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終末に向かう世界に希望なんて見つかるのだろうか?  作者: 早寝早起き
第5章:集団闘争サバイバル編
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独裁者

 利害が一致すれば協力すると言う前提で、自称レジスタンスのメンバ-の話を聞く事にした。

 キララが冗談を交えて言った、高木と言う男が高崎市を支配しているのは間違いないらしい。

 何故その男が独裁的な支配が出来ているのか?


 これは冬の間に決まった序列らしい。

 閉鎖空間で多くの人が精神的に参っていた時に、高木のグル-プが他のグル-プを暴力で潰したんだ。

 この男はパニック以前から高崎市に居た男で、市にも影響力を持っていた家系の出身らしい。

 

 逆らうにしても逃げ場がない人達は、苦渋の決断をしたんだろう。

 

 高木は絶対的な権力者であり、その下に就く人間は従順。

 巧妙な手口で次々と他の集団を懐柔したんだ。

 その体勢は冬が終わった現在も続いていて、反発する組織を狙っているらしい。


 キララ達はそんな環境を変えるべく活動を始めたが、絶対数で劣るので状況は常に劣勢。

 食料なども苦労して調達しているとの事。

 そんな最中、キララ達は高木グル-プの食料保管庫を急襲。


 夜半に行われたその作戦は、成功したかに見えた。

 でもそれは高城達が仕掛けた罠だったんだ。

 物資を持って逃げる段階で作戦メンバ-の裏切りが発覚。


 キララはその裏切ったメンバ-に拘束されてしまった。

 そして俺が出会ったあのタイミングでゾンビの餌にされる。

 そこを通りかかった俺に助けられたという話だ。


「ハイ質問。その裏切り者ってキララの妹だろ?」

「......妹は、キラリは裏切ってなんかいない! きっと訳があるのよ!」

「キラリねぇ。まぁそこは当事者じゃない俺にはわからんけど。アンタらはどう思ってんの?」

「私は少し疑ってる」 「信じたいが」 「キララの為よ」 「アイツ嫌い」 「微妙」


「......という意見があるが? 意志を統一できない組織は弱い。俺はそんな組織を信用できないな」

「ちょとぉ。キラリは私達の中心だったじゃない! 今回だって私を生かす為に」



 うーん。

 キララの妹が実質リ-ダ-だったなら、明確な裏切り行為だったはず。

 それでもこいつらの意見は半々ってところか。

 

 予想されるのは前から高木と繋がっていた?

 何の為に? 独裁を維持するなら潰した方が楽なはず。

 住民じゃない俺でもそれくらいは分かる。


 別に俺は正義の味方じゃ無いしな。

 過酷とは言え守られてる事も否定は出来ないだろう。

 

「なぁ。お前らの目的って何なの? 単に高木が気に入らないだけか?」

「違うわ。高木は服従するなら平等に食料を配ると言ったの。でも実際は従順な人間がより多くの配分を得ているのよ。逆らった人間が裏で処分されているし」


「今の状態を受け入れている人も居るだろ? 今の世界じゃ生きられない人間もいる。その辺りはどう考えてる?」

「そんなの皆で頑張ればなんとかなるよ。自分の未来を他人が決めるなんてありえないわ」


 あはは。

 キララはだめだな。これじゃあリ-ダ-としては落第だ。

 他のメンバーもそれは分かってんだ。

 だから妹が纏めていたってところか。


 理想を掲げるのは良い。

 でも理想を現実にする為には、余りにも考えが未熟すぎる。

 考えに賛同して組織を潰しても、その後は結局物資の取り合いが起こるだろう。

 キララが次の高木にならないって誰が保証できる?


 高原ダムでは強いリ-ダ-は居なかった。

 でも出来る人は居たんだ。あそこで言えば川口さん。

 だから川口さんに従っていたし、出来る事を自分なりに頑張ったんだ。

 

 まぁ俺にとっては辛い記憶だけどな。

 これってもしかしてあの時に似ているのかも。


 役割分担として悪者を作り、精神的な安定に繋げるって言う政治手法。

 だからレジスタンスみたいな存在を、生かさず殺さず維持させてると。

 こう考えれば素人集団に見えるキララ達が、生かされている事も納得が出来る。


 キラリは姉のキララの危うさに気づいて居たんだろう。

 


「因みに外部から俺みたいに高崎市に入って来る事はあるのか?」

「ええあるわ。大体は私達の接触前に捕まっちゃうけど。その後姿は見ていないのよ」

「ふーん。それは気になるな。俺を見つけたのは、お前じゃ無いよな」

「ええ。カズキよ。私に合図をくれたんだから!」


 ああ。

 この表情の乏しい男か女か分からない奴な。

 ふんふん。

 索敵能力はあると。


「じゃあ何で俺に嘘をついたんだ? 一応それは聞いておきたい」

「一人で歩いてたら怪しいじゃない。ゾンビだっていっぱい居るのに。だから試したのよ」

「そんな奴もいるだろ。別に俺が珍しい訳無い......よな?」


 ブンブンと首を振るレジスタンスメンバ-。

 あれ?

 ボッチじゃダメなのか?


 ほら警官とか......⁉


「おい。ここの警官は何処に行ったんだ? 桜井市でも見なかったが」

「警官も高木とグルよ。パニックの後に高木の統制下に入ったもの。拳銃もあるから、逆らえる人は居なかったのよ」

「いやいや。お前らも持ってるじゃん。それは何処から手に入れたんだ?」

「これは妹が筋の人間と取引して」


 おいおいおい。

 これ国家権力絡んでるんじゃね?

 筋者って言っても拳銃の所持は慎重だろうよ。


 妹が手に入れた拳銃って、警察が押収した物だろうさ。

 こうなってくると戦う選択肢は悪手だろう。

 個人で戦う相手じゃないのは間違いない。


 気になるのは1点だけか。


「悪い。今すぐ共闘は出来ない。えっとカズキ君? ちょっと頼みがあるんだが......」


 この日、俺は明確な答えを出す事を避けた。

 それよりも大事な事もあるからな。

 腹が減ってんだよ! もう限界だ!


 という事でレジスタンス拠点まで移動を決めた。







◇◇◇







 レジスタンスの拠点は、街の外れにある教会だった。

 建物はボロボロ。外見的には廃墟に近い。

 こんな場所なら発見は難しいだろう。


「ここか。大丈夫なのか? 壁も碌に無いようだが?」

「えへへ。こっちよ。絶対驚くんだから!」


 連れて行かれたのは、ステンドグラスがある教会の中。

 並べられたベンチシ-トもボロボロだ。

 キラリは楽しそうに俺を引っ張り、キリスト像の下まで連れて行く。


「ここをこう動かしてっと」


ゴゴゴ。


 神父が説教する壇上の机を動かすキララ。

 するとそこには取っ手の付いた床板があった。

 キララはその取っ手を上に上げる。


 ⁉ 地下室があるのか⁉


 床下へ続く階段があったんだよ。

 ほほう。

 これはロマンだな。教会にある隠し部屋ってやつか。


 キラリは慣れた足取りで階段を下りて行く。

 俺と他のメンバーもそれに続いた。


 階段を下りた俺は、思わず声を上げる。


「スゲェなここ。だれがこんな場所作ったんだよ」


 現れた地下空間はかなり広いんだ。

 上の建物とは違い、壁も厚く作りも頑丈。

 街の地下になるが、水の侵食も受けていない。


 もう秘密基地と言っても良いぐらいの場所だったんだよ。


「えへへ、凄いでしょ♪ カズキが見つけて来たのよ」


 キララは自分の事の様に胸を張る。

 惜しい。

 顔は良いんだけど、色気が足りない。


 そんな彼女を娘の様に見るレジスタンスメンバ-。

 まぁ慕われては居るんだろうさ。

 さて。


「悪い。とりあえず何か食わせてくれ」

「わかった。皆手伝って」


 キララの言葉にカズキ以外のメンバ-が動く。

 

「ふぅ。それでカズキ君。君は何者?」

「......ただの一般人。ではいけませんか?」

「関りがなければ、それで良いんだけどさ。俺をここに連れて来た理由は聞かせて貰えるんだろう?」

「貴方って何者なんです?」

「ただの人嫌いだよ。こんな事になってなかったら、家に引きこもって居たかったな」


 流石にこんな場所を知っている一般人なんて居ない。

 それに索敵は特殊技能だろ?

 当たり前の様に俺を見つけられても困るんだ。


 これでも結構自信が出て来ていたんだよ。俺も。

 

「他の人間に聞かれたら困るので、夜にお時間頂けますか?」

「ああ。寝込みを襲うようなら、敵と認識するけどな」


 この話の後、キララの意外な特技が発覚した。

 保存食を調理してくれたんだが、思いの外絶品だったんだ。

 キララ曰く「花嫁修業もバッチリなんだから♪」 と言う謎アピ-ルもあったけどな。


 俺は一体何に巻き込まれるんだ?

 と言う疑問があり、夜までゆっくり休む事も出来なかったよ。


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