表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦える魔法少女このかちゃんと戦えない樹くんの共依存スパイラル  作者: maricaみかん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/30

心に至る凍え(3)

 新しい決意を固めて、その次の日。

 樹くんの通っている病院にガベージが襲いかかったってリーベに言われた。

 すぐに、頭が沸騰したような感覚があったよ。

 樹くんが傷つく可能性があるのなら、絶対に許さない。

 どんな手を使っても、何を犠牲にしても、殺し尽くしてやる。そう決めていた。


 全力で病院に向かって、すぐに戦いの準備を終える。


「前を向いて生きようとする人々の邪魔をすることは、このブロッサムドロップが許しません!」


 なんて言いながら、頭の中には樹くんのことしか無かったんだよね。

 人々の存在なんてどうでも良くて、ただ樹くんを傷つけようとする存在が許せなかっただけ。

 こんな感情が知られたら、樹くんには嫌われちゃうかもね。だから、頑張って隠すよ。


 あたりにうろつくガベージ達を素早く始末して、様子を見る。

 どうせ、四天王とやらが出てくるだろうからね。今までの流れで、簡単に想像できる。

 何者が相手だろうと、さっさと片付けるだけ。それだけでいいんだよ。


 それから現れたのは、緑色の怪人。もう見慣れたものだよね。

 正直、どんな能力をしてようが知ったことではないよ。すぐに殺すから。


「オイラはゲドーグリーン。この病院は、ゲドーユニオンが破壊するよー!」


 つまり、樹くんのいる場所に被害を出すってこと。

 そこまで考えがおよんだ時、ゲドーイエローに傷つけられた樹くんの姿が思い浮かんだ。

 あの時と同じようにしようだなんて、死んでも許されない罪だ。

 わたしの中で、強い怒りが吹き上がってくる。殺意だけで心が埋まりそうなくらい。


「そんな事、許しません!」


 ゲドーイエローの時と同じ力が使えると、心で理解できたよ。

 そして、すぐに黒くなったリボンを敵に放つ。

 ゲドーグリーンを包み込んだ後、全力で痛めつけていったんだ。

 全身がボロボロになっていたけれど、当然の報いだよね。

 樹くんを傷つけるなんて罪、どんな地獄を感じようとも許されないよ。


 なんだか悲鳴も聞こえた気がしたけど、どうでもいいかな。

 樹くんは、わたしを心配そうに見ているけれど。

 その気持ちは嬉しいけれど、でも気にしてないんだよね。

 ただ、私が他人をどうでもいいと思っている事実が、樹くんに知られちゃったら。

 もし嫌われたら耐えられないし、不信感を抱かれるだけでもつらいよ。


 樹くんに、人の命をなんとも思ってない人だって見られたら、耐えられない。

 だって、いつでも素敵な存在だと思ってほしいから。

 頼りにならないって思われるのは、仕方なくはあるけれど。

 可愛くないって思われたら、もうおしまいだよ。


「ブラック様、ごめん。ブロッサムドロップには、勝てなかったよ……」


 残りは、ゲドーブラックだけなのだろうね。四天王をすべて倒したんだから。

 何が何でも皆殺しにして、樹くんと穏やかな日々を過ごす。それだけでいい。

 ゲドーユニオンなんて、1人だってこの世に残っていなくて良いんだよ。

 何者かだって、どんな目的があるのかだって興味なんて無い。

 とにかく、わたし達が幸せになるのに邪魔なんだ。それだけで、万死に値するんだよ。


「ゲドーユニオンの悪逆は、私が打ち砕きます」


 生きている事自体が、悪なんだよね。わたしが樹くんとの時間を奪われるんだから。

 だから、必ず葬り去ってあげるね。樹くんとわたしの幸福のために。

 わたし達が結びつくための土台になれるんだから、光栄に思ってほしいな。


 なんだか、樹くんが心配そうな目で見てきている。

 やっぱり、わたしは頼りないのかな。それとも、恐れられちゃったのだろうか。

 どちらにせよ、樹くんの心が離れるのなら、わたしはすべてを失ってしまう。

 その恐怖は、背筋に氷を当てられた時以上の寒気を運んできたんだ。


 結局、樹くんが検査の結果を受け取るのにはついていかず、ひとりで帰ることにした。

 それから、ひとりで今日を振り返っていると、ある考えが思い浮かんだんだ。

 内容は、これから先の未来で樹くんと元の関係に戻れるのかなってこと。

 ふと浮かんだだけなのに、今日感じた強い寒気を、はるかに上回る凍えがやってきた。

 日本から出たことはないけれど、北極や南極はこんな感じなのかなって。


 とにかく怖くて、逃げ出せる場所があるのなら逃げていたよ。

 樹くんと、これから先の関係が結べない。そんな可能性は想像だってしたくないのに。

 だけど、具体的なイメージが浮かんでしまった。

 ちょっとギクシャクしたまま、だんだん遠ざかってしまうような光景が。


 ふと気づくと手のひらに水のような感触があって。

 涙を流したのだと、後から理解できたんだ。

 当たり前のことではあるよね。樹くんを失う可能性が思い浮かんだら、泣いてしまうなんてことは。


 でも、これ以上考えたらダメだ。ゲドーブラックを倒すために、立ち上がれなくなってしまうよ。

 だから、今はこの気持ちにフタをしよう。これからの日々に、希望があると信じて。

 樹くんと結ばれるために、その先の未来を幸せに過ごすために。

 それだけが、わたしの力になってくれるから。


 ねえ、樹くん。お願いだよ。

 たとえふたりの関係が変わったとしても、ずっと好きでいてよ。

 そうじゃないと、わたしは生きていられないんだ。

 わたしが感じる幸せは、ぜんぶ樹くんでできているんだから。


 いま、隣に樹くんがいてくれたのならな。きっと、涙だってこらえられたのに。

 ずっとそばに居てよ。温めてよ。それだけで、生きていけるから。どれだけでも強くなれるから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ