第26話 壺中
エルザが手術をしてから2日目の朝。まだ空も薄暗い中、オリバーが二人を呼び出した。なんでも、二人を連れて行きたい場所があるのだという。
「傷の具合はどうかね?」
「ええ。頂いた薬が効いているのか、ずいぶんと痛みは引きました」
「そりゃ、よかった」
オリバーはにこやかに笑った。そして、ランタンに光を灯すと、薄暗い朝の吊り橋へ足を踏み入れていった。
「オリバー様……そのランタンは不思議な灯りをしていますね」
エルザが珍しそうにランタンを見ていると、オリバーは微笑んだ。
「こいつは空気中に漂う微量の魔素で光るランタンでな。火ではないのだよ」
エルザは不思議そうな顔をして、ランタンを覗き込んだ。
「すると、そのランタンが、オリバー様の魔素を吸っているのですか?」
オリバーはハハハと笑った。
「そんな風に言われると、このランタンが私の魂を吸ってるみたいに聞こえるぞ。……魔素というものはな、大気中にも微量に存在しているんだ。このランタンはそれをうまく集めてエネルギーにしているのだ」
するとエルザは感心して、ランタンをジロジロ見ていた。
「オリバー様は、ここでそういった道具を作ってらしたんですね?」
オリバーは頷いた。
「妖術使いでもないワシが、なぜ魔素に詳しいのかわかっただろう」
エルザは頷いた。
暗い川原を、オリバーを先頭にドンドン歩いていく。そして、とうとう崖の道まで登り始めた。
「魔素とは一種のエネルギーでな。それがどこかで集結すると何かが起こる。その集まった場所の特性によって、洪水となったり、台風となったり、山火事となったりするわけだ」
エルザは頷いた。
「それでは、妖術とは……それらの特性を再現して、火や水、風などを起こす術ということでしょうか」
「その通りだ。だが、それらを発現させるためには、相当な量の魔素が必要となる。だが、大気の中にあるちっぽけな魔素などではとても足りない。ヤタ一族が人を殺すのは、手っ取り早くて、扱いやすい人間の魔素が一番だからなんだ」
崖の道を二〇分ほど歩いた頃、突然鎖の道が途切れる場所があった。オリバーは、そこを山手へガサガサと草を掻きわけて入って行った。
「この場所を覚えておくんだぞ」
オリバーがそうつぶやく。
エルザとジョーは周囲を見回して、何か特徴的なものはないか探した。すると対岸に小さな滝が流れているのを見つけた。
「おーい、こっちへ来てくれ」
呼ばれた二人はオリバーの声の方へ歩いていく。すると、オリバーが、大きな穴の前に立っていた。
「この穴の奥は、鍾乳洞に繋がっていてな、そこを抜けると山の尾根に出るんだ。その尾根を下ると、君たちが登って来た登山口へと下りていく」
「近道なのですか?」
「距離だけでいえば近いのだがな。尾根の下りはヒルが多くてな。あまり好んで通る奴はいない」
オリバーはそう言うと、穴そばにあった薄い岩を動かした。するとそこに現れた空間に、金色の壺が置かれてあった。
「オリバー様、これは?」
オリバーはエルザとジョーの顔をジッと見つめた。
「これはワシが作った魔道具でな。大気中の魔素を集めるための装置なのだ」
それを聞いたエルザとジョーは驚いてしまった。
「そんな大変な装置を、オリバー様が作られたので?」
オリバーは静かに頷いた。
「前々から研究はしてたのだが、使えるような物が出来たのは3年ほど前だ。そしてこの場所は、洞窟から降りてくる風と、渓谷を抜ける風がぶつかる場所でな。魔素を収集するのに最適な場所なのだよ」
オリバーは肩に担いでいた鞄を下ろすと、中から30センチ程度の短剣を二振り取り出した。
「ジョーよ。この短剣の柄をな、壺の側面にある穴へ差し込んでくれ」
オリバーが短剣を二本、ジョーへ差し出した。ジョーはそれを受け取ると、柄の方を壺に向けて、穴の中へ押し込んでいった。
カチャリと音がして、柄がわずかに青白い光を発し始める。
「この剣は雷撃剣と言って、魔素を使って雷を発する仕組みになっている。この壺に接続すると、剣に魔素が充填されて、約三〇分、電撃攻撃ができるのだ」
その話を聞いてジョーは驚いていた。
「このような貴重な物をどうして俺たちに?」
するとオリバーはニコリと微笑んだ。
「お前たちは、ヤタ一族の残党に狙われるかもしれん。万が一そんな危険が訪れた時に、この剣が役立てばと思ったのだ」
「オリバー様……」
オリバーは二人に向かい合ってジッと目を見る。
「それとな……あれからよく考えたんだが……ベルメージュはまだ生きているかもしれんぞ」
それを聞いたジョーは驚いていた。
「……ベルメージュは確かに、首だけとなって……確か死体も回収されていましたが」
「そうですわ、オリバー様。私の腕に呪印が移ったのがなによりの証拠……。ベルネージュは死んだのでは……」
するとオリバーは小さく頷いた。
「ワシはそれを疑っているのではない。しかしな、ベルネージュは8年前にも、死んだとされたのに生きておっただろう。あ奴はなにか裏技を持っているのかもしれん」
オリバーはジョーを手招きして、壺の近くに呼び寄せる。
「ジョーよ。この壺を少し持ち上げてくれんか」
ジョーは頷いてその壺を両手で持ち上げた。ジョーにとっては大した重さではない。
「その、壺の下を見てみろ」
ジョーが覗き込むと、壺があった所には、5本の杭が埋まっていた。
「この杭が魔素を吸い上げて、壺の底から中へ溜め込む仕組みになっているのだ。つまりな……」
するとオリバーは、ジョーの耳に何やらコソコソささやいた。ジョーは、小さく頷く。
「お前たちがここを去る時、これらをすべて持って行くといい。そして、ベルネージュか、その仲間かわからんが、奴らとの闘いに備えてくれ」
二人が頷くと、オリバーはジョーに、壺を元の場所へ戻すよう言った。
その時、空がピカリと光って、ゴロゴロゴロ……と大きな音を立てた。オリバーは空を見上げる。空はずいぶんと明るくなっていたが、雲はずいぶんと厚い。オリバーは唸った。
「こりゃあ、一雨くるな……急いで帰ろう」
◆
小屋へ戻る頃には、ポツリ、ポツリと雨が降り出してきた。
「あ! 降ってきた!」
エルザたちは早歩きで吊り橋を渡った。
小屋の入り口でエルザが雨の雫を払っていると、オリバーが、鶏小屋から卵を取ってきて欲しいと言ってきた。エルザは頷いて、小走りに鶏小屋へ向かった。
「ワシは少し研究室で片付けをしてくるから、ジョーは竈に火を熾しといてくれ。一緒に朝食を食べよう」
オリバーはそういうと、小屋の中へ入っていった。
ジョーは荷物を背中に背負ったまま薪置き場へ行くと、薪を一束脇に抱えて玄関へ戻って来た。すると、丁度エルザも卵が入った籠を手に戻ってきていた。
雨が大降りになってくる。
「傷を濡らすと良くないぞ、早く建物へ入れ」
ジョーがエルザの背中を押すと、エルザは小屋の中へと駆けこんた。そして、頭を振って髪に付いた雫を払い、ハンカチで顔や手を拭いた。
「ふう……朝から歩いたら、なんだかお腹がすいちゃったわね」
「じゃあ、急いで火を熾すとしようか」
二人が濡れた体を拭きながら小屋の中へと入ると、なんと、研究室の扉の前で、オリバーが血を吐いて倒れていた。
「オリバー様!」
エルザは思わず両手で口を覆った。オリバーの背中には、ザックリと深い刀傷がある。
「エルザ! お前は周辺を警戒してくれ!」
「わかったわ!」
ジョーはすぐにオリバーの元へ駆け寄ってしゃがみ込むと、黙ってオリバーの様子を見た。オリバーの首筋や手首などを触ってみたが、脈はもうない。
ジョーはエルザの方へ顔を向けると、小さく首を横に振った。
「ううう……オリバー様……一体誰がこんなことを……」
エルザは泣き出してしまった。ジョーはエルザの背中を摩りながら、周囲を警戒する。敵は必ずこの建物のどこかにいるはずだ。
「ああ、私のせいだわ! 私がここへ来たばっかりに……オリバー様が命を落とすことに……」
エルザは背中をしゃくり始めた。ジョーは冷静を装いつつも、内心は非常に焦っていた。
こんな時、敵が斬りかかってきたらどうすればいいのだろう。あんなに気丈なエルザが、ここへ来てから涙もろいのはなぜなのか。
ただでさえ、女心のわからぬジョーなのに、泣いた女をなだめるなど、高すぎるハードルだった。
「お前のせいじゃない……なんでお前のせいなんだ? お前のせいなわけがない、そうだろう!」
するとエルザは泣きながら頷く。するとジョーが耳元で言った。
「いいか、エルザ。ここは危険だ。……オリバー様のことは残念だが、ひとまず逃げるぞ」
エルザは小さく頷いた。
「お前は、俺たちのバックパックを持って、先に玄関で待っていてくれ。俺は薬の入ったカバンを取ってすぐに追いかけるから」
ジョーはそういうと、奥の部屋へ走った。だが、その部屋の扉を開けた瞬間、銀色の剣がビュンと飛んできた。
「ぬうっ!」
ジョーは後ろに飛びのくと、すぐさまそばにあった椅子を相手に向かって投げ飛ばした。すると相手は扉の向こうへ身を隠して、軽くその椅子を躱した。
「誰だっ!」
ジョーが怒鳴りつけると、謎の男はゆっくりと姿を現した。
「久しぶりだなジョー。爵位に目がくらんで俺たちを裏切るとは……吊り橋で血を流しながら死にかけていたのを助けてやったのは誰だったかな?」
ジョーは驚いて目を大きく見開いた。
「お前、ジェームズか?!」
ジェームズは頭から薄い兜をかぶって、鼻と目を隠すようなマスクを装着していた。
「なんだその悪趣味なマスクは……恥ずかしくないのか?」
するとジェームズは歯をギリギリさせながら、ジョーを睨んだ。
「誰のせいでこうなったと思っているんだ! この、武器も持たない丸腰の分際で!」
ジョーは怒るジェームズを冷ややかに見ていた。
「お前はなぜ、オリバー様を殺したんた!」
するとジェームズは鼻をフンと鳴らした。
「殺すつもりはなかったが、俺たちが呪印を取り返そうとした時、奴は邪魔をしたからな」
「そんな、呪印はもう取り除いたはずだぞ!」
「その取り除いた呪印に利用価値があるのさ……ほら、聞こえるだろう。この産声が」
ジョーが耳を澄ますと、研究室から呻き声が聞こえてくる。
「犬でも生まれてくるのか?」
「バカを言え。ベルネージュが復活したのさ」
それを聞いたジョーは目を剥いて驚いた。
「バカを言え! 死んだ人間がよみがえるはずがない!」
驚くジョーの様子が嬉しかったのか、ジェームズはニヤリと笑う。
「それが妖術というものさ。詳しくは知らないがね」
オリバーの言うとおりだった。ジョーは奥歯を噛み締めた。するとジョーは愉快そうに笑った。
「ここでは呪印を奪って復活させると、さっさと立ち去るつもりだったのだが……君たちに見つかってしまったからには、もうどうでもいいよね。ここで完全復活させてもらおう」
「完全復活だって?」
「ああそうだ。大量の魔素が見つかってね。運が良かったよ」
「魔素なんて、そんなもの、どこにあるって言うんだ?」
するとジェームズはカラカラと笑った。
「とぼけるのが下手だな、ジョー。今朝、穴の横に壺があったろう。俺たちはそれを頂いたってわけさ」
「い、いつの間に!」
ジョーは動揺していた。
「ははは、なんだその慌てようは。黒い蝙蝠の処刑人、ジョーの名が泣くぞ」
ジェームズは、研究室の方へ顔を向けると、中に誰かいるのだろうか、イライラしながら急かし始めた。
「……おいカミル。サッサと儀式を済ませてしまえ」
「ちょっと待ってくれや……ちゃんと手順を踏まな、効果が現れへんから」
すると、ジョーは飛び上がって、研究室へ向かった。
「どけ! ジェームズ!」
ジョーが声を上げると、ジェームズはニヤリと笑った。
「どけと言われて、どくものか!」
「くそっ!」
ジョーは椅子を振り回してジェームズを攻撃する。
ガラガラガラッと、机の上にあるものが、床に落ちて割れた。そこへビュンビュンとジェームズの刃が飛んでくる。
ジョーはそのあたりにある杖や瓶など、あらゆるものを武器としながらジェームズと渡り合ったが、全くダメージを与えられない。ジェームズは余裕の表情で白い歯を見せた。
「ははは、丸腰で一流の剣士である私と戦うつもりかね?」
「くそっ!」
ジョーは椅子を掴むとそれを振り回してジェームズへと向かった。
ジェームズは、それを煩い小バエを払うように剣を振ったが、ジョーはそのやる気のない剣先を、椅子の底板に突き刺したかと思うと、椅子の足2本をうまく使って剣を挟みこみ、がっちりと固定してしまった。
「なに!」
そして、すぐさまジョーの蹴りがジェームズの腹めがけて炸裂する。
「おっと!」
ジェームズはその蹴りを、太ももを上げて防御すると、腕をくねらせて椅子を使った拘束から剣を外した。そして、後方へ大きく跳び下がると、ジョーから少し距離を取った。
「丸腰だからといって、舐めていると怪我をするぞ」
するとジェームズもニヤリとしてジョーを見た。
「……カッコよく決めたつもりか? 見ろ! 俺がお前の相手をしている間に、カミルは儀式を完成させてしまったぞ」
ジョーは思わず、カミルを見た。
「何者だあいつは」
すると研究室から剣士の格好をした男が姿を現した。
「ははは、俺様はヤタ一族の生き残り……カミルや。よく時間を稼いでくれたなジェームズ。お陰で儀式は完成したで!」
カミルはそう言うと、ガッツポーズをとった。
すると、研究室の中のベッドに横たわっていた女性が、ムクリと起き上がった。そして、ゆっくりと床へ足を下ろすと、ゆっくりと立ち上がった。ジョーは目を見開いて驚いている。
「お前はベルネージュ!」
よく見ると、その女の腕には黒いミミズが這ったような印が刻まれている。
「お前、あの呪印を取り込んだのか!」
ベルネージュがその呪印に自分の血を垂らすと、黒い呪印は光を放ちながら腕へ融着していった。
「まさか……まさかこんなことのために、オリバー様を殺したのか!」
するとカミルはジョーを睨みつけた。
「そんなことだと? この呪印はわが一族の宝。何物にも代えがたい、大切なものなのだ」
するとジェームズがカミルの方へ振り返った。
「カミル! 早く魔獣を召喚したまえ。儀式は完成したのだろう」
「そう慌てるなって、ジェームズさん……手順通りやらな、ちゃんと効果が現れへんのやから」
すると、カミルは金の壺を取り出して、中の液体を謎の絵図面へと注ぎだした。
「お待たせお待たせ、ジェームズ。それではこの壺にある魔素を使って、恐るべき魔獣を召喚することにするから」
するとカミルの足元から真っ黒な穴が開いて、そこから黒毛の大きな魔獣が現れたのである。
「なんだあれは!」
ジョーは、急に湧いて出た魔獣に、慌てふためいていた。
その熊の魔獣はジョーの想像を超えて遥かに大きく、まるで象が二本足で立っているかのように大きな姿をしていた。
「来たな魔獣アースクエイク! 早速だがジョーとエルザには、この魔獣を操る試験台になってもらうで」
カミルがそう言っている間に、熊の魔獣・アースクエイクは小屋の屋根を突き破って、応接室一面に木材の破片を撒き散らしていた。
立ち上がった熊は、雨にうたれながら咆哮をあげ、その声に小屋の壁は震えた。そして、アースクエイクが数歩歩いただけで、小屋の床は大きく揺れ動いたのだった。
魔獣・アースクエイクが立ち上がったことで小屋の屋根を崩壊し、その降り注ぐ屋根の残骸を避けたジョーとジェームズは、結果として2人の間に距離が出来ることとなった。
ジョーはこの機会を逃さず、小屋の出口へと走った。
その時、異常を感じたエルザが小屋の扉を開けて中を覗いていた。
「エルザ! そのまま吊り橋を渡れ!」
ジョーがそう叫ぶと、エルザは武器を抱えたまま吊り橋へと走っていく。揺れる吊り橋を渡るエルザの背中を、ジョーが追う。
「逃すか!」
部屋の奥からジェームズが飛んで来て、ジョーの背中を追った。
ジェームズが玄関に出た時、ジョーは吊り橋を大きく揺らしながら走っていて、対岸にはエルザがいた。そして、対岸に立つエルザの手には、ジョーの武器である斧が握りしめられている。
「あいつに斧が渡ってはまずい!」
ジェームズは走った。もとより二人の間に、さほど距離は空いていない。ジェームズが吊り橋に足を踏み入れることで、揺れはさらに激しくなって歩みは遅くなった。
「ジョー! 早く!」
エルザがそう叫んだ時、エルザが何やら円盤のようなものをジョーめがけて投げてきた。ジョーは、その円盤のことを良く知っている。
ジョーは、その円盤が自分にぶつかる寸前で頭を下げてそれを躱した。するとその円盤は、追ってくるジェームズへと向かっていったのである。ジェームズからすると、目の前へ急に円盤が現れたように見えた。
「なんだこれは!」
狭い吊り橋の上で避けることが出来ないジェームズは、慌ててその円盤を剣で払うのだが、その瞬間、円盤は爆発した。
「ぐわっ!」
威力は大したことはないが、時間稼ぎとしてなら十分である。ジェームズが数秒、足を止めたことで、ジョーは吊り橋の対岸へと渡り切っていた。
「くそっ! あの忌々しい女め!」
ジェームズが悪態をついたとき、対岸で斧を構えるジョーの姿が見えた。それを見たジェームズは、急いで小屋の方へ逆戻りしていった。ジョーが吊り橋を切り落とすと思ったからである。
「少し遅かったな、ジェームズ」
ジョーは勢いよく吊り橋を切断する。プツンとはじけるようにロープが切れ、川の中へと落ちていった。ジェームズは釣り橋のロープにしがみつき、振り子のように揺られて崖の壁へと向かっていった。
「ええいっ!」
ジェームズは両足で壁を蹴り、膝を使って衝撃を和らげると、吊り橋をうまく伝って川の中へ降りた。
だが、川は急激に増水していて、ジェームズは体が流されそうになる。
「これはいかん。すぐに大水が来るぞ。早く岸に上がらないと……」
降りしきる雨によって水嵩が急激に増していた。
ジェームズはもう、エルザを追うどころの話ではなくなっていた。
「ここから先のことは、人間の私は手を引かせてもらうことにしよう。……散々、私の計画を潰してくれたエルザだけはこの手で始末したかったが……フフフ、後始末はあの化け物に任せることにしようか」
ジェームズはずぶ濡れになりながら川岸へと上がって行き、そのまま山の斜面を登っていった。
このお話全30話、すべて書き終わりました。
毎日更新しておりましたが、コンテストに応募している関係上、6月1日に、残り26話から30話まで一気に掲載しております。
お話の順序等ややこしくなり申し訳ございませんが、26話から30話まで、順序にご注意頂き、読んで頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。




