神会議【デウスコングレス】
読んで頂きありがとうございます。
無限霊樹それは、精霊界の深層に佇む、死の牢獄であり
死の精霊 トイフェルが管理をしている。
ここに幽閉されたら最後、未来永劫出る事は叶わない。
無限霊樹内では、トイフェルは神すらも凌駕する事ができ、絶対的存在である。
そこに太陽神 ヘリオシスは囚われた。
いくら信仰を得て復活しようとしても、トイフェルに全て吸われてしまい形を保つことすらままらない。
だが、トイフェルは他の精霊とは一線を画す残忍な性格をしていて、囚人で遊ぶ癖があるので
もう一歩で脱獄、もう一歩で復活っと期待をさせてから
また無限に続く虚空へと放り出す。
なので、ここに囚われた存在達は皆、感情が次第に無くなり、その存在を消滅させていく。
件のヘリオシスは5回でその存在を消したのだった。
トイフェルはまた新しいおもちゃがくるのを今か今かと
待っている、、、、
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【太陽神 ヘリオシスの消滅を確認しました】
ハイアースの神の国 【デウスラ】にアナウンスが鳴り響く。
それにより、神会議の招集が始まった。
徐々に集まっていく神達の顔にはゼウシスを除けば
哀愁は皆無であった。
何故ならヘリオシスは太陽神の中で最も若く、最も嫌われていた神だったからだ。
神達には序列があり、高位な神ほどその会議の中心にいた。皆が集まり、ゼウシスが声を発した。
「皆、良く集まってくれた。先程の知らせで皆知っているだろう、神 ヘリオシスがその存在を無くした。
悲しき事である。だが、人が成した事でありヘリオシスにも非があった。これをふまえ、私は神側から何かをするつもりはない、皆はどう思っただろうか?」
すると、ゼウシスの隣に座っていた男神が口を開いた。
名を【ポセイドス】海と戦の最高神である。ゼウシスの兄に当たる。
「ふむ。我はヘリオシスなぞどうでもよい。だが、人の分際で神を討つなどすぎた事よ。つけ上がる前に潰すのがよいと思うぞ?」
すると多数の神が賛成を示す。だが、そこで隣にいた
黒き影に包まれた、男神が口を挟む。冥府の絶対神
ゼウシスとポセイドスの弟【プルトス】である。
「俺がそいつを貰うぞ?聞くところにはそいつは半神らしい。神にして冥府で飼おう」
ポセイドスは滅びを、プルトスは飼い慣らすと提案した。お互いの属神は主神に賛同した。
そこで待ったをかける者達がいた。
「口を挟んで申し訳ありません。ですが、私の使徒だった子にそんな事させませんよ?」
愛と転生の女神 ルシエラだ。
「そうだよ!そんなこと許さないよ?僕の加護を与えている子なんだから!」
雷の女神 トーナもルシエラに続いた。
「下らぬ、中級神が口を挟むでない」
それにポセイドスが声を荒げた。トーナもルシエラも諸事情により神核は中級となっている。
「ならば僕も彼の味方をしよう。彼は面白いからね」
眼鏡をかけた優男 【薬神 メデュル】彼はその風貌に似合わずポセイドスに並ぶ神核を持っている。
「な、何故だメデュル?お主ともあろうものが何故人間なぞ庇うのだ?」
「そうだね、彼がどこまでの神薬を作れるのか最後まで見ていたいからかな?でも彼が
【神殺しの神毒 デウス ドーデゥン】を完成させたら
僕たちもうかうかしてられないね?ははっ」
「ならば尚更消した方が良かろうて」
ガヤガヤと神達が騒ぎ立つ。
「静粛に、、、」 ゼウシスが静かだが通る声で口を開くと、周りは静まった。
「数多の意見しかと受けとった。しかし、彼に直接なにかする事は私が禁じる。それでも気に入らないというならば、各々が勝手にすると良い」
「弟も甘々だな。まだ寝ぼけているのか?、、まぁよい
我が動く事はしないと約束しようぞ」
「っちつまんねーなぁー」
ゼウシスの兄弟達が折れたことにより表立ってルークを貶めようとする神はいなくなった。
「それではこの件については終わるとしよう。
続いて、次代の人々を照らす太陽神を決めようと思う。だれかやりたい者はいるかね?」
太陽を司る下級、中級の神達は一斉に下を向いた。
「ふむ。ならば【アポロス】其方が決めなさい】
アポロスはゼウシスの息子であった。
「はぁー。そうだなぁ。今代の太陽神の信徒達は過激になってしまった。それは俺も耐えがたい。
太陽とは全てを照らし導かなければならない。そうだな
【フアル】お前が次代の太陽神だ。その目で地上を見守ってやれ」
会議の中程にいた一人が立ち上がる。
「はっ!その命しかと受け取りました!」
中級の太陽神 フアルは嫌だったがそれを顔に出さず
次代の太陽神になった。
皆がやりたがらない理由としては、その名前と姿を人に認識されると常に願いや祈りが頭に響き、下級から中級の神達は頭を悩ませてしまうからだ。
上級以上はあしらう術を持っているのでどうと言う事もない。
「うむ。フアルよ、人々を照らしてやってくれ。
では、最後に【巨人の魔王 ティタン】についてだが、
私は彼らとまた上手くやっていきたいと思っておる
これは叶わぬだろうか?」
殺気立つ者、震える者、喜ぶ者いろいろとあったが
「ゼウシスよ、それはならんと何度も言っているだろうが、くどいぞ?」
ポセイドスが青筋を立てながら激昂した。
「だが、このままにしておけば、世界は滅びに向かってしまう。ティタンは私を感じとり、暴走しておる
遠い古のように手を取り合っていきたいのだ」
先程以上に神達が騒ぎ立つ。
「では、こうしたらどうでしょうか?」
満面の笑顔で【策略の神 エスクロード】が声を上げた
「お前の御託は聞き飽きたぞエスクロード?
お前が影で何かをやっている事に我だって気付いているぞ?」
「おや?何の事でございましょうか?それでですが、私に妙案がありまして、件のティタンと半神のルークを戦わせてはどうでしょうか?」
「ふんっ、で?何故半神と戦わせるのだ?」
「そうですね、お互い目の上にできた、たんこぶのようなものではありませんか?それが一つでも無くなれば楽できますよね?上手くいけば二つとも無くなるかもしれませんよ?」
「それはならん」 ゼウシスが口を挟むが、
「お前は黙っておれ、うむ、面白いな。まんまと貴様の謀に乗るのは癪だがな」
「ポセイドス?私は半神に直接手を出すなと言ったぞ?」
「えぇ、分かっていますよ創造神様、直接手を出さぬ事このエスクロードの神核に誓います」
娯楽を欲する神達は面白いと思い賛成をだした。
「皆も同じ思いか、、、私は独裁神ではない、、皆の意思を尊重しよう。だが、くれぐれも神という自覚を持った行動をするように、、以上」
ゼウシスは自身の無力さを恨んだ。
眠っている間に神の吟醸は無くなったのかと
ただ力を持ってそれを行使する存在が神ではないと
言い聞かせ、育て、見守っていたつもりであったが
また私は間違えてしまったのかと自身を責めた。
策略の神 エスクロードは地上にいる分体達に指令をだした。名はエスクロ。そう彼は邪神 ゾアルゲーテを復活させたエスクロであり、他の神に気付かれないように
ハイアースで暗躍している。その手がルーク達一行に届くのはもう少し先の話である。
ありがとうございました。