原初の聖剣
読んでいただきありがとうございます。
昔々のその昔 神々が今よりずっと近かった頃、
ある腕のいい、鍛冶師の青年がいた。
名をウブロという。
その青年は【鍛冶神 パイスト】の加護を持ち
ある時天啓を得た。
(ウブロよ、、聖剣を作り、世界を、、救いなさい、
魔王を倒す、、聖剣を、、)
聖剣の知識、それを作る力を授かった。
ウブロは感激して朝から夜まで聖剣の製作をした。
それは三日三晩続き
精も根も尽き果てようとした時それは、完成した。
加護持ちならではの速さだ。
銀色の柄を輝かせ、刀身は鏡のように鮮明で
されど、決して折れず曲がらずという存在感があった。
その名を【聖剣 アヴォソリィード】と名付けた。
この剣に斬れない物はないと、どれだけ硬くとも
どれだけ柔らかくとも、絶対に斬る
そう信じウブロは名をつけた。
しばらくして、ウブロの元へ勇者がやってきた。
魔王を討伐するには、聖剣がいると言って
ウブロは自分の作った剣が勇者に使われる事を
喜んだ。
そうして勇者は魔王討伐の旅に出ていった。
時がたち、ウブロも妻をとり、子もできた頃
魔王討伐に出ていった勇者が帰ってきた。
勇者は、痩せ細りとても具合が悪そうであった。
勇者は魔王を討伐したと、どこか悲しげに話す
何故討伐したのにそんな顔を?とウブロは聞いた。
勇者は言った。
魔王は倒したが、最後に【死の呪い】を受けたと
これは、自分だけの呪いでなく、自分が死ねば
貴方や貴方の家族まで移ってしまう呪いだと。
魔王を倒す手助けをした者やその周りへと
魔王は最後に呪いをかけたと。
ウブロは絶望した。
自分だけならまだ許せたが、自分が聖剣を
作ったせいで、愛する妻と我が子を死なせることに
なったことに。
どうすれば、、と頭をかかえている日々が続き
ある日勇者が死んだ。
ウブロは
次は自分かと思ったが、、
妻が倒れた。
あぁ、なんという事か
ウブロは恨み、嘆きそして、
呪いを斬る聖剣を作ると誓った。
日に日に弱っていく妻を横目に
ウブロは聖剣アヴォソリィードの刀身を
何度も何度も叩いた。
憎悪と憎しみそして、希望を槌に込めて
何度も何度も何度も何度も打ち下ろした。
そして、アヴォソリィードの刀身は見えなくなっていた
それでも、ウブロは槌を振り下ろす
周りの弟子たちは彼を憐れんだ。
ついに完成し名前を【ヴォイド】に決めた
目に見える物は斬れぬが他は斬ると
呪いすら無効にして取り消すと
ウブロは妻への元へ走った。。
そこにいたのは変わり果てた妻の姿だった
間に合わなかったのである。
悲しみに明け暮れていると
今度は息子へと呪いが移っていた。
この子だけは守らねばと
ウブロは聖剣を手に取り契約を交わそうとしたが
聖剣は拒否した。
君では使えないと
君では耐えられないと
君では足りないと
ウブロはそれでも頼むと聖剣に涙を流しながら乞う。
聖剣は言った、、命と魂を使えばもしかしたらと、、、
ウブロは即答し息子に聖剣を振るった。
無事に息子の呪いは解けたが
ウブロはそのまま帰らぬ人となった。
聖剣は悲しんだ、自分を生み出してくれた
創造主を殺してしまったことに。
聖剣はそのまま蔵にしまわれた。
しばらくしてウブロの息子も大人になり
鍛冶師となり加護を受け
聖剣を作れるまでになった。
世界が危機に迫ると聖剣を持った勇者が
世界を救った。
それでも救いきれなかった時は
ヴォイドを使い救った。
ただ勇者でもヴォイドを使いこなす事は
出来なかった。
精神が耐えられないのだ。
使った勇者は狂い、暴れた。
そしていつしか、封印された。
魔剣として。
ウブロの息子は代々受け継がれるようにと
家訓を作った。
聖剣は聖なる心を持って打てと
邪を持ち込むことなかれと
願わくばいつしか
ヴォイドの担い手を見つけてくれと
時は過ぎ去り
ヴォイドが魔剣と言われていることも
人々は忘れ
ウブロの末裔達も鍛冶師を目指す事も無くなった。
ただ一点【あの剣を使える者をさがせ】
それだけは現代まで繋いだ。
ウンブロ
その男は、影に潜み情報を得て
その時を待った。
___________
あの勇者はあの剣を抜くだろうか?
あの勇者の評判はいい。
強く、気高く、民を良く思うと
剣を抜かせるように
周りに金を握らせ勇者を焚き付ける。
勇者はどうもお調子ものらしく
苦労なく抜こうとした。
抜けた、、、
じいさんからおやじまで探せと、
幼き頃から散々言われた
あの剣を使える者を探せと
やっと、、、みつけた。。
なのに、、勇者が倒れた。
だめだったのか、、、
とりあえずマーキングをして
仕事に戻る。
雨が降るスラムでおっかない少年と出会った。
今まで俺は幾度となく強者と出会ってきだが、
彼には何か、次元が違う物を感じた。
最後のチャンスかと、
彼に使えねば誰にも使えないと半ば諦め気味に
勇者からあの剣を盗み
彼の知り合いの孤児に適当な嘘をつき渡すように頼み
陰から見守る
あぁ、じいさん、おやじ、、、、
使える奴が、、いたよ、、、
何故が魂が震え、涙が溢れた。。。
ありがとうございました。
次回も逸話にしようか迷い中です。