。


十年後に開けようって約束した。


あの中には――


ずっと言えなかった好きの二文字。

そのときにやっと伝えられるようにって書いた手紙が入ってる。


あのときは、未来の自分なら言えると思ってた。


でも。


今の私は、まだ言えないままだ。


……早く、その日が来てほしいような。


来てほしくないような。


「あれっ……」


気づけば、また朔夜のことを考えてる。


これは、重症だな。


そんなことを考えているうちに、授業は終わっていた。


「ねぇ」


顔を上げると、由奈がにやにやしながら立っていた。


「今、朔夜暇そうだよ? 早く行っておいでよ」


「え、ちょっと待って」


「ほらほら」


背中を押される。


人にはタイミングってものがあるのに。


でも。


本当は、少し嬉しい。


重い足を引きずるように歩き出す。


近づくたびに、朔夜の顔がはっきり見えてくる。


その顔を見るだけで、胸が温かくなる。


同時に――苦しくなる。


どうしてこんなに好きなんだろう。


どうしてこんなに怖いんだろう。


朔夜の前で立ち止まる。


少しだけ息を吸う。


「ねぇ、朔夜」


呼びかけると。


朔夜は、ゆっくりと振り返った。

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