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【第21話:神殺しの黒陽(こくよう)】
レンズが砕け散った瞬間、世界は静止した。
『星降る夜』で得た並列処理と、エレナの絵で得た解析精度。それらがフル稼働し、神の視点のような全能感を与えていた。
俺は止まった時の中を歩き、魔神の前に立った。
俺の眼には、こいつの存在を繋ぎ止めている「因果の核」が丸見えだ。
そこを焼き切れば、こいつは「最初からいなかったこと」になる。
「セツナ! 急げ! その眼は長くは持たんぞ!」
レオンハルトが叫ぶ。
「ああ、わかってる」
俺は右目を見開いた。瞳の紋様が極限まで回転し、漆黒の太陽を描き出す。
――禁忌瞳術・『黒陽』
魔神の核があった空間に、突如として「黒い太陽」が出現した。
それは炎ではない。空間に穿たれた穴だ。
絶対的な重力と虚無が、魔神の再生能力など無視して、その存在ごとねじり取るように吸引していく。
「……消えろ」
シュンッ、という音と共に、魔神は残滓ごと消滅した。
日食が終わり、天井の穴から一筋の光が差し込んだ。
俺は血に濡れた右目を閉じ、左目だけでその光景を見た。
国を救った達成感と、心地よい疲労感があった。




