第四回リプレイ 忌まわしきもの
風になびく金の髪。
きらきらと陽光を反射しながら。
無数のスポットライトを浴びているかのように。
微笑を浮かべたゼノーファ・ローベイル。
「それでは、ステージの開幕とまいりましょう」
優雅な一礼。
激戦のさなかにある敵味方に向かって。
あまりにも場違いで、そして不遜な行動である。
ほんの一瞬、黒い鎧の男たちが唖然とする。
それは、砂時計から零れる砂粒が数えられるほどの時間。
だが、チャンスを狙っていた者にとっては、充分すぎる時間だった。
「大地の精霊っ!
盟約に基づき、その力を我が前に示せっ!!」
放置されているだけと思われた馬車から響く詠唱。
最年少の精霊使い、ルゥ・シェルニーのものだ。
さすがにこのときばかりは普段の間延びした調子ではない。
次々と具現化するノームに足を掴まれ転倒する襲撃者たち。
戦闘中に動きを止めた敵を攻撃しないような人間は人道的だとは評されない。
ただ低脳だと罵られるだけだろう。
そしてラティナ・ケヴィラルもレスカ・エリューシュも、人道的でも低脳でもなかった。
「悪く思わないでね」
必死に藻掻く男どもにとどめを刺してゆく。
「フェイオさまっ
いまのうちにっ」
スライディングするように騎士と僧侶の戦域に突入する武闘家。
白兵こそ、彼女の本領だ。
「いくぞ」
「はいっ」
一秒の遅滞すらなく行動に移るフェイオ・アルグレストとマーニ・ファグルリミ。
目前の敵をラティナに任せ、重傷のベガを救うのだ。
このあたりの連携は、さすがにサンクン会戦を生き延びた勇者である。
「させるかっ!」
「させないのは、こちらの方だ」
銃声。
連続する。
マーニの邪魔をしようとした男達が、正確に頭を撃ち抜かれて倒れ込む。
振り向きざまに放ったリフィーナ・コレインストンの魔銃。
リロードされた魔弾が乾いた音を立てて路上に跳ね返った。
襲撃者たちの度肝を抜く見事なまでの技量。
つい先ほどまで無力だった女が、いきなり最大級の働きを示したのだから同然だ。
「さすがリフィーナっ☆
その魔弾は僕たちの愛のチカラさっ!」
くだらないことをのたまって親指を立てる遅れてきた男。
もちろん一顧だにされないどころか、金髪の銃士は視線すら送ってくれなかった。
「ステキにスルーですかっ
それもマタ良し。
びびっときちゃうねっ!」
ゼノーファの両手に魔力の光が灯る。
愛の光線、ではなくマジックミサイルだ。
後ろからリフィーナを狙っていた敵を打ち倒す。
「遊んでないでくださいよっ」
折れかけた杖を振り回し、眠りの雲を紡ぐモウゼン。
だがこれは、パーティーに余裕ができた証拠だった。
どんなときでも軽口と冗談を忘れないラティナやレスカあたりはともかく、真面目なモウゼンなどはいままで口をきくことすらできなかったのだ。
戦局が逼迫していたゆえに。
「ベガさま。
大丈夫ですか」
駈け寄りながら、すでに詠唱を完了させていたマーニが、すかさず回復魔法を使用する。
「ありがとうっすよぃ。
だいぶラクになったっす」
「すみません。
私の魔法では完治はできません」
「痛みが取れれば十分っすよぃ。
思い切りとべるっすから」
力こぶを作ってみせる赤毛の盗賊。
「頼もしいですわ」
僧侶が苦笑する
仲間の台詞は、サンクンの時のフェイオのものと酷似していたから。
「しかしこいつら……装備は立派だが……」
そのフェイオが低く呟いた。
現在、苦戦しているメンバーはいない。
ライゾウ・ナルカミもウィリアム・シャーマンも、自分が担当する敵と互角以上の戦いを展開している。
最悪、逃亡を視野に入れていたフェイオにとっては以外きわまる推移だといっても良いくらいだ。
ゼノーファの登場とルゥの気転という不測の事態があったことを考慮に入れても、である。
短時間に完璧な包囲体制を築いたのは称賛に値するだろうが。
「……そのあとはまるで素人だ」
戦力差があり、しかも包囲しているのだから、一人に対して四人五人とぶつけて各個撃破してしまえばいい。
むしろそうすべきだ。
にもかかわらず、必ず一対一でしか戦っていない。
騎士道精神、とでもいうべきか。
だが、騎士というには個人の戦闘力が低すぎる。
ライゾウに剣を叩き落とされたり、ゼノーファの演技で連携を乱したり。
考えてみれば、フェイオが躍り込んだときも一撃で首を刎ねられた者がいた。
これは、いかにもちぐはぐな事態ではないか。
ウィリアムとゼノーファ、そしてモウゼンを除くメンバーは、いずれもサンクンを戦い抜いた猛者ばかりだが、それにしても個体戦闘力の差がありすぎるように思う。
なにより不思議なのは、その程度の連中があれほどの装備をしているということだろう。
もちろんあんな鎧は商店になど売っていない。
仮に売っていたとしても、庶民に手が出るような価格ではないだろう。
それを二〇人以上も揃えているのだから、
「軍か……それに匹敵する組織か……」
いずれにしても、かなり大きな財政基盤があることになる。
しかし、それほど大きな組織が構成員の戦闘訓練をしっかりとやっていないというのは、少し考えにくい。
「……やってみるか」
敵のリーダーらしき男を睨みつける。
爪弾いてみなければ、弦の調子はわからないものだ。
「フェイオ殿」
意図を察したウィリアムが留めようとするが、目で制す。
ひとつには、味方は善戦しているが勝敗が決するまでにまだ何人かが怪我をするだろう、という読みもある。
ここまでくると敗れるとは思わぬが、ノーダメージで勝てると考えるほど、フェイオは夢想家ではなかった。
「私はルアフィル・デ・アイリン王国の赤騎士、フェイオ・アルグレスト。
貴兄らの将と一騎打ちを所望する」
目の前に剣を掲げる。
これで、相手のスタンスが知れる。
「よろしかろう。
我はラゴス・ジャス。
貴兄の挑戦に応じる」
フェイオと同じ姿勢を形作る敵リーダー。
どうやらラゴスという名らしい。
すっと剣を引き、後退する黒い鎧の男たち。
一騎打ちの邪魔をしてはいけない。これは騎士として当然の儀礼だ。
だが同時に、
「馬鹿げている」
ちいさく吐き捨てるウィリアム。
このまま事態が推移すれば、味方の勝ちはほぼ確定していた。
それこそ、彼らがやったような絶妙なタイミングでの奇策に、敵が成功しない限り。
一騎打ちをおこなうということは、せっかく傾いた勝利の天秤をまた平行に戻すようなものだ。
あげく一騎打ちに敗れでもしたら目も当てられない。
わざわざ敵にチャンスを与える理由が、ウィリアムにはわからなかった。
味方に死者が出ようとも、あそこは押し通す場面だろう。
戦う以上、犠牲が出るのは当然で、それを絶対に回避したいなら最初から降伏でもした方が良い。
戦闘という選択をしたのだから、いまさら損害を忌避してどうするというのか。
「ウィリアムどのは武人の心がわからぬのか?」
フェイオから長剣の鞘を受け取り、後ろに控えたライゾウが言った。
ややたしなめる口調であった。
「わからんな。
勝利の確率をみすみす下げる愚者の考えなど」
「敵に塩を送るのが武人じゃ。
ただ勝てばいいというものではないのじゃ」
「……ふん。
それで負けたときの言い訳を聞いてみたいものだな」
ウィリアムが鼻を鳴らす。
武人と軍人の差だろうか。
彼らの価値観の間には、高くて厚い壁が立ちふさがっているようだった。
そろりそろりと移動して円陣を形作る冒険者たち。
いつでも馬車に飛び乗れるように。
冒険者は、ウィリアムが考えるほど甘くはない。
フェイオが敗北した場合の対応も、きちんと考えてあるのだ。
ただ、基本的には赤の騎士の勝利を、皆が信じている。
彼の指揮の下、サンクン会戦という激戦を生き抜いたから。
そしてそれ以上に、
仲間だから。
「まいるっ!」
「きませいっ!」
二本の長剣が激突し、眩い魔力光が飛び散った。
バール帝国領メジの村は、べつになんの変哲もない寒村だった。
まばらに家屋が建ち、家畜の鳴き声がのどかに響いている。
「ど田舎を絵に描いたような場所だなぁ」
やれやれと肩をすくめるリュアージュ・エスタシア。
「だが、ここで竜鱗が売られていた」
遠くを見るような、ダルマー・B・ディの瞳。
その情報は大陸を巡回する商人から得たものだ。
彼らはそれを頼りにメジまでやってきた。
トラサルド市で長旅の疲れを癒しているズー・インクとレフィア・アーニスも、じきに追いつくだろう。
そうなれば戦力は一気に倍になるが、二人はさほど期待していない。
というのも、役人のズーには苦手意識が働いてしまうし、個人主義者のレフィアが集団行動に向いているとも思えないからだ。
数が力、とは必ずしも言えないのである。
まあリュアージュなどは、女性が加わるという点だけは喜んでいるが、実際にきちんと連携がとれるか、はなはだ疑問である。
これまで二人で上手くやってきたし、ひょんなことから同行者もできた。
「昔の話さ。
聖戦のあと、一枚でも売られたって話はきかないな」
その同行者、トーマスと名乗った男が言う。
「詳しいな。
あんた」
やや警戒するようなリュアージュ。
長大な魔力剣を操り、神聖魔法まで駆使するほどの使い手である。
味方だと単純に楽観することはできない。
もちろん助けてもらった恩義はあるが。
「俺はこのあたりの生まれでな。
それなりに詳しいのさ」
「ほう?」
ダルマーの目が細まる。
それならば、竜についてなにか知っているかもしれない。
「じつは私たちは、アイリンの花木蘭将軍の依頼で動いているのだ」
黒髪の武闘家が一歩踏み出す。
心理的に。
いずれ情報は多い方が良いし、警戒するだけでは何も変わらない。
ここは信頼を示した方が良いだろう。
少なくとも信頼しているのだと思っていてもらった方が、何かと都合が良いはずだ。
「ああ。
あの仕事か」
「知ってんのか?」
「有名だからな。
常勝将軍の依頼。
竜の峰を探せ。
達成した者には望むままの報酬を与えよう」
歌うようなトーマスの言葉。
しかし、やや悪意があるようにリュアージュには感じられた。
不思議そうな表情をしてしまう。
「天下の常勝将軍さまは、竜なんか探して、また戦争でも始めるつもりなのかね」
唇の端をつり上げる剣士。
その台詞を否定するだけの要素を、ダルマーもリュアージュも持っていなかった。
木蘭との付き合いが浅いゆえ。
依頼人と冒険者。
それ以上の関係ではない。
もしもズーやレフィアがこの場にいたなら、力一杯に否定したことだろう。
この二人はアイリン人であり、ともに深い敬愛を常勝将軍に対して抱いている。
ほとんどのアイリン人がそうだ。
このあたりはセムリナ人がSSSことサミュエル・スミスに抱く思いと同じである。
「まあ、いずれにしても、もう竜なんかほとんど残っていないさ。
常勝将軍の企みも未発に終わるというわけだ」
「そんなに減ってんのか?」
村の中を歩きながら、会話を重ねる。
ごくたまにすれ違う村人が、トーマスに対して丁寧に頭をさげる。
「もともと竜の数は多くはないのさ。
人間に比べたら繁殖力がずっと弱いからな。
子供なんて、一族全体でも何百年に一匹とかしか生まれないし」
「へぇ……」
「それが、こないだの戦いで激減した。
竜騎士たちが乗ってたブルーやホワイトだけでなく、最初から魔王についてるブラックやレッドもな。
ゴールドやシルバーなんて最初からほとんどいないし」
「本当に詳しいのだな」
感心するダルマー。
聖戦については、彼も多少の知識もあるが、主戦場となったアイリン王国に当時いなかったこともあって、実体験としてはほとんど知らない。
竜についても。
これは、リュアージュも同じである。
竜を憎んでいるような、蔑んでいるかのようなトーマスがここまで詳しいのは、やはり不思議だ。
ぽりぽりとトーマスが高い鼻の横を掻く。
意外なほど子供っぽい仕草だった。
「好きで詳しいわけではないんだがな」
「というと?」
直接には答えず、
「竜の峰の場所はさすがに知らないが、竜の郷までなら案内してやろう」
あっさりと言い放つ。
愕然とする二人。
いまトーマスは、なんと言ったのだ?
「まあ、ようするにな。
俺は竜の郷の生まれなんだ」
戦いがあった。
護り手の聖戦、と、後に呼ばれる戦だ。
竜を乗騎として操る竜騎士。
彼らが魔王ザッガリアに与したことにより、世界は滅亡の危機に瀕した。
それを救ったのが、七人の聖騎士たちと無数の護り手たちである。
聖騎士と竜騎士。
かつては神々とともに戦った同志の末裔が剣を交えた。
理想のために。
人々のために。
新たな世界を築くために。
いまの世界を守るために。
互いに望んでいたのは戦のない平和な世界。
しかし、竜騎士と聖騎士は戦わなくてはいけなかった。
同じ目的を持っていたのに。
手段の違いだったのだろうか。
竜騎士の長ウィリアム・クライヴという天才が築こうとした、矛盾を是正し社会的不公正を無くした、整然と秩序ある世界。
数万数百万の凡才たちが試行錯誤を重ね、失敗を繰り返しながらもより良い道を手探りで探す世界。
どちらが正しい姿だったのか、歴史はそれに答える術を持たない。
勝ったものが正しいとするならば、後者が正しかったことになる。
だが、世界は相変わらず矛盾に満ち、貧富の差は歴然と存在し、戦もなくならない。
聖戦の後、アイリン一国だけをみても、アリーズ事変、ジャスモード会戦、サンクン会戦という三つの大きな戦いを経験している。
何万という命が戦場に散った。
護り手たちが望んだ世界とは、はたしてこんなものだったのか。
「いってしまったな。
追いかけなくて大丈夫か?」
ズーが前輪に声をかける。
「いま合流しても意味ないんだよ。
あの剣士を信用する理由もないし」
むすっとした表情のままレフィアが答えた。
前輪に座してはいるものの、手綱はズーが握っている。
文字通り乗っかっているだけなのだ。
アイリンで仲間たちから離脱して以来、ずっとこの状況である。
なかなか心楽しくなるものではなかった。
犬を連れた兵士は夜ごとに少女の肉体を要求するような鬼畜ではなかったが、それでも自由を束縛されている事実は動かない。
まあ、逃げようと思えば逃げる隙がないわけではないが、万事に積極的なレフィアだってバールくんだりで単独行動をとるのは心細い。
アイリン正規軍の兵士が一緒の方が、何かと都合が良いはずである。
と、開き直ってはいるが、無理に自分を納得させるのはけっこう大変だ。
「それに、あたしたちはあたしたちでやることがあると思うんだよ」
「それは?」
「少しは自分で考えないと、あたまパーになるんだよ?
あの人たちは死霊魔術師を倒してない。
発見してもいない」
ダルマーやリュアージュが戦っていた場所から、やや離れたところにある小高い丘。
じつは二人は、戦いを見ていた。
見ていだけで助けようとしないあたりレフィアのレフィアたる所以だが、丸一日以上の遅れを月光の俊足によって取り戻し、この場所までやってきたときにはすでに戦いが終息へ向かっていたという事情もある。
そうなると、加勢するよりも状況を見極めた方が良い。
こうして珍しく意見を一致させた二人は、高みの見物を決め込んだのである。
「なるほど。
裏の事情を探ろうってわけだね?」
「そゆこと。
できすぎてると思うんだよね」
ダルマーたちが陥ったピンチ。
都合良く現れた謎の剣士。
鮮やかに彼らを助けたわけだが、どうにも胡散臭いものを感じる。
そもそも骸骨戦士が襲撃を仕掛ける理由がわからないし、引き際が良すぎるのも気に掛かる。
非常に穿った考え方をすれば、あの剣士がダルマーたちに取り入るための演出、と見ることもできるのだ。
「メジに逃げ込むとは思えないから、当然、森だよな」
「一〇〇パーセントじゃないけどね」
月光が進んでゆく。
森の中には獣道がのびている。
あまり足場が良いとは言えないが、当代一の名馬と誉れ高い月光の足取りは平地を征くようにしっかりしていた。
と、馬の前に立ちふさがる男。
「……我が森を侵す愚者どもよ……」
薄汚れたローブ。
苔むしたような杖。
うつろな眼窩。
レフィアが息を呑む。
「こいつが死霊魔術師の正体だとしたら……」
「ちょっとヤバいかもっ」
馬首を巡らすズー。
深入りしたのは失敗だった。
骸骨戦士を操っていたのは謎の剣士どころか、人間ですらない。
リッチ。
高位のアンデッドモンスターである。
もちろん、魔法の心得のないレフィアやズーが歯の立つ相手ではない。
「逃げるが勝ちっ」
「全面的に賛成だよっ」
風の矢と化して駆け抜ける月光。
「愚者どもよ……地獄の業火に焼かれよ……」
後方からきこえる詠唱。
アンデッド化する前は、かなり高位の魔術師だったのだろうか。
「アイシクルランスっ!?
よけてっ!
ズーっ!!」
「無茶いうなっ」
たしかに無茶な要求だ。
飛んでくる魔法を回避するなど、達人と呼ばれる剣士だって難しい。
「くっ!?」
背後に迫る氷の槍。
そのとき、月光が唐突に真横に跳ぶ。
レフィアの顔を魔法が掠める。
「なっ!?」
「なんて軌道なのっ!?」
乗っている二人が、いちばん驚いた。
魔法まで回避する動きを見せるとは。
月光が名馬だということを疑ってもいなかったズーだが、その予想すらはるかに上回る優秀さだ。
次々に襲いかかる攻撃魔法を、ありえない軌道で回避し続ける白馬。
誘導弾であるマジックミサイルすら。
身体にかかる重圧で振り落とされそうだ。
「こうなったら、このまま合流するしかないなっ」
「消極的賛成だよっ」
声が風に千切れ飛んでゆく。
比喩抜きに、矢のような速度だった。
ズーの懐から顔を出したクロロが、驚いたように首を引っ込めた。
斬りつけ、外し。
薙ぎ払い、流し。
突き込み、受け止め。
掬い上げ、弾き返す。
フェイオとラゴスの一騎打ちは、数十合に及んだが決着が付かない。
刃鳴りとが連続し、めくるめく魔力光が彩る。
ふたりが演じているのは単なる殺し合いのはずなのだが、どこまでも壮麗で美しく、見るものの目を奪った。
ラゴスの斬撃が受け流されると、黒い鎧の男たちが溜息を漏らし、フェイオの剣が空を切ると冒険者たちが嘆息する。
互角。
誰の目にもそう映った。
剛剣と烈剣が火花を散らし、戦いはいつ果てるともなく続く。
これほどの勇敵は、フェイオの記憶の中に存在しない。
かつて戦ったドイルの王子アラートすらも、ラゴスほどの使い手ではなかった。
「はぁぁぁぁっ!!!」
突進からの鋭い突き。
左に回避しようとするラゴス。
唐突に軸足を変え、身体を回転させて敵の回避方向から薙ぐフェイオ。
最初の突きはフェイントだ。
必殺の気合いが大気を切り裂く。
聖なる光を帯びた長剣。
黒い鎧に亀裂が入り、ラゴスの腹部から血が流れる。
だが、浅い!
「ちぃぃっ!」
フェイオの右頬に鮮血が散った。
鎧を割られながらもラゴスが猛烈な突きを放ったのだ。
咄嗟に首を捻らなかったら、顔面を貫かれていたことだろう。
大きく飛び離れるふたりの剣士。
「やるな……!」
「そこもとこそ」
互いの表情には、笑みすら浮かんでいた。
これほどの使い手と剣を交えることができるのは、あるいは至福というべきではないだろうか。
そのような思いが去来していたのかもしれない。
「……バトルマニアですわねぇ……」
呆れたように呟くのはラティナだ。
彼女も戦いはけっして嫌いではないが、難敵との勝負など遠慮したいところだ。
むしろ、抵抗できない相手をじわじわといたぶる方が、ずっとずっと好きなのである。
「人は彼女をさして変態と呼ぶ、まる、っと」
熱心にメモをとっているレスカ。
無言のまま、それを取り上げるラティナ。
「適当なナレーションを入れた上に設定を捏造しないでくださいませっ!」
びりびりと破り捨てたりして。
「ああっ!? ポエムのプロットがっ!?」
「まだそのネタを引っ張っていたんですの!?」
「ネタじゃないもんっ
らいふわーくだもんっ」
「そんなライフワークはデュワーヌ大河にでも捨てておしまいなさいっ」
「河川環境破壊はんたーい」
「捨てたら環境破壊になるんですかっ!」
「田んぼをかえせ~」
もはや何の会話だかわからない。
さて、ネタ師どもが漫才を繰り広げているのを尻目に、じっとマーニが戦況を見つめている。
「……まずいかも、ですねぃ……」
金髪の僧侶に肩を借りたベガが呟く。
小さく頷くマーニ。
フェイオとラゴスの技量は互角に見える。
ということは、最終的に装備の差が勝敗を分けてしまうだろう。
剣は良い。
フェイオの長剣にはマーニが施した祝福がある。
ラゴスの魔力剣とも充分以上に渡り合える。
だが、防御という面では圧倒的に不利だ。
赤の騎士の渾身の攻撃をもって、ようやく突破できる黒い鎧。
それに対して、フェイオは一撃喰らえば、それでおしまいである。
ラゴスの魔力剣は軽装のブレストプレートなど、チーズでも切るかのように斬り裂いてしまうだろうから。
「フェイオさま……」
祈りを捧げるように僧侶が両手を組む。
じつのところ、彼女はフェイオを救う手段を持っている。
プロテクションの魔法。
それは、ゼノーファやモウゼンのようなマジシャンたちが使うコモンマジックだ。
プリーストのマーニだが、ルーンの教えに従い、いくつかのコモンマジックを修得しているのである。
ただ、使えはするのだが、使ったことはない。
単に使う機会がなかったというのが最大の理由であるが、切り札は最後までとっておくべきだという計算もあった。
現状、ゼノーファたちは敵を牽制して動けない。
プリーストの自分がコモンマジックを使うとは、おそらく敵も考えていない。
今こそ、切り札を切るべき時かもしれなかった。
「でも……」
じっと騎士の姿を見つめる。
プロテクションをフェイオに使うには、戦域に飛び込んで彼の身体に触れなくてはならない。
そんなことをすれば、ラゴスにばっさり斬られる可能性が、少なく見積もっても七割ほどはあるだろうが、そんなことは問題ではなかった。
自分の命と彼の命。
比較する必要もない。
マーニが躊躇うのは、一騎打ちの邪魔をしてはいけない、という不文律のためである。
死力を尽くし、持てる技能のすべてを挙げて戦う剣士たち。
横から一方に手を貸すことは最大限の侮辱だ。
ようするに「お前は相手に勝てないのだから手伝ってやる」と言っているのと同じだから。
そんな勝ち方を、騎士であるフェイオが肯んじるだろうか。
余計な手出しをした自分を許してくれるだろうか。
だが、このまま事態が推移すれば、彼は命を落とすかもしれない。
たとえ嫌われても、生きていて欲しい。
嫌われるくらいなら、騎士のプライドに殉じさせた方が良い。
想いは螺旋の迷宮を描き、聡明なマーニにも出口を示してくれなかった。
「私は……どうすれば……」
「……大丈夫っすよぃ。
マーニ姐さん。
ダンナは必ず勝ちますよぃ」
さっきとは逆のことを言って、赤毛の盗賊が微笑した。
唇には乾いた血がこびりついている。
それは、安心させるための根拠ない言葉。
内心を見透かされたような気がして、ごくわずかにマーニは頬を染める。
それから、
「その顔で笑うと、ちょっと怖いですわ」
珍しく軽口を叩いた。
凄まじい勢いで、白馬が駆けてくる。
見間違うはずもない。
月光だ。
「追いついたようだな」
ダルマーが目を細める。
「でも、なんかやたら慌ててねーか?」
首をかしげるリュアージュ。
まるで何かに追われるように月光が走ってくるではないか。
「それにしてもすごい速度だな。
名馬じゃないか?
あれは」
どこまでも暢気なトーマス。
まあ、彼は木蘭の月光を知らないのだから無理はないが、暢気といえば三人とも暢気である。
やがて最接近した月光から、ズーとレフィアが飛び降りる。
「でっ!
でででででっ!」
ズーが意味不明なことを言っている。
「たっ!
たたたたたっ!」
レフィアも、意味不明なことをほざいている。
「ばぅっ!
ばぅばぅばぅきゃいんっ!」
クロロも、よくわからないが吼えている。
なにがなんだかさっぱりである。
「まあまあ。
もちつけもちつけ」
リュアージュが、おもにレフィアをいたわり、この機に乗じていろいろややこしいところを撫で回した。
赤毛の少女は反撃する余裕すらなかった。
「気を見るに敏。
まさに男の鑑だな」
「そんな解釈で良いのか?」
「良いのではないか?
リュアージュだし」
「まあ、リュアージュだしな」
ダルマーとトーマスが、理不尽な納得をしている。
「り、り、りー りー」
息も絶え絶えなズーがなんとか事情を説明しようとするが、残念ながら意味のある言葉にはならないようだ。
「りーりー?
盗塁でも狙っているのか?」
「いや、カレーだろう。
俺は夏限定の辛い奴が好きだな」
「ばぅっ!!」
「うぐおっ!?」
「ぐべはぁっ!?」
危険領域に突入した男どもに電光の速さでクロロが襲いかかり、打ちのめした。
閑話休題。
「なるほど。
骸骨戦士を操っていたのはリッチだったのか」
納得したようにダルマーが頷く。
一〇分後、正気を取り戻したズーとレフィアを含めた五人は車座になって情報の交換を行っていた。
「でも解せねーな。
俺たちゃべつに森の中歩いてたわけじゃねーんだぜ?
レフィたちははともかくとしてよ」
顔中を引っ掻き傷で化粧したリュアージュが疑問を呈する。
傷の方は自業自得というか因果応報なので誰も気にしなかったが、その疑問には皆頷く所であった。
白馬の二人はあえてリッチの巣に飛び込んだのだから襲われるのは仕方がないとしても、ダルマーたちが襲撃されたのには合点がいかない。
「そんなことも知らずに乗り込んでくるんだからな。
困ったものだ」
やれやれとトーマスが肩をすくめる。
「知ってるの?」
「村の近くの森にリッチが陣取ってしまってな。
それがメジが廃れる原因のトドメというべきだな」
レフィアの問いにトーマスが答える。
護り手の聖戦の後、竜鱗が出回らなくなったメジは急速に過疎化が進んでいった。
それでも人の往来が無くなったわけではない。
竜の伝承を求めて訪れる者はいたし、ルーンへ抜け道として使うものもいたからだ。
それが、一年と少し前、近くの森に魔物が住み着いたことにより、村は致命的なダメージを受ける。
経済的に。
村を訪れようとする人々が、しばしば不死の眷属に襲われるのだ。
当然、メジ村では対策も練られたし、ガズリストグラードの冒険者ギルドにも依頼が出た。
「俺も一回やりあったがね」
「でも、リッチには歯が立たなかった?
それほどの魔剣をもってるのに」
「こっちの攻撃範囲に入り込めないからな」
その言葉に大きく頷くズー。
ああも矢継ぎ早に魔法を繰り出されては、近寄ることすらできない。
難攻不落といっても過言ではないだろう。
「ま、バールに肩入れして追放された大魔法使いのなれの果てじゃないかって噂もあるがね。
いまとなっては真偽の確かめようもないさ」
ウィザードに勝ちうるのはウィザードだけ。
魔力戦では戦士に出番はない。
それこそ、ほとんどの攻撃魔法を弾き返すドラゴンスケイルアーマーでも着込んでいるなら話は別であろうが。
「竜鱗なんてもう手に入らないし、仮に入ったとしても俺はそんなモン着たくもないね」
「よほど竜が嫌いなのだな」
「嫌いだね。
あれはただの魔獣さ。
神の眷属でもなんでもない。
聖戦で滅んだのは正解だと思っている」
嫌悪も露わにしたトーマスの台詞。
やや鼻白んで見つめ返すダルマー。
竜の郷の生まれだというのに竜を憎む。
その心理は、彼には理解できない。
だが問いつめようとは思わなかった。
誰だって心に秘めたことの一つや二つはある。
無理に訊いたり忖度したりするのはマナー違反だろう。
「さてと。
そろそろ行くとするか。
竜の峰に入るカギは竜神官の夫婦が持っているはずだ。
えらい頑固者だがね。
事情を話せば入れてくれるかもしれない」
荷物を背に、歩き出す剣士。
「夫婦っ
奥さんの方は美人かなっ」
横に並んだリュアージュが、またもくだらないことを訊いた。
「さあな。
六〇年前は美人だったかもしれん」
「げー、婆さんかよ。
行きたくなくなってきたぜ」
「ばーかっ!」
レフィアが弓士の尻を思い切り蹴飛ばす。
「いてぇっ!」
「やれやれ……」
ズーが肩をすくめ、同意するようにクロロが尻尾を振った。
不意に、ラゴスの動きが止まった。
それはあまりにも唐突で、フェイオが斬りかかることを忘れるほどの変化だった。
ぽかんと口を開け、構えもとらず、文字通り隙だらけである。
よほどの衝撃が、この剛剣の使い手を襲ったらしい。
フェイオの後方を見つめたままだ。
振り返る。
茶色い瞳に映ったのは、こちらに向かって馬を進める女。
たしかゼノーファと一緒にいた女だ。
「……シャルヴィナ・ヴァナディース……」
ラゴスの呻きが、赤の騎士の鼓膜を揺らす。
誰でも知っている名。
そして、誰もが忌む名。
「そう呼ばれていたことも、あったな」
冷たく乾いた女の声。
「くっ!
退けっ!」
ラゴスが腕を振り上げ、慌てたように退いてゆく黒い鎧の男たち。
あまりに矯激な事態の変化に、唖然とする冒険者。
否、それ以上にラゴスが呟いた名にこそ、彼らは驚愕している。
「邪魔をしてしまったようだな。
すまない。
赤の騎士」
「シャルヴィナ・ヴァナディースだと……っ!」
その謝罪を受け入れる心境に、フェイオはなれなかった。
魔軍の副司令。
モンスター軍団を率いて王都アイリーンを襲った女。
あの襲撃で彼は幾人もの友人を喪っている。
フェイオだけではない、ルゥもリフィーナもモウゼンも。
当時、王都アイリーンに居住していた人間にとって、シャルヴィナとはとうてい許すことのできぬ敵だ。
よりにもよって、そんな女を連れてくるとは。
ゼノーファはいったい何を考えているのか。
無言のままリフィーナが魔銃を向け、モウゼンが杖をかまえ、ルゥが印を結んだ。
一触即発の危機を孕んで、空気が帯電する。
ウィリアムやライゾウすらも、非好意的な視線で女を見つめる。
ゼノーファに至っては、呆然として声も出ないようなありさまだ。
ルーンシティからいままで一緒に旅をしてきた美女が、まさか魔王軍の副司令だったとは。
例外は、マーニ、レスカ、ラティナの三人である。
さすがに最初は驚いた顔を見せたものの、すぐに落ち着きを回復している。
「つまり、あなたが「アリス」さんだね?」
黒髪の忍者の問い。
「木蘭将軍に訊いたのか?」
「アリスという名前だけはね。
もしかしたらその人はシャルヴィナ・ヴァナディースなのかもしれないと思っていたんだけど。
どうやら正解だったみたいね」
「正解してもぜんぜん嬉しくない推理というのも、なかなか珍しいですわね」
苦笑するラティナ。
まったくその通りだ。
「くっ」
「フェイオさま。
堪えてください。
この人はカギかもしれないんです」
必死にマーニが騎士をなだめる。
やっと掴みかけた糸口らしきものだ。
ここで失うわけにはいかない。
空虚で乾いた笑みをシャルヴィナが浮かべた。
「言いたいことはいろいろあろうが、すべて終わったことだ。
水に流そうではないか」
「貴様がそれを言うのかっ!」
トリガーにかけた指に力をこめるリフィーナ。
「あの戦いで、私の叔母さんは命を落としたのに……」
大きな目に涙を溜めているルゥ。
怒りとも哀しみとも付かぬ感情の揺れ。
嘆きの精霊が具現化しつつある。
二〇万のモンスター軍団による侵攻。
浮遊魔城インダーラの来襲。
ふたつの戦いは、王都アイリーンに住む人々に大きな犠牲を強いた。
知己を失わなかったものの方が珍しいほどに。
それだけのことをしておいて、殴りつけた側が「水に流そう」だと!?
「ふざけるのも大概にしろっ!!」
引き金を絞る銃士。
「リフィーナっ!?」
蒼白になるゼノーファ。
憎からず思っている女に対して、憎からず思っている女が発砲するとは。
だが、魔弾はシャルヴィナには命中しなかった。
正確無比な射撃を誇るリフィーナにしては希有なことである。
否、当たってはいるのだ。
違う人物に。
「モウゼン……」
「待ってください……リフィーナさん……」
左肩を押さえ、地面に蹲る少年魔法使い。
発砲の瞬間、射線の前に飛び出したのである。
咄嗟にリフィーナが銃口を逸らさなければ、額を撃ち抜かれていただろう。
「お前は……」
「待ってください……リフィーナさん……まずは冷静に話し合いを……」
シャルヴィナとは、彼の常勝将軍が庇い、偽名を与えてまで逃がした人物だ。
言われているような邪悪な人物ではないのかもしれない。
まして、無能な人間では絶対にないだろう。
そんな人が、殊更に憎悪を煽るよな言い方をするのには何か理由があるはず。
そう考えたとき、少年の身体は自然に動いていた。
「ばかもの……」
「お願いです……無駄に傷つけ合わないで……」
光を失う少年の瞳。
激痛で気を失ったのだ。
半ば抱きかかえるようにして支えるリフィーナ。
マーニが回復魔法を使うために駈け寄ってくる。
なにも言わず、リフィーナが銃をホルスターに収めた。
モウゼンもまた魔軍の侵攻によって多くの知己を失っている。
だからこそ、彼の行動は称えられるべきだ。
「良いでしょう……いまは……」
精霊たちに、ルゥが語りかける。
冒険者たちの葛藤を見つめていたシャルヴィナ。
小さく息を吐き出す。
「アリス……いや、シャルヴィナ。
君は……」
なにか言おうとしたゼノーファだったが、次の言葉が出てこない。
「竜の峰を探しているのだったな?」
「あ、ああ……」
「峰までは無理だが、竜の郷までなら私が案内しよう」
ぽつりぽつりと申し出る。
どうしてわざわざそんなことを提案してくれたのか。
罪ほろぼしだろうか。
世界に弓を引いた。
数万の人間を死なせた。
だが、むろんゼノーファは訊ねたりしなかった。
訊いてはいけないことだ、と、理性以外の声が告げていた。
だから、
「ありがとう」
と、金髪の魔術師はごく短い言葉を紡いだのみである。
ウッズとメジの間に横たわるファウストの谷。
峻厳な渓谷地帯を抜け、人の目に止まることのない脇道に入り、数日の距離を進むと、やがて肥沃な台地が広がりを見せる。
それが、竜の郷と呼ばれる広大な領域だ。
ばらばらに行動していた冒険者たちが一同に会したのは、その竜の郷においてである。
アイリーンで別れたきりのダルマーやリュアージュなどにとっては、ほぼ三ヶ月ぶりの再会だ。
感動の、という形容詞は残念ながら付属しない。
シャルヴィナとトーマスが、互いの顔を見るなり、非友好的な視線を交わし合ったからである。
「魔軍に与した女が、つぎはなにを企むのか」
「竜狩人と堕したお前が、どの面を下げて郷へ戻ってきた」
斬り合いが始まってもおかしくないような雰囲気だ。
顔を見合わせる冒険者たち。
目的地を目前にして、どうやらもう一波乱ありそうだった。
■ 登場NPC
◎アリス/女/20代
本名シャルヴィナ・ヴァナディース。
護り手の聖戦と呼ばれる一連の戦いで、竜騎士ウィリアム・クライヴの副将として世界を相手に闘った女。その肉体は星竜に憑依されており、徐々に竜化が進行している。
◎トーマス/男/20代
本名トーマス・クライヴ。
最後の竜騎士ウィリアム・クライヴの実弟。
魔王ザッガリアの元に走った兄を軽蔑しており、竜に対して深い憎悪を抱いている。
◎ラゴス・ジャス/男/20代
竜狩人の1人。家族と恋人を竜に殺され、竜に対して強烈な憎悪を燃やしている。
◎竜神官夫妻/夫婦/老齢
金色の竜王マルドゥークを奉ずる竜神官。
竜の峰へと入るカギを持つ。
■次回予告
竜の郷において集合した冒険者たち。
トーマスとシャルヴィナ。
竜に関わる二人の対立は深まり、ついに激突する。
「竜は滅びるべきだ。我々の手でそれを加速させる!」
「滅びが神の御意ならば従おう。
だが、どんな生き物でも運命に抵抗する権利を持つはずだ。
たとえ叶わぬとしても。
違うか?」
終焉の時へと、物語は紡がれてゆく。
※次回行動への指針※
■ 次回の行動(目安です)
1 トーマスに付く
2 アリスに付く
3 独自路線を進む
4 その他
■ アンケート
Q1 竜は、どうして魔王に従ったのだろう?
Q2 竜騎士ウィリアム・クライヴ。彼は本当に悪だったのか?