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スウィートカース(Ⅴ):カラミティハニーズ  作者: 湯上 日澄(ゆがみ ひずみ)
第三話「疾駆」
17/32

「疾駆」(7)

 日本、赤務市。


 こちらの時間では、いまは真夜中だ。


 いびきをかいて眠っていた褪奈英人あせなひでとは、いきなり叩き起こされるはめになった。がたがた震える携帯電話を手探りで掴むと、通話ボタンを押す。


「っせえな。だれだよこんな夜中に?」


〈私です、ヒデト〉


 ヒデトのつけた電灯は、そのくせ毛だらけの頭を照らした。


「ああ? ミコ? 変えたのか、ケータイ?」


〈はい、くわしい説明はまたのちほど。いま自宅ですね?〉


 頭をかいてあくびしながら、ヒデトは答えた。


「あたりまえだろ。いま何時だと思ってやがる……なんだそっち、やけに騒がしいな。戦争でもやってるのか?」


〈さすが、勘が鋭いですね。大至急、美樽びたる山の研究所へ向かってください〉


「はあ? なんだよいきなり?」


〈ヒデトの〝黒の手(ミイヴルス)〟の能力で〝熱砂の琴(イズルハープ)〟を送ってほしいんです〉


 驚きに、ヒデトは一メートルも跳ね上がった。


「い、いい〝熱砂の琴(イズルハープ)〟だって!? 組織に無断でか!? ってーかおまえ、いまどこでなにしてる!?」


〈おっしゃったように、戦争です。現在と未来の。詳細は戻ってから報告しますし、組織への始末書も私が書きます〉


「いや簡単に言うけどな、けっきょく研究所に忍び込むのは俺だぜ?」


〈そうですね……あとは一回、あなたの勉強を肩代わりしましょう。あいた時間でデートしません?〉


「あれだけかたくなに宿題の代行をこばんでたおまえが、まさか自分からそれを切り出すなんて。ただごとじゃなさそうだな。どうなっても知らないぞ?」


〈ありがとうございます。その、遠く離れた場所で、ヒデトの声が聞けて嬉しいです〉


 携帯電話を肩と耳ではさんだまま、おおいそぎで着替えしながら、ヒデトはほほ笑んだ。


「俺もさ、ミコ」

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