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終末に向かう世界に希望なんて見つかるのだろうか?  作者: 早寝早起き
第6章:ウイルスの変異と新たな脅威編
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市街地の戦い

 現在の時刻は午前5時。

 

 吹雪は間もなく止む時間だ。


「打ち合わせ通りに行こう。俺から言えるのは2つ。必ず生き残れ。捕まったら、今回の件は俺に強制されたって言え。死にたくなかったらな」


 もうね。

 生き残る事が優先だ。

 この世界では、それが相手に勝つって事だろう。

 

 仲間達には、全ての責任を俺に被せろと言ってある。

 カッコつけてるんじゃないぞ。

 実際そうだからな。撃て、戦え、躊躇するなって強制してるし。

 

 冷静に考えると土地勘のないゲリラ戦なんて、俺達に勝てる要素は無いんだよ。

 最初は皆殺しだ! なんて息巻いてたけど。

 確かに拳銃はあるが、連発しても殺れて数人。

 ライフルは次の装填に時間がかかる。


 俺も含めて銃の扱いも、まだ熟練者じゃない。使えないとは言わないけどな。

 もたもたしてる間に素手の格闘になったら、人数差であっという間に捕まって終わりだろう。


 委員長とレイさんは若い女性だ。

 この世界で貴重な存在と言える。

 そして子供達は宝だ。

 滅多な事がない限り、殺されはしないだろう。


 先に出会った男達はクズだったが、他が同じとは限らない。

 リーダ-が良識のある人間だと信じたいところだ。

 まぁこんな世界、俺も含めてどこか壊れてる人間ばかりだろうけどな。


 俺は相手にとって、脅威には映ると思ってる。

 見た目が平凡だから自信はないけど。

 その分、派手に暴れてやる。


 別に自己犠牲なんて、これっぽちもするつもりはないぞ。

 仲間の為に俺が犠牲にとか、マンガじゃないんだし。

 どうせいつか死ぬんだから、俺は自分の考えを貫きたいだけ。

 ゾンビにやられるか、人間にやられるかの違いだけだしな。


 誰かに媚びて生きていく人間じゃ無いから、散る時ぐらい盛大にやってやるんだ。


 俺の指示に対して、仲間からの反発もあったよ。

 何時間も説教じみた話もされた。

 言ってる事が違うって。そりゃそうだ。

 生き残るなら覚悟しろ! って言いまくってるからな。


 でも今の仲間達は戦う覚悟はあっても、俺と違って死ぬ覚悟なんか出来てないよ。

 委員長も何処か吹っ切れてはいるけど、あれは勢いだけでやってる。

 少し精神的な問題を抱えていると思ってるし。


 俺としてはさ。

 血の繋がりのない人間の集まりだろ?

 だから遠慮せず、切り捨てて欲しいんだ。

 それも覚悟を決めるって事だから。

 

 こんな時の為に、何時も口癖のように仲間に言い続けてきた。


 助けたのは、ただの気まぐれだってさ。






◇◇◇





 りさちゃんは委員長に預け、今の俺は1人で行動中。

 委員長には、逃げられるなら逃げろとは言ってある。

 もう段取りが狂いまくってるし。


 相手の動きが早すぎてさ。

 俺達が動き出す前に、建物周辺まで来てしまってるんだ。

 だから完全に囲まれるのを避ける為、俺が単独で飛び出したんだよ。

 建物を出た瞬間、いきなり襲われたけどな。


 救いはやっぱり足元の悪さ。

 相手は俺より大きな男だったけど、武器が刃物だったんだ。

 どうしても俺に近づかないと攻撃出来ないから、動き自体は良く見えた。

 俺は雪を相手の顔面に投げつけて、視界を奪い足に拳銃を発砲。


 直ぐに向こうの仲間が寄って来るから、止めを刺さず逃げる事を優先した。

 俺に注目が集まるように大声で叫びながらな。

 こちらは拳銃とライフル銃があるから、それだけで牽制にはなっているみたいだよ。


 そのまま近くの建物に飛び込み、ここで外へ向けてライフルを撃つ。


 間髪入れず裏側から外へ飛び出し、また近くの建物へ移動。

 これの繰り返しで暫くは上手く行っていた。

 攪乱目的だったし、一応は成功してたんだよ。

 

 でも流石に相手も馬鹿じゃ無かった。

 今まで生存できてたんだから、当り前だよな。


 俺の移動するだろうと思われる場所に、人が配置されていたよ。

 雪の無い場所だと、疲れている俺より動きが早い。

 一気に詰め寄られたら、銃を撃つ暇も無かった。


ドガッ!


 男の大振りのパンチが綺麗に入り、俺は吹き飛ばされる。

 避けようとしたんだけど、膝が笑って言う事を聞いてくれなかったんだよね。

 雪道のせいもあるが、俺の鍛え方が足りなかったんだろうな。

 久しぶりにくらった拳は、めちゃくちゃ痛いし。


 複数人相手に倒れたらダメだ。

 起き上がろうとした時にはもう囲まれてた。

 頭を踏みつけられ、容赦なく蹴りまくる男達。

 

 前にやった亀からの攻撃も通じなかった。

 俺の攻撃ってバリエ-ションなさ過ぎ。

 抵抗した事で、更に相手の攻撃が強くなった。

 

 手のひらを踏まれ、両手の指も何本か折られる。

 本当に素人かよ? 銃を撃たさないためだろ?


 身体中痛くても我慢してたが、骨が折れると声が出てしまう不思議。

 情けなくて涙も出る。

 それでも殴る蹴るは続くんだけどな。

 ホント、容赦ねぇわ。


 

ドォン! ドォン!



 意識を失う手前で聞こえる銃声。


「何やってるんですか! 生き残るんでしょ!」


 委員長のそんな声を聴き、意識は戻ったが身体が動かない。

 

ドォン! ドォン! パァン! パァン!


 意識が朦朧とする中、リズムよく響く銃声。


 音がデカいから、耳が痛い。それで意識が保たれたけども。

 銃声の後から、俺への攻撃が止んだ。

 助けられたのか? そう思い気合を入れて身体を動かす。

 

 俺は身体の下敷きになっていたバットを杖代わりに、フラフラと起き上がる。

 持つ物がある方が亀になり易かったんだよ。その分身体に当たって痛かったけど。

 立ち上がった時。ちょうど見えたのは、委員長が男に殴られる場面だった。


 俺は激高したよ。委員長が殴り倒される姿を見たらさ。


 足を引き摺りながら、必死で落ちている拳銃を拾う。

 もうスロ-モ-ションみたいに自分の動きが遅い。

 何とか倒れずに拾えたが、右手は中指と小指ぐらいしか使えない。

 左手なんか、人差し指だけだ。

 

 それでも折れて無い指で引き金を引いた。

  

 腕は重いし指はぐらぐらで、狙いも何もあったもんじゃない。

 胸で押さえたのが良かったのかな?

 1発は当たったみたいで、委員長に迫っていた男はその場で倒れた。


 何で助けに来たんだよ。

 女の子の顔が腫れあがってるじゃん。

 くそっ。

 頼むから生きててくれよ。


 俺は必死に委員長の元へ向かう。

 さっきから血が目に入って良く見えない。

 それでも懸命に俺は歩いた。


「ふぅ。ふぅ」


 鼻が折れたのか、口で呼吸のする音。

 良かった。とりあえず生きてる。

 あれ? りさちゃん何処行ったんだ?


 今になって居ない事に気づく。


 でも声を掛けようにも、歯が折れて上手く喋れない。

 

ガシッ。


 いきなり足を掴まれる俺。

 

 確かめる間もなく、俺は顔から床に転ぶ。

 今ので更に頭の傷が開いたんだろう。

 熱い液体が顔面を覆う感覚があった。


 倒れた俺を引き寄せようと引っ張る相手。

 これは敵だ。さっき俺が撃った男だろう。

 倒れた事で油断してしまったよ。

 でも振り払う力は残っていない。


 その時だ。


「ウグッ!」


 野太いそんな叫び声と共に、俺を掴かんでいた手の力が抜けた。


 俺が覚えているのはそこまで。

 

 頭を打ったからか、意識を失ってしまったんだよ。






◇◇◇






 ⁉ 冷たっ⁉ 


 そんな感覚がして、俺の意識は覚醒する。

 目が腫れていて、視界がぼやけたままだ。

 誰かが助けてくれたのか?


 そうは思うも、食人鬼に助けられた映像が頭をよぎる。

 慌てて身体を動かそうとするが、少しでも動けば激痛が走るんだ。

 そこでまた意識を失う。


 でもまた直ぐに意識が覚醒。痛みで意識を失う。

 それが延々と繰り返される。

 もう現実なのかどうかも分からない。

 先程まで冷えていた身体が、今度はどんどん熱をもってくるんだ。


 熱い、苦しい、痛い。


 誰か楽にしてくれ!

 そんな思いだけが俺を満たす。

 死ぬなら、普通に死なせてくれよ!


 どれくらい経過したのか分からないが、あれだけ痛んだ身体から熱が冷めて行く。

 やっと終わった。嬉しい。

 でも口を開けようとすると、痛みで顔が歪む。


「やっと効く薬があったみたいです」 「悪運の強い男ね」


 何処かで聞いたような声がする。

 

 必死に思い出そうとするが、意識が続かない。


 そのまま俺の意識は暗闇に落ちたんだ―――


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