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第4話 「力の使い方」

第4話です~! 今回は初の戦闘描写です!よろしくお願いします!

「真也……!? 逃げて!」


「あ、彩花……!?」


 目の前には、クラスメートの彩花と、スーツに身を包んだ謎の男が居座っていた。

彩花の顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていて、悲しそうな表情でこちらを覗いている。


「浅田 真也。14歳。"拳に姉が宿った中学二年生」


 男が、あざ笑うように不敵な笑みを浮かべた刹那、場に緊張感が迸る。


「――! 何故それを……!」


 僕は敵意むき出しで男を睨みつける。周りにいた人たちは、気づけばいなくなっていた。


「何故も何も、私はあなたたちを探していたのですから。政府の命令でね」


「政府の命令……? 探していた……? 何故だっ! お前の目的はなんだ!?」


 男に僕達を狙う理由を問う。男の笑みがより一層深くなった気がした。


「目的? そんなの私が知ったことじゃありません。私は政府に雇われているだけですから」


「あくまでお前は雇われの身で、命令に従ってるだけってわけか……」


 政府が僕のことを狙う理由_それは十中八九、いや確実に姉関連だろう。しかしこの目の前の男は政府の目的などは何も知らない……なるほど、厄介だな。


「とっ、とりあえず彩花を放せ!」


「ええ。いいとも。私に大人しく従ってくれるのなら」


 男は彩花には特に用はないようだ。ということは、男が彩花を捕らえたのは、あくまでも僕のことをおびき寄せるためだけであって彩花本人には用はない、ということになる。そのことが分かると、目の前の男が、さらに男の存在が醜くなる。


「従う……か。内容にもよるけど、僕らを傷つけるような奴の命令には従いたくないな」


「大丈夫。従順にしていれば、傷つくのはあなただけで済みますよ」


 男は、あざ笑うように言葉を言い放ち、僕のことを指さした。


「……真也を傷つけるのは、私が許さない」


 男の発言に、ここまで沈黙を守り続けてきた姉が痺れを切らす。その態度はいつもとは似つかないほどに真剣味が感じられた。


「私の命令に歯向かうのなら……多少危険な方法にはなりますが、これらを使う必要がありますね」


 男が懐から小型ナイフを取り出す。


「真也、気を付けて!」


 男がゆっくりと、ゆっくりと、一歩一歩確実に、僕の方向へと足を進める。僕は、男のオーラに襲われ、逃げることも立ち向かうこともできなくなっていた。


「し、真也君! 逃げて!」


 彩花が僕を守るために声を荒げて走り出す。男は表情1つ変えずに、後ろを振り返ると、――突然彩花の体に自らの長い脚を突き刺した。


「っ!?」


「あなたには先ほど"ここから動くな"と指示したはずです。あなたはそれを了承したはずです。――私は嘘を簡単につく人は嫌いなんですよね」


「彩花っ!?」


 蹴りをもろに受けた彩花は地面に転がり悶絶している。それをあざ笑うかのように男は髪を掻き上げた。


 その瞬間、理解した。――目の前にいるこの男は絶対に生かしておいていい存在ではないのだと。


「……ふざけんな」


 彩花の姿を昔の自分と重ねてしまい、僕の頭が怒りで埋まる。

 考えるよりも前に先に体が動いていた。気づいたら僕は男の手をギュッと掴んでいた。


「おっと、手は出さないでくださいね。私も出しざるを得なくなりますかr――」


 僕の左拳がものすごい勢いで男の顔面を通過する。


「すっかりやる気のようですね。ならばこちらも――」


「黙れ」


 僕の二発目の攻撃が男の体ぎりぎりをかすめる。が、休み暇もなく僕は男に追撃を食らわせにかかる。


「ッ! これが"唯一の成功者"の力か……」


 僕の激しい猛攻に、男は避けることしかできない。理性を失った僕の攻撃は止まることを知らない。 

――ついには男の顔面に拳が直撃した。

男はしゃがみ込んで必死に痛みをこらえている。


「真也、落ち着いて! 冷静になって!」


 我を失いロボットのように動き続ける僕を止めようと、姉が必死に呼びかける。しかし、僕の耳にはとどかない。


「……仕方ない。私も私の力いけないようだ」


 男が再び笑みを浮かべる。その表情はここまでの戦いを見たら考えられないほどに余裕に満ち溢れていて恐怖すら感じる。


「さぁ、本当の戦いの始まりだ」


 地面に自慢の長い脚を突き刺す。瞬間この場に大きな振動が流れる。――本当の戦いが始まった。



 男は近づくわけでも逃げるわけでもなくただその場で立ち尽くしていた。僕にはそれが、絶好のチャンスだと思って――


「ッッ! ぐはぁっ!」


 僕は盛大に宙を舞い、何の抵抗もできずに地面に叩きつけられる。

自分は今何をされた? 何が起きた? 脳を必死に巡らせ考えるがそれを邪魔するかのように


「ごほッ!」


 僕の口から大量の血が溢れ出す。


「真也……っ! 大丈夫!?」


「……うん、なんとか。さっきまではごめん。取り乱してた」


「ううん、大丈夫。それより……」


「ああ。分かってる」


 会話を終え男に意識を向ける。彼は、余裕に満ち溢れていて戦闘を楽しんでいるようにも見えた。僕の体に振動が走る。


「私の自慢はこの脚でね」


 男が誇らしげに話を始める。僕にはそれを素直に聞くことしかできなかった。


「力量では君たちに遥かに劣っているのだけど、私はこの"力の使い方"が他人よりも少々手馴れていてね」


「工夫すればこんなこともできるのだよ」


 男が地面に落ちていた小石を何個か集めて自分の目の前に設置した。


「……? 何をする気――」


 僕が口を開いた刹那、場に甲高い爆発音のようなものが流れた。


「――ッ!?」


 僕の耳のすぐ側を、弾丸のようなスピードで小石が通過した。


「どうですか? 私の攻撃。なかなかに面白いでしょう?」


 男が罵るように僕に近づいてくる。


「や、やめろっ! 来るな!」


「ようやく従う気になりましたか?」


「いや……従うわけには……いかない」


 僕はボロボロの喉を酷使して言葉を発する。


「まだ私の言うことは聞いてくれませんか……面倒ですね」


 男は腕を組んで顔をしかめている。


「まぁそう簡単に死ぬとは思いませんし……」


「もう少しやりますか」


 瞬時に身の危険を察知した僕は、男の脚をかいくぐるように身を退く。


「逃げても無駄ですよ」


 男は小石を数個用意して、僕に向かって勢い良く飛ばしてきた。


「危ッ!」


 間一髪で小石から逃れた僕は、左拳の射程範囲まで移動する、が、それを男は許さない。


「っ……」


 近づけば蹴りを、離れれば弾丸を放ってくる。それをかいくぐって男を攻撃するのはほぼ不可能――


「どうやらまともに戦ってもダメみたいだな……」


「その通り。だから諦めて私に――」


「ああ。"戦うこと"を諦めさせてもらうよ」


「は?」


 戦うのを放棄した僕は自分が持てるだけの全力で、気がかりだった少女――彩花のもとまで突っ走った。


「彩花、立てる? 立てるなら掴まって!」


 僕は彼女の返答を聞く前に彼女の手を握って、一目散にその場を後にした。


「しっかり掴まっててね。飛ばすから……!」


「え? あぁ……うん」


 普通このような行為はカップルとかそういうのがやるものだと思うのだが、今はそんなことを考えている余裕はない。今はあの男から逃げなければ。

 

 3分ほど走り続けただろうか。男の姿はもう見えなくなっていた。


「はぁはぁ……撒いたかな?」


「そっ、そうだね……あ、ありがと」


 長距離を走って疲れたのか、彩花が頬を赤らめて言った。


「うっ……」


 先ほど蹴られた痛みがぶり返してきて僕はしゃがみ込む。


「真也君!? 大丈夫!?」


「う、うん……い、一旦僕ん家戻るね。また後で、くわしいことは話そう。じゃ、また」


 僕は怪我の処置をするために一度家へ戻ることを決断した。ここからなら歩いてもそんな時間はかからないだろう。


「ん? どうかした?」


 別れたつもりだったのだが、彩花がすぐ後ろで僕に付いてきていた。


「えっとぉ……その……」


「家付いて行ってもいい?」


「!?」


 彩花が羞恥で顔を赤くして、言った。


読んでくださりありがとうございました!次回もよろしくお願いします!

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