おまわりさーん!不法侵入の変態さんが此処にいます!
案外ふて寝は安眠できると思います。
という事で翌朝の寝起きは良かった。
「ふぁあああ。マジ良く寝たわ」
大きなあくびをしながら、現実逃避する事数分。
朝はサプリメントとブラックコ-ヒ-で済ます。
本当は朝しっかり食べる方が健康には良いらしいが、あいにく寝起きで食べれる人間ではない。
出来るだけ思い出したくない昨日の事。
やはりどう考えても良い案は浮かばなかった。
でもこのままダラダラと過ごせば、あっという間に後が無いのが現実だ。
「どうしようか。取り合えず食料が無くなるまで、出来る限りマンションの外には出たくない。出ないでどうするか? 食料は有ればあるだけ助かる。うーん」
ん? 今住んでるマンションって基本は単身者だよな?
という事は......隣の家は今無人では無いだろうか。
だってお隣さんはゾンビってたし。
いやいや。女性の部屋に侵入とか犯罪でしょ。
決して不純な動機じゃないはず。
ちょっと食料頂きに行くだけだ。うん。俺悪くない。
しかし問題は玄関が空いているのか?
流石に家から出るのに鍵掛てないとかないよなぁ。
あのお隣さんがどう言う理由で外へ出たのかにもよるけど。
チョット覗くだけ行ってみようか。
ほんのチョットだけだ。
◇◇◇
先ずは昨日と同じフル装備に着替えます。
そして静かに玄関から出る。
玄関開けたらハイ! ゾンビ! は嫌なのでゆっくりと。
OK。人の気配無し。
階段は大丈夫。
隣の家はすぐそこ。玄関を確認して駄目なら即帰る。
コンコン。
静かにドアを叩き耳を澄ます俺。
シ-ン。
応答は無い。無人の様だ。(気分はバ〇オ風)
ゆっくりと玄関ドアのレバーを握る。
カチャリ。
「おぅふぅ。空いてるし」
あっさりとドアは開きました。余りのあっけなさに変な声が出るわ。
取り合えず直ぐに入室し、ドアを閉めて声を掛けてみる。
「こんにちは。隣の中條です。いらっしゃいますか?」
シ-ン。応答は無い。やはり無人の様だ。(2回までは許して下さい)
音は出したくないので、靴を履いたまま室内へ入らせて頂く。
万が一の場合に即逃げたいからね。
部屋の大きさは変わりない。
キッチンやユニットバスが左右逆みたいだ。
真っ先に見るのは勿論キッチンだ。
収納が多くないので見るべき場所は限られる。
しかし綺麗にしているな。流石は女性の家だ。
何か良い匂いがするし。何の匂いだろうか?
う-ん。即席麵とスパゲッティをゲット。
申し訳ない。ありがたく頂きます。
後は調味料か。これは今の所必要性を感じない。
意外と無いな。後は冷蔵庫か。
野菜はあるけど電気止まってるからアウト。
冷凍は......これも駄目かな。
このままだと腐って匂いが充満しそうだし、勝手だけど捨てさせてもらおう。
部屋に置いておくより外に出した方がマシだろ。
と言ってもほぼ不法投棄なんだけども。回収されないし。
後はどうしよう。できればタオル系もあるだけ欲しい。
洗濯する水が勿体ないし、数があれば助かるしね。
という事で、ベットル-ムに失礼致します。
え? へへへ変な事考えてませんよ? ホントです。
ほんのチョット興味はあったり無かったりしますけど。
俺と同じ間取りならクロ-ゼットに引き出しのBOXを置くはず。
うん。やっぱり。3段の入れ物発見。
えへへ。タオルは一番上かな? それとも一番下だろうか?
はい。やっぱり出しやすい一番上でしょ!
「あれれ? この小さいのは違う? おまわりさ-ん! 不法侵入の変態は此処に居ます! ほんの出来心なんです。違うとは思ったんですよ? ついつい」
ゲフンゲフン。少し刺激的な光景ではっちゃけましたです。
すみませんでした! はい。小芝居終わり。
正解は一番下でございました。綺麗に畳んである10枚ほどの大小のタオルをゲット。
お約束のクンカクンカは必ずします。(逮捕)
柔軟剤の良い匂いがするね。女性は洗剤にもこだわりがあるんだろうか?
キレイにまとめてあるビニール袋を頂き、食品とタオルを入れます。
今更だけどこれ以外は触れません。まぁ普通に泥棒ですけど。
今日までの情報で考えると金品の価値は、ほぼほぼ無いと思う。
まぁそれなりの現金は持ってるしね。ただ預金は......出す事すらできんのです。
部屋を出る前に窓からゴミをポイ。
本当にクズみたいだけど、ゴミ置き場は表玄関だし怖い。
裏なら土手があるから、幾分か音は出ないからさ。因みに川には捨てませんよ。
不法侵入している時点でアウトだけども、少しばかりの矜持は持っておきたいのですよ。
という事で部屋を出る前に一礼して、外の音を確認してから部屋を出る。
しかしこの階の他の住民は、本当に住んでいるんだろうか?
物音がしないんだよね。怖いから一々確認しませんけど。
俺以外全滅だったら? とか考えたくも無い。
さて階段に注意しながら部屋へ帰ります。
少ないながらも食品を手に入れたので、数日の延命は出来た。
無事に部屋へ戻り、服を脱ぎ捨てた。
隣の部屋に行っただけなのに汗だっくだく。
変な緊張をしたのかも知れない。
決して邪な緊張はしなかったですけど。(切ない匂いがします)
濡らしたタオルで身体を拭き、何時もの様にネットを開く。
新たなニュ-スは更新されていないが、SNSの方に気になる書き込みがあった。
『倉田町の公民館(避難所)が崩壊した』らしい。
よく知った地名であった為、内容を読んでみる。
今いる場所が扇町で倉田町は隣町。
「はぁ。コレあるあるじゃん。絶対やったら駄目なやつ」
簡単に言うと噛まれた事を隠して避難した奴がいた。
それも複数人。あっという間に半数以上がアウト。
まぁ避難所なんて閉鎖空間だし、一斉に逃げたら混乱するよね。
それに外部から侵入されない様にしてたはずだし地獄絵図。
そんな状況で全員が無事のはずは無いよね。
もうこの隠してた奴ら最悪だわ。テロリストと同じでしょ。
んで運よく逃げ延びた人の安否不明。
逃げる場所なんてあるんだろうか?
車でもあれば別だろうけどさぁ。
この何気なく読んだ書き込みが、後になって後悔を感じる事になる―――
男は皆、変態かムッツリなのです。(決めつけいくない)




