第8話 「学校からの逃走劇」
久々の投稿です。よろぴー
「そうだ、こんなところで負けていたら僕は……」
「姉さんを救うことなんてできない……!!」
僕の咆哮が体育館に響き渡る。その声に圧倒されたか、夜光 玄武が体制を崩した。
「今だ! これが僕と姉さんの……拳の力だぁ!」
「――!」
夜光玄武の体が再び吹き飛ばされる……が、油断は禁物だ。こちらは姉が僕の拳に宿っているだけなので、本体は一人だが、あちらは兄と妹の二人、実質二対一だ。
「もう一発いくよ! 姉さん!」
「了解! ガンバレ真也!」
「くっ……このままじゃ」
僕は拳の狙いを夜光兄弟の妹、夜光秋華に定める。ここで拳を食らわせることができれば、僕はこのまま窓から逃げられるはずだ……!
「おりゃあああ!!」
「――わっ! しまった!」
夜光秋華が体を退き、僕の拳は空を切る。……まずい、このままじゃ――
「真也! 落ち着いて、まだ大丈夫! 当たれば絶対逃げられる!」
姉の声を聞き、僕は正気を取り戻した。よし、まだチャンスはある。もう一発……!
「――は」
「――やば」
僕の二発目の攻撃の結果は、拳は空振り、腕は夜光秋華につかまれるという最悪なものだった。
「……ふぅ。ようやく捕まえた」
「本当ならその拳の情報を聞き出したいところだけど、今はもうそんなこと言ってる場合じゃあないね」
「んっんっ! は、離せ!」
夜光秋華の腕掴みから逃れようと必死に右手で抵抗するが、彼女の手は緩まることを知らない
「真也! 落ち着いて! 足!」
「はっ! そうか」
僕は姉の言葉を受け、咄嗟に夜光秋華へ足を向ける。秋華が体のバランスを崩す。
「今だ!」
秋華の崩れた体勢を見て、僕は咄嗟に自らの左拳を引き抜く。虚を突かれた秋華は、顔が一気に青ざめる。
「ふっ!」
解放された左拳で秋華に殴りを入れる。……もう狙いは外さない。
「――っ」
攻撃を受けた秋華が、地に打ち付けられる。やられていたのが僕だったら……と想像すると、心がゾッとする。
「今度こそ!」
僕は戦いを中断し、駆け足でボロボロの窓ガラスへ向かう。あと少し殴れば、すぐにでも壊れそうだ。
「ま、待て……」
吹き飛ばされた玄武が警告をしてきたが、立って追ってくる気配はない。よほど拳のダメージが大きかったのだろうか?
「よし、これで……」
「――いける!」
割れたガラスの破片が体育館に飛び散る。破片の一つが僕の頬をかすめたが、今はそんなことを気にしている場合ではない。少しでも早くこの場を離れなければ。
「真也! 急いで!」
「……分かってる!」
僕は後ろを振り向かず、校門目指して一心不乱に突っ走る。ずっと通ってきた中学校、経路や地形は嫌になるほど熟知している……が、それは向こうも同じ。身体能力の分、普通に走っていれば捕まるのは時間の問題だろう。
「――はぁはぁ。ここまで来れば流石に大丈夫か……?」
僕は気を緩めて、後ろを振り向く。校門の外は、人通りの多い住宅街なので、ここまで来て暴れるとは考えにくい。
「よし、追ってきてないね」
「まだ油断しちゃダメだよ真也! どこかで隠れてるかもしれないじゃない」
「そうだね。気を付けて……一旦家に帰ろうか」
尾行されている……とは考えにくいが、僕らと奴らの力の差は明白、再び襲われたりでもしたらと思うとひとたまりもない。
「真也、大丈夫? どこか痛くない?」
「んー……まあ大丈夫かな」
「そう? なら良かった」
正直なところ、
センキュー




