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スウィートカース(Ⅴ):カラミティハニーズ  作者: 湯上 日澄(ゆがみ ひずみ)
第四話「交錯」
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「交錯」(15)

 ここはどこだろう?


 広大な墓所を思わせる暗い空間に、物言わず立ち並ぶのは無数のジュズだった。本来は時空を越えて幻夢境になだれ込むはずだった恐怖の軍隊は、唐突な門の消失によって休眠状態スリープモードをよぎなくされている。


 もよりの一室、窓の外を眺めてたたずむのはひとつの人影だ。とめどなくガラスをたたく吹雪の破片に、その深遠な瞳がたたえるのは絶望か、はたまた希望か。


「ホーリー様」


 いきなり自動扉を開け、部屋に駆け込んできたのは一体のジュズだった。耳障りな砂嵐の混じるたどたどしい人語で伝える。


久灯瑠璃絵くとうるりえは失敗しました」


「知っている」


 一ミリも姿勢を崩さず、ホーリーと呼ばれた人影はうなずいた。


「ついさっきまで〝瞳の蒐集家(ズシャコン)〟を遠隔操作していたのはわたしだからね。あの瞬間での突然の召喚術は意外だった。思わず負けてしまったよ」


 めまぐるしく瞳の光を回転させながら、ジュズは続けた。


「あの時代に発生した〝カラミティハニーズ〟という要因はそうとう厄介です。前例がありません。先も読めません。どう対処しますか?」


 かすかに人影は首をひねった。


「おかしいな。わたしの記憶している時間軸には、そんなものは存在しない。どうやら我々の時間干渉の影響で、あの時代に想定外イレギュラーなものが生まれてしまったらしいね」


 人影の見つめる景色は、氷河期をむかえた都市の一面の雪化粧だった。


 幻夢境と地球が巻き起こした戦争によって世界は衰退し、新たなる〝星々のもの〟の勢力に地球は侵略されたのだ。生命維持・気象操作・防衛等をかねたひとにぎりのドームの内外で、いまもまだ抵抗勢力レジスタンスとジュズの攻防は続いている。


 窓の外を見つめたまま、人影は告げた。


「つぎはわたしが行く」


 ホーリーは静かに拳を握りしめた。


 カラミティハニーズは帰ってくる……


【スウィートカース・シリーズ続編はこちら】

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