裏切りに死を
※表現が厳しくなっております。
気分が悪くなったら直ぐにブラバお願いします。
グロは控えめです。
マンションの探索は俺が気楽に考える程、簡単では無かったよ。
ゾンビに不意打ちで襲われるし、途中で息苦しくなったと思ったら酸欠手前。
よく考えれば分かる事だった。
雪で埋まっているのと地中に埋まってるのって同じだったよ。
外が吹雪になって俺が入ってきた穴が塞がれたんだ。
そうなると空気が入る場所が無い。
動けていたのは残っていた空気があったからだ。
もうね。必死で戻って中から穴を空けたよ。
それでも見つけた物資はしっかり確保した俺は偉いと思う。
それから朝まで出入り口近くの部屋で過した。
桜井市に辿り着くまで同じ様に過ごして来たんだ。
今更こんな場所で死ぬような事はしない。
朝方になって吹雪が止んだので外へ出ると、雲の切れ間から日光が差したんだ。
ほんの一瞬だったけどな。
神など信じないけど、この時だけは信じたくなったよ。
未来に少しでも希望がありますようにってね。
さぁ早く物資を持って行かないとな。
アケミさんもこんなに早くお礼されるとは、思わないだろうし驚くはずだ。
少しは表情に出してくれると良いんだけどさ。
◇◇◇
アケミさん達の居るマンションまで戻る際中、俺は何か不自然な感じがしていた。
と言うのも吹雪が上がった後なのに、足跡が所々残ってるんだ。
足跡の方向は俺と同じ。これって変だよな。
だから俺は警戒をした。
明らかにこれはおかしい。痕跡も消せない様な素人みたいだけど。
俺だって馬鹿じゃない。助けて貰ったとは言え、出会ってまだ数日なんだ。
本当にあのマンションには、紹介された女性達だけしか居なかったのか?
それに根本的な事で、気になっていた事がある。
簡単な事だ。俺は倒れていたが、どうやってあのマンションまで運んだんだ?
俺は大きくないとは言え、体重は約60数キロほどだ。
それにプラスして20キロ近いリュックがある。
とてもじゃ無いがアケミさんだけで移動出来たとは思わない。
なのにユミと言う名前の女性は、初めて会ったみたいな顔をしていた。
そうなるとアケミさんが嘘をついているか? 或いは共犯がいる?
それともアケミさんに他の女性が騙されている?
俺が思いつく可能性はこんなものだ。
まぁ最悪の想定は俺が居ない間に、他の生存者に襲われている事だが。
そのどれにも対処できるように準備が必要だ。
そこで俺は遠回りしながら途中の建物へ身を隠し、猟銃に弾を装填して何時でも発砲できる体制を整えた。猟銃は背中に背負い、右手に金属バットを持つ。何時もの俺の戦闘スタイルだ。
本来なら30分程度の距離を1時間かけて戻り、マンション周囲が見える場所でどうなっているか確認する。
「やはりか。余計な情報を与えてしまったかもな」
俺は狩猟の経験があるので、何処に身を隠せばいいか感覚で分かる。
これが出来る様になるまで時間が掛かったんだよ。
出来ないと獲物が狩れないから必死だったんだけどな。
探す場所は俺を待ち構えるなら? と言う想像で予想。
するとマンションの周囲に、複数の人影を発見することが出来た。
俺が道具を借りに戻った際、アケミさんに俺が見つけた場所について詳しく説明したんだよ。
俺のやり方なんて覚えてしまえば誰でも出来る。
だから深く考えずに伝えてしまった。
その結果がこれだ。
俺に話した事は全部嘘だったのかなぁ。
朦朧としていたとは言え、素直に人を信じる俺が悪いのか。
もういい加減他人を信じるのは辞めないとな。
さてどうする?
本当はこのまま逃げるのが良いんだろうけど、最後に1つだけ真実が知りたい。
真実を知らないまま逃げるなんて、もうまっぴらごめんなんだよ。
逃げる事でしか自分を救えないなんて、惨めすぎるじゃないか。
完全に敵なら、猟師を舐めた事を後悔させてやる。
やると決めたら即行動だ。
先ずは情報収集。
気づかれずに近づけば、こいつらの目的も知ることが出来るはずだ。
何も分からなければ、1人捕まえて聞かせて貰えば良い。
「ちっ。おっせえなぁ。本当にあの女信じて良いのかよ?」
「リーダ-のお気に入りだからな。嘘は言わないんじゃないか?」
「捕まえるだけで良いんすか? 別に殺しちゃてもいいんでしょ」
「生死は問わないって聞いたぞ。1人だから早い者勝ちだな」
......そうか。
今俺の頭のスイッチ入ったわ。
もう手加減も油断もしない。
俺の敵はしっかり排除しないと、桜井市では生きて行けない。
こいつらがどんな風に生きて来たか知らないが、場数だけなら俺は負けてないと思ってる。
相手が殺るきなら、殺る気で答えないとな。
◇◇◇
戦うと決めても馬鹿正直に真正面からは戦わない。
俺はそんなに強くないしな。
1対1でも油断したら負ける。
それはゾンビでも人間相手でも同じだ。
だから1人1人闇討ちで人数を減らす事を優先する。
先ずは単独行動しているアホからだ。
自信があるのか知らないけど、油断しすぎていて始末は簡単だった。
静かに後ろから近づき頭にバットを振り下ろす。
うるさいから口にタオルを巻き、手足を縛って担ぎ上げる。
碌に鍛えていない奴なんてこんなもんだ。
さてどう言う事か行かせて貰おうじゃないか。
「なぁ教えてほしいんだが、俺を殺す気だっけ?」
「ううぅ。ううぅ」
ああしまった。
タオル巻いてたんだった。
「さぁこれで喋れるだろ?」
「痛てぇ! お前絶対に殺す!」
ドカッ!
うるさいから顔を蹴って黙らせる。
「次叫んだらその綺麗な指を1本づつ折る。分かったか?」
コクコク。
それからはペラペラと素直に喋ってくれたよ。
あのアケミって言う女はこいつらのリ-ダ-の女らしい。
俺を助けたのは本当に気まぐれだったらしいが、良い駒が出来たと喜んでいたと聞いた。
そんな俺が物資の場所を突き止め、方法まで教えて来た。
それを聞いたリーダ-の男が、俺を捕まえる指示を出したんだ。
色々全部聞いたら始末するつもりだって事もね。
まぁ大体予想通りだ。
でも意外だったのは、アケミ以外の女達は何も知らないって事だ。
それを知っても何とも思わないけどな。
「はぁ。完全にクズじゃん。これで本当に遠慮はいらない。お疲れさん」
ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ!
俺は次々待ち伏せていた男達を排除していく。
まだ一度も猟銃は使っていない。
使うのは敵の数を充分に減らしてからと決めている。
あらかた始末が終わっても、騒ぎにもならない。
こいつら本当に大丈夫か?
仲間意識も無いんだろうけど。
ここまで大体1時間。
マンションの周囲に居たのは全部で12人だ。
拳銃を数人持っていたから回収したが、中の連中も持ってそうだな。
俺に狙撃の技術があれば、遠距離で終わらすんだけど。
前に撃った時は散弾銃だったから、狙いが適当だったんだ。
さてさて。
残りはマンション内。
俺は静かに侵入する。
入り口にも見張りが居ない。
もう完全に舐め切ってるよな。
リーダ-とアケミを含む女達は最上階にいるはずだ。
だから最上階まで気は抜けない。
バァン! バァン! バァン!
マンション内に入れば遠慮はいらない。
拝借した拳銃を使い、目に入った男を撃つ。
俺は拳銃に興味は無いから、弾が切れようが関係ないんだよ。
だから撃ち放題。
この時点で俺の目は死んでいると思う。
こんな事楽しくも何とも無い。
俺だって死にたくないんだ。
何で他人の欲望の為に殺されなければならない?
俺が手加減したってこいつらは俺を放っておかない。
だから......殺るんだ。
そんな気持ちで最上階に着いて俺は呆れたよ。
こんなに銃声がしているのに、部屋に着いたらお楽しみの真っ最中。
もう吐き気がしてそのまま二人とも撃ってやった。
仲良く地獄へ落ちれば良いさ。
他の女達?
無視無視。敵対しなかったから相手にもしてない。
勝手に自分達だけで生きれば良い。
俺はこの血まみれの手で、この世界を生きていくのだから―――




