第8章
遊園地のダブルデート(?)と、観覧車の告白週末。
僕たちは駅前の遊園地『ルナパーク』に集まっていた。美月は、白いブラウスに淡いブルーのスカートという、清楚ながらも華やかな私服で現れた。「……湊、見すぎ」「あ、いや。……すごく似合ってると思って」「……バカ」蓮と陽葵が「ヒューヒュー!」と茶化す中、僕たちは園内を回った。絶叫マシンが苦手な僕とは対照的に、美月はジェットコースターに三回連続で乗りたがるほどはしゃいでいた。「湊、情けないわね! ほら、次はあのアトラクションよ!」「待って、美月……少し休憩させて……」ベンチで休んでいると、美月が隣に座り、そっと僕の肩に頭を預けてきた。「……幸せだな」「え?」「こうして、湊と普通に遊んで。蓮くんや陽葵ちゃんと笑って。……私、今が人生で一番楽しいかもしれない」「大げさだよ。これからもっと楽しいことがたくさんあるって」「……そうね。そうだといいな」夕暮れ時。蓮と陽葵が「気を利かせて」どこかへ消え、僕と美月は二人きりで観覧車に乗ることになった。ゆっくりと高度が上がっていく。眼下には街の明かりが宝石のように散らばっていた。「ねえ、湊」狭いゴンドラの中、美月が僕の隣に移動してきた。「五歳の時の約束……。あれ、本当は私が無理やり言わせたようなものだったよね」「そんなことないよ。僕も本気だった」「……もし、私がいなくなっても。湊は、ずっと私のこと、忘れないでいてくれる?」「いなくなる? どこに行くんだよ。もう引っ越しなんてさせないぞ」僕は彼女の肩を抱き寄せた。美月は僕の胸に顔を埋め、消え入るような声で呟いた。「……大好きだよ、湊。……世界中で、誰よりも」それは、甘い告白というよりは、どこか悲痛な祈りのようにも聞こえた。僕は彼女の細い背中をさすりながら、「僕もだよ」と答えた。




