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第14章
十年後の求道者
十年後。かつての少年は、国内でも屈指の心臓外科医、そして再生医療の研究者となっていた。湊は、一切の娯楽を断ち、一分一秒を惜しんで研究に没頭した。すべては、あの冷たいカプセルの中で眠り続ける少女を救うためだけに。「水瀬先生、また徹夜ですか。少しは休んでください」同僚の医師が心配そうに声をかけるが、湊はモニターに映る人工心臓の設計図から目を離さない。「休んでいる暇はないんだ。彼女が、十年前の姿のまま、僕を待っているから」湊の頭脳は、かつてテストで100点を取るためではなく、死神から恋人を奪い返すための武器に変わっていた。第十八章:二十年目の再会、奇跡の証明さらに、十年が過ぎた。美月が眠りについてから、二十年。湊は四十歳になっていた。鏡に映る自分には、白髪が混じり、刻まれた皺が歳月を物語っている。そして、ついにその日がやってきた。最新の人工心臓、ナノマシンによる細胞再生技術。湊が二十年かけて積み上げてきたすべての技術が、結実した。手術室のライトの下、湊は自らの手で、美月の胸に「永遠の鼓動」を刻んだ。数時間に及ぶ蘇生処置。モニターに映る心電図が、二十年ぶりに、確かな波形を描き始めた。「……っ、美月……!




