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じゃがいも姫

作者: ふみ



どんなおとぎ話でも、幸せになれるのは「美しい」お姫様だ。

だから平々凡々な自分がお姫様になることは一生ない筈だった。


エフィは目の前で繰り広げられる光景に辟易しながら、そんなことをぼんやり考えていた。




「メトカーフ嬢、どうか私と踊って頂けますか?」

「いや私と…!!」

「いいや、今宵はぜひ私と」

「あの私は…」

「お前達やめないか、メトカーフ嬢が怯えているだろう!さぁメトカーフ嬢此方へ…」

「何を勝手に連れて行こうとしてるんだ!!」

「そうだぞ後から来た癖に!!」

「あの……」

「俺が先にメトカーフ嬢と話していたんだ!!」

「いいや俺が先だった!」

「………」


誰一人として此方の話を聞こうともしない集団に、心底うんざりして溜め息が溢れる。目の前の馬鹿みたいな言い争いから目を逸らせば、その先では数人のご令嬢と思われる集団が憎らしげにエフィの方を睨みつけていた。ギリギリと歯軋りでも聞えてきそうな厳しい形相では折角の美しいドレスも台無しだろう。


替われるものなら替わってほしい。

エフィは喚き散らしたくなる感情を飲み込んでその代わりに再び大きい溜め息を吐き出した。




はっきり言おう。



エフィは決してこのように令息達に囲まれ取り合いをされるような器量ではない。自分で言うのも虚しいけれど、容姿も中身も取り立てて取り得のない田舎領地の男爵令嬢である。

今の立場が相応しくないものであることは、あのように嫉妬の目を向けられるまでもなく、誰よりも理解していた。


それが何故こんな傾国の姫のような扱いを受けているのかと言えば。


それはこの国が聖女に行った仕打ちのため。



偏に彼等の自業自得である。













数年ほど前、この世界に魔王が生まれた。


魔王は沢山の命や資源を奪い人々を苦しめた。それは王都からは遠い辺境の地になればなるほど顕著で、エフィの生家であるメトカーフ領も魔物の出現や侵攻に脅かされる日々を送っていた。

大陸の中でも特に歴史の古い我が国では、魔王が現れると王族の一人が勇者として、異世界から来た聖女と共に魔王を討つという言い伝えがあり、魔王の脅威がこれ以上広がるのを恐れた王家は、伝承の聖女を召喚することを決めた。


何人もの優秀な魔術師が集められ、城で行われたそれをエフィはよく知らないが、召喚されるのはこの世界の神に選ばれた少女なのだという。




この世界に住む人々が待ち望んでいた聖女。




けれど、その聖女にとっては召喚など望まないものだったとエフィが知ったのは、かなり後になってからだった。






それはエフィの暮らすメトカーフ領に、勇者の一行が立ち寄った時のことだった。

メトカーフは王国の端、魔物の住むといわれている森とも近い辺境。当然被害も他の領よりも多く苦しんでいた。

そこに現れたのが王国を回りながら魔王の城を目指していた勇者の一行だ。


領境で大きな魔物が出現し、その報告を受けた父が取るものも取らず家を飛び出して現場に向かったあの日。

他の兵士と比べても大して強いわけでもない父ではあるが、「僕は責任者だから」とああして現場に飛び込んでいく姿を見るのはいつものことだったが、父が出て行ってすぐに「領民達を邸へ避難させるように」と連絡が来たことで、いつもとは違う事態が起きているのだとエフィは理解した。

エフィはすぐに人々を邸に集めるよう指示を出しながら町を走り回り、そして邸の入り口は破られないように大きな家具で塞いで、邸の中で身を寄せ合って父や兵士達の帰りを待った。


その父が帰ってきたのはもう陽も沈もうとしていた時間だった。


「エフィ、エフィそこにいるかい?」

「父様っ!」


頑丈に張ったバリケードの外からかけられた声にエフィは急いで塞いでいた家具をどけ扉を開く。

そこに居たのは見知らぬ青年に肩を借りながら安堵したように笑う父だった。


「父様っ…お怪我を…」

「足だけだから僕は大丈夫だ。それよりも先に勇者様方を客間にご案内してくれないか」

「え…?」


その言葉に呆然と父に肩を貸す男性を見上げる。


腰に差した剣に大きな肩、青い髪は動きの妨げにならないようだろう短めで。精悍ではあるが頬に傷のあるやや強面な顔つきは、歴戦の猛者と言われても確かに納得する。


「勇者様が父を助けて下さったのですか?」


エフィがそう言うと、その青年は罰が悪そうに「俺じゃない」と小さな声で言った。


「え?」

「俺はただの騎士だ。勇者は後ろにいる」


騎士と名乗った青年に指を指されるまま肩越しに後ろを覗き見れば、他にも見慣れない三人の青年と一人の少女がいた。

この国では珍しい黒髪黒目のエフィと同じ年頃の少女。エフィと目が合うと優しげににこりと笑った彼女こそ、今回異世界から召喚された聖女であった。


領境に出現した魔物に苦戦を強いられていた父達を救ったのは彼等一行だった。魔物は勇者達に討伐され、傷付いた父達は街まで彼等に連れ帰ってきてもらったのだという。


見慣れない青年達のうちの一人、王家の色である銀の髪を持つ青年が今代の勇者であり、この国の第一王子ライネル殿下。王家にはライネル殿下の下に王子が二人いるが、第二王子は身体が弱く病床の身で、第三王子はまだ三歳という幼さであったため、彼が勇者に選ばれるのは必然だった。

ローブを着ているのは魔法使いメルヴィン。メルヴィンの家は高名な魔法使いを何名も輩出している名門侯爵家で、魔法の才を絶やさないために何よりも血統を重んじているのだそうだ。

父に肩を貸してくれていた青髪の青年はコルトという。近衛騎士の副隊長を務めるほどの実力者で、その実力を買われて勇者一行に抜擢されたらしい。

その彼とよく似た面差しのもう一人は、彼の弟で同じく騎士のコークスという。兄弟でも落ち着いていてどちらかと言えば無骨そうに見えるコルトとは性格が反対のようで、人懐っこく明るい印象を受けた。騎士とはいえ、二人とも子爵家の出であるから、エフィ達よりは位が高いことになる。


話を聞いたエフィはすぐに避難していた領民達にもう安全であることを伝え、それぞれを家に帰し、あるだけの食料で食事や湯の用意に走り回った。一行は魔の森の探索をするためにも暫くの間この領に逗留をする予定だと父から聞かされた。

普段は老夫婦が仕えてくれている我が家ではあるが、今回の戦闘に参加していた二人の子供達も怪我を負っているらしく、心配だろうからと家に帰してしまっていた。

名ばかり貴族の裕福とは言えない身の上、自分のことは自分でやるのが当たり前だった。使用人がいなくても食事の用意などに困ることはないが、お客様がいるとなれば別だ。ましてや父の恩人でもあればなおさら失礼があってはならないだろう。


「あの…何かお手伝いすることはありますか?」


着替える間も惜しく令嬢とは思えない格好で慌しくキッチンを動き回るエフィに、おずおずとした様子で声をかけてきたのはまさかの聖女様だった。


「聖女様…!?いいえ、どうぞお休みになっていてください。お食事はもう少しかかりますが、お湯はもうすぐご用意できると思いますから…!」

「それなら、私も食事の用意を手伝うよ」

「いいえっ父の恩人である聖女様にそんなことをさせるわけにはいきません!」

「父の……じゃああなたが男爵の娘さん?」

「はい、エフィ・メトカーフと申します…この様なみっともない成りで申し訳ありません。今日は父を助けてくださりありがとうございました」


貴族令嬢であるエフィが下働きのような格好をしてい働いていたことに驚いたのか、聖女様は慌てて「頭を上げてくださいっ」と言った。


「ごめんなさい、私あなたが貴族の娘さんだとは知らずに…」

「っ、せ、聖女様こそ頭を上げてくださいっ、どうして聖女様が謝るんですか!」

「貴族の人にはきちんとした言葉で話すよう言われてたのに…ごめんなさい…」


後で知ったことだが、立ち寄る先々で貴族達から「満足に話すこともできないのか」とか「異界の聖女などやはり下賎の者だ」など口さがないことを言われていたらしい。一体何様だというのだろう、酷い話だ。

その時は聖女がそんな扱いを受けているなどと知らなかったエフィは、どうして彼女がそんなことを言うのか気にはなったが、むしろ自分の方が不敬だと言われてもおかしくない恰好であったので、とにかく頭を上げてもらいたくて床に膝をついて顔を覗き込んだ。


「っ…だめ、汚れちゃうから…」

「聖女様こそ私なんかに膝をついちゃ駄目ですっ」


同じように相手も膝を突いて謝ってくるので、どんどん屈んでとうとう二人して床にしゃがみこんでしまい、おかしくなってしまったエフィはつい笑ってしまった。


「聖女様、私は本当に貴族といってもこんな田舎の娘だから…どうぞかしこまらないで下さい。かえって恥ずかしくなってしまいます」


そう言ったエフィに驚いたような顔をしながらも「それなら私も…普通に接してくれると嬉しいな」と少しだけほっとしたように聖女様は笑った。


「私は天瀬ヒカリ。ヒカリの方が名前だよ」


神聖視されていた異世界の聖女様は、話してみるとずっと大人しくて優しくて一緒にいるとほっとするような雰囲気を纏っている普通の女の子だった。

聖女と傅かれても驕ることもなく、貴族令嬢らしくないエフィのことも笑ったり否定したりせず。自ら率先して仕事の手伝いや領民達に分け隔てなく癒しを施していく姿に、エフィも領民たちもすっかり打ち解け、仲良くなるのに時間はかからなかった。

ヒカリは、エフィに聖女でなくどうか名前で呼んで欲しいとそう言った。神聖な立場の聖女を名前で呼ぶのは気が引けたが、エフィがヒカリの名前を呼ぶようになったのは、彼女が大きな寂しさを抱えていると知ったからだ。


『元の世界に帰って、ちゃんと謝りたいから』


別の世界からきたのにどうしてこの世界のために戦ってくれるのかと、前にエフィが聞いた時にヒカリはそう話した。


『あの日、私、家族と喧嘩して家を飛び出したんだ。無我夢中で走ってる時に何かに躓いて、転んで……気がついたらこの世界の…この国のお城の中にいた。私の世界では異世界に召喚されるっていう本…ええと、物語が人気でね、もちろん私も憧れてたよ。でもその話ってみんな授かった力を使って異世界で幸せになるっていうのがほとんどで…だとしたら私もこのままもう戻れないのかもしれないって、そしたら、もう二度とお父さんやお母さんや友達に会えないんだって思ったら、すごく恐くて…』


ヒカリの住んでいた世界は、魔法はなくてもこの世界よりもずっと文明が進んでいる。魔物もいなくて、ヒカリの住んでいた国では戦争も禁じられていて、ずっと平和な、こことは全く違う世界だということだけは分かった。


『神官様にも元の世界に戻る方法は分からないって言われたけど、魔王を倒せばその方法を探してくれるって王様と約束したの。だからこの世界の為だけに戦ってる訳じゃないんだ…ごめんね、こんなの聖女らしくないよね……でも私…まだごめんなさいが言えてない…っ、つまらない喧嘩なんかするんじゃなかった…ちゃんと謝りたい…お父さんやお母さんに会いたい…っ…』


そんな世界から突然異世界につれてこられ、見知らぬ人々に囲まれ、命をかけて未知の魔物と戦えなどといわれたらエフィだって追い詰められて泣きじゃくるだろう。寧ろ拒否して逃亡するくらいはしてしまうかもしれない。膝を抱えて泣くヒカリは年相応の少女でしかなかった。

恐ろしい目に遭いながらも、諦めず前を向くということがどれ程大変なことか。自分が元の世界に帰る為だと言っても、ヒカリは休む間も惜しんで傷付いた領民達の治療をしてくれたし、誰に対しても誠実だった。傍でその姿を見ていたから、エフィはヒカリにこれ以上自分を責めて欲しくなくて「謝らないで」と言った。つられてぼろぼろと泣き出したエフィに苦笑して、逆に慰めてくれた優しいヒカリは聖女に選ばれるべくして選ばれた少女で、もしこの世界が一つの物語ならば、ヒカリのような人が幸せになるべきお姫様なのだと思った。


一緒に過ごしたのはまだ数日でしかないが、エフィはそんなヒカリのことが大好きになっていた。

だからこそ、その出来事はどうしても許せなかった。


それが起こったのはヒカリから話を聞いてから数日経った頃のことだった。



「ヒカリはまだ魔王を倒したら元の世界に戻れるって信じてるのか?」


いつものように食事の用意をヒカリが手伝ってくれて、出来上がった食事を二人で部屋に持って入ろうとしたときに聞こえた声。


勇者であるこの国の王子の声だった。


「ライネル…その言い方は…」

「コルト、本当のことでしょう。そろそろヒカリにも現実を見てもらわないと」

「あれでしょ?確か先々代の聖女は元の世界に戻ったっていう話を聞いたんでしょ?あんなのただの昔話なのにさ。兄貴だって知ってるだろ?」


そのあんまりな言い方に、咄嗟に部屋に入ろうとしたエフィの腕を掴んで止めたのは他でもないヒカリだった。静かに首を振る姿にぐっと耐えてその場に留まる。


「それでもヒカリにとってはあちらの世界は簡単に捨てられないくらい大切なものだということだろう」

「そういって兄貴はいつもヒカリを庇うよね?もしかして好きなの?」

「聖女に対して不敬が過ぎるぞコークス…」

「恐っ…ち、ちょっとした冗談じゃん…!!剣に手かけなくたっていいじゃん!!ほんと冗談が通じないんだから…」


コルトというのはあの時父に肩を貸してくれていた青年の名だった。弟の無礼を咎めるように低めた声が扉越しに聞こえた。聞いている限り彼だけはヒカリのことを庇っているように思えた。


「落ち着きなさいコルト、コークスの言うことも一理あります」

「そうだな…」

「ほら~ライネルとメルヴィンもそう言ってるじゃん」

「っ…しかし…」

「異世界からきた聖女が元の世界に帰ったという話は、真偽も定かではない伝承としてしか残っていないのだから、彼女が元の世界に帰れる可能性は低いだろう」

「そうなった場合、王族や高位貴族との婚姻を結びこの国に留め置く必要があるのでしょう?我々も他人事ではありませんからね」

「聖女の力は絶大だ…魔王という脅威がなくなれば他国への牽制も必要になる。…が、王家に迎え入れるにしてももっとマナーを学んでもらわないと今の状態では難しいな。あれでは平民と変わらない」

「仕方がないでしょうね…彼女のいた世界では身分などないのが当たり前のことだったようですし…我が侯爵家としても平民の血が入ることは受け入れられませんね」

「絶世の美女ってわけでもないしねー。いっそのこと第二王子と結婚してもらったらいいんじゃない?」

「ヒカリとラインハルト殿下は、殿下の治療のために定期的に交信しているのでしょう?」


第二王子のラインハルト殿下は起き上がることもままならないという状態であると以前風の噂で聞いたことがある。生きながら体が腐って朽ちていき、治療法もなく回復の見込みもない原因不明の病なのだという。魔王が生まれる代には、必ずそうした忌み子が王家や位の高い貴族に生まれるのが常であった。以前ヒカリは、ラインハルト殿下の治療のため定期的に交信しながら聖女の魔力を送っていると言っていた。


「面識がないわけではないですし…重臣達に提案しても良いのでは?」

「聖女の枷としてならば厄介者でも利用価値があるということか」


自分の世界に帰りたがっているヒカリを、それを知っている筈の仲間である彼等が、その気持ちを裏切るようなことを考えていることにエフィはショックで言葉を失った。


「お前達いい加減にしろ…ヒカリだけでなくラインハルト殿下に対しても不敬だ!!」

「ほら兄貴はまたすぐそうやって怒るんだから。はいはい、わかったよ無礼なんだろ?ごめんなさーい」

「コルト止めろ。ラインハルトの将来については王家としても頭を悩ませていることは事実だ」

「しかし…!」

「要は聖女を囲っておければいいのだから、それも一案だってことだ…ヒカリ達ももうすぐ戻ってくる頃だろう……この話は終わりにしよう。皆ヒカリの前では態度には気を付けろよ」

「分かっていますよ、機嫌を損ねられても面倒ですから。今日の食事は何でしょうね…また芋と葉っぱばかりじゃないといいですが…」

「情けをかけて惚れられても困るし、加減が難しいな…食事は田舎だから仕方ないだろう」

「そーそー、ご令嬢も芋っぽいよね。屋敷もぼろいし…ここって本当に貴族なのかなー?」


あははと無神経な笑い声が響く中、エフィは唇を噛み締めた。自分が馬鹿にされたことよりも、隣で唇を引き結んでじっと下を向いて耐えていたヒカリの気持ちを考えたら堪らなくなって。パンの入った籠を持つ手が微かに震えているのに気付いて、すぐに上からヒカリの手を引いて元来た廊下を早足で引き返す。


「エフィ、ごめんね、ごめんなさい…一生懸命食事や世話をしてくれているあなた達家族に酷いことを…」

「…違うよ、私が怒ってるのは屋敷がぼろだって言われたことじゃない…!!何が勇者よ、英雄よ!!陰でこそこそと人を見下すなんて最低!!しかもあの人達は仲間じゃないの!!自分達の都合で勝手にこの世界にヒカリを呼んでおいて、そのヒカリのことをあんな風に言うなんて…!!」


部屋から遠ざかると、なりふり構わずそう叫んだ。


この世界のために命がけで戦ってくれているヒカリを、彼女の気持ちを考えることもせず自分達の都合のいいように扱うことしか考えていないことも。聖女だと持て囃していても陰で蔑むような言い様も。何より共に戦う仲間である筈の彼等が、そう言ったことが許せなかった。


「泣かないでエフィ」

「ううぅう…悔しい…!!何であんな酷いこと言う奴等が勇者とその一行なの…っ!!」

「しょうがないよ、あの人たちにとっては身分が一番大事なんだと思う…」


あの時と同じく泣いてしまったエフィに、苦笑して自分の服の袖口で涙を拭いてくれたヒカリは言う。


「考えようによっては可哀想な人達なんだよ。身分や見た目だけでしか人を見られないから、本当の意味で誰も好きになれないし、誰かを信じることもできない。ラインハルト様のこともそう…確かに酷い病気だけれど、話してみると優しくて、色々なことを知っていて…すごく尊敬できる人なのに…きっと身分や建前が邪魔して本当の姿が見えてないんだと思う…」

「ヒカリ…っう、ぅ…」

「それに、ライネル様達はああ言ったけど…私、諦めない。昔話でも残ってるっていうことは可能性があるってことだもん…だから私頑張るよ!」


「一緒に戦う仲間だから、きっとライネル様達もいつか分かってくれるかもしれないし」と、エフィはこれっぽっちもそうは思わなかったが、そう言って健気にも勇者達を信じようとするヒカリに、エフィは悔しくてまたわんわん泣いた。






それから程なくして魔の森の長である魔物の討伐を終えたヒカリ達は、メトカーフを旅立って行った。


「ヒカリっ…どうか無事に…!!困ったらいつでも戻ってきていいからねっ…!!」

「うんっ…エフィも…どうか無事でいてね」


ヒカリに対してあんなことを言っていた奴等と一緒に旅を続けさせるなどとエフィは気が気ではなかったが、ヒカリは「元の世界に帰るためだから」と旅を続けることを決意していた。


「コルト様、どうかヒカリをお守りください…!!どうか、どうかお願いいたします…!!」

「あ、あぁ…この命にかけてもヒカリは守る」


だからこそエフィはあの時唯一ヒカリを庇っていたコルトに、しつこいくらいにヒカリのことをお願いしておいた。ヒカリを庇ったのはコルトが少なからずヒカリに好意を抱いているからではないかとエフィは思っていた。もし元の世界に帰ることができなくても、彼ならばヒカリを邪険にしたりしないのではないかと思ったからこそのお願いである。ついでにコルトだけはエフィが作った食事を毎日残さず食べてくれていた。だからきっと悪い人ではないと勝手に思っている。

エフィに手を握られてその勢いに押されたのか思わず後ずさった相手に、それはもうしつこく「貴方様だけが頼りです!!」と食い下がった。


「心得た、分かったから…離せ…っ…」

「約束ですからね…!!」

「分かったから…!!」


何度も念を押すエフィから顔を背けたコルトや、何度も手を振ってくれたヒカリ達の後ろ姿を見送りながらエフィは祈った。


(どうかヒカリが元の世界に戻れますように…無事に戻ってこられますように…あとヒカリに酷いことを言った人達が全員ジャガイモみたいになりますように…見た目や出自を馬鹿にするような人はジャガイモ顔に変えられてしまえばいいのよ…!!)


ヒカリ達が旅立ってからはエフィはヒカリの無事と、ついでに靴の中に入った小石が取れないとか、足の小指を毎日どこかにぶつけるとか、彼等が日頃の行いを省みるくらいの些細な罰でもいいから当たりますようにと、毎日神に祈るのが習慣になっていた。



そして数ヶ月が経ったある日、空が真っ白に染まるほどの光が溢れて、それまで国中を包んでいた重苦しい雲が突然晴れた。

口伝で魔王が討伐されたのではとないかという噂はあっという間に広まり、それが成し遂げられたと王家から各地に通達されたことで、国中の人々が魔王討伐が事実であることを知った。


「やったんだね…ヒカリ…」


国中が喜びにあふれて、誰一人欠けることなく偉業を成し遂げた勇者達一行を誰もが讃えていた。エフィ達家族も手を取り合って領民達と共に喜び、王都に戻ってくるヒカリ達を祝うためすぐに王都へと向かった。

メトカーフは王都からは離れているため、おそらく凱旋のパレードには間に合わないだろうが、その後城で行われる祝賀パーティーでならきっとヒカリの姿が見られるだろう。エフィのような下っ端貴族の娘が聖女であるヒカリに話しかけたりしても大丈夫だろうかという不安はあったが、エフィは早くヒカリに会いたかった。


元気だったか、怪我はしていないか、ご飯はちゃんと食べられていたか、あの後勇者達に酷いことはされなかったか、帰る方法は見つかったのか、沢山聞きたいことがあった。


(もうすぐヒカリに会える…)


パーティの当日、その日王都に到着し心配と興奮で弾む胸を落ち着かせながら身支度を整えたエフィは父親と共に王城へと向かった。名ばかり貴族であるメトカーフ家がこんな王城でのパーティーに招待されることは稀だ。それだけでもこのパーティーが国を挙げての祝事だという証拠である。

きっと豪華に飾り付けられた会場で、人々全てがヒカリ達を讃えるために集っているのだろうとエフィは想像していた。



しかし城門を潜ったそこに待っていたのは、想像もし得ない光景だった。




「この度の大役、大義であった。よって聖女には第二王子であるラインハルトとの婚姻を以て褒美とする」

「どうして…っ、元の世界に戻る方法を探してくれると約束したじゃないですか…!!」

「そなたには申し訳ないが…召喚の書には元に戻る方法は記されておらん」

「それを探してくれるという約束だったでしょう?私は元の世界に帰りたい…だからこの世界で結婚なんかしません…!!旅の間、ライネル様もそう約束してくれていた筈です…!!」

「納得しないのであれば仕方ない…」

「っ!?」


突如ヒカリの腕に嵌まっていた腕輪から光が溢れる。


「いやっ…何…!?」

「それはそなたの移動を制限する魔道具だ。自力では外せない」

「な…」

「帰ることができない以上はこの国でそなたの身柄を預かるのが道理と考えての措置だ」

「そんな…」


広間の真ん中で膝を突いて項垂れるヒカリに周囲の貴族達からクスクスと嘲笑が飛ぶ。


「まぁあのように大衆の前で膝を突くなどとみっともないこと」

「所詮平民の娘だという話ではありませんか」

「ふふっ…下賎な出の娘には呪われた第二王子がお似合いね」


皆を救ったはずのヒカリがどうして嘲りの対象になっているのか。何故一緒に旅をしていた王子や魔法使いの彼等は王の膝元にいてヒカリを庇いもせず見下ろしているのか。


「聖女とはいえ、元が平民のそなたを次期王のライネルの妃にはできん。ラインハルトは表舞台に出ることはないが、王族であることに変わりはない。ラインハルトには王家直轄の領地を与える。それだけで十分な暮らしができるはずだ」

「う…ぅ…ぅっ…」


ざわめきの中で耳にヒカリの小さなすすり泣く声が聞こえた。

エフィは混乱していたが、その声にヒカリが傷付いていることだけは分かった。


「っ…」

「待てっ」


思わず一歩踏み出して怒鳴りかけたエフィの手を掴んで、後ろに引っ張り戻したのはコルトだった。


「コルト様…どうしてここに…というか離して!!」

「落ち着け」

「ふざけないで!!何であなたはヒカリを助けにいかないの!!」

「話を聞け、これには事情が…」

「そんなの言い訳じゃない!!約束したのに…あれほどヒカリを守ってって言ったのに…!!意気地なしっ!!」

「いく……!?」


癇癪を起こして怒鳴るエフィの言葉に腹を立てたのか、コルトが反論しようとした時にその声は響いた。


「お待ちください陛下」


決して大きくはない声だったのに、はっきりと会場に響いた声の主は入り口の扉を潜り、真っ直ぐにヒカリの前まで行き彼女を助け起こした。


「そなたは…?」

「そのお声は…ラインハルト様…?」

「ラインハルト…?…まさかラインハルトなのか…?」


王やライネル王子と同じ銀の髪を持つ青年は、ヒカリに「もう大丈夫だよ」と優しく声をかけて王に向き直る。その白い肌に病の痕跡などはなく、美しいほど整った容姿に周囲からは感嘆の溜め息が漏れた。


「ラインハルト…?どうしてお前がっ…その姿は一体…」

「兄上…こうして言葉を交わすのは何年振りでしょうね。あなたは病床の僕を疎んで近寄ろうともしなかったから」

「っ…今は関係ないことだろう!!その姿はどうしたんだと聞いている!!」

「…それは彼女が僕を救ってくれたからです」

「救った…?お前の病は癒しの魔法でも治らないものではなかったのか?」

「魔法で治った訳ではありません。そもそも僕のあの姿は病ではなく、僕の中にいた神によってもたらされたものだったからですよ」


ラインハルトの言葉に会場中が静まり返る。


ラインハルト王子の説明によると、この世界の神は世界に溜まる瘴気を自らに取り込むことで世界の均衡を保っているらしい。そして取り込んだ瘴気に自身が飲まれないよう、神は数百年単位で自分の一部を切り離し、それを異界から召喚した人間に浄化してもらう。


「それこそが魔王の正体なのです」


一気に騒がしくなった会場に向けて、ラインハルトは静まるように片手を上げて示した。


「この世界の人間では、元が神である魔王を傷つけることはできません。だからこの世界の神は瘴気の塊となった己の一部を元の姿に正してもらうために、異界の人間を欲するのです。それが聖女の召喚です」

「しかし我々はちゃんと魔王と戦って勝利した!!」

「それは全て彼女のお陰でしょう。異界の聖女の加護がなければこの世界の人間には魔王に傷一つつけることも叶わないのですから」

「っ…だとしても、お前が呪われた姿でいたこととは関係がない!!」

「私があんな姿をしていたのは、私の中に弱体化した神がいたからです」

「神が…いた…?」

「そうです。自らの一部を切り離した状態の神は、そのままでは消滅してしまうほどに弱ってしまうそうです。この世界に留まり続けるには寄り代が必要だった。その寄り代が僕だった」


浄化の度に神は異界から聖女を召喚し、そして自分は寄り代となった人間の中にいて浄化の時を待つ。神は寄り代の中にいる間も世界に満ちる瘴気を取り込んでいるために、寄り代となった人間はあのような姿になってしまうのだそうだ。


「神は自分の都合で呼び出した聖女に対して、とても感謝していました。寄り代に選ばれる人間が王家や高位貴族が多いのは、全てが終わった後、この世界のために働いた聖女が粗末に扱われることがないようにするためです」

「嘘だっ…伝承にはそんな記載はなかった…」

「それは歴代の聖女達が丁重に扱われていたからでしょう。召喚の書にはきちんと送還の方法も書かれていた筈だ。今回のように聖女を欺いてその意志が無視されるようなことがなければ、神は僕の記憶からこのことを消すつもりだったと言っていました。あなた方がヒカリにしたことを神はずっと見ていたのですよ」

「だ、だが、私達は聖女を害そうとした訳ではない、保護しようと…」

「彼女は元の世界に帰ることを望んでいた。保護と言えば聞こえはいいが、実際は聖女を国の管理下に置いて利用したいだけだったのでしょう?その都合のいい言い訳を神は納得すると思っているのですか?」


ラインハルトの言葉に王を始め、会場にいた人間は己の行いを省みて全て言葉を失っていた。

だってそうだろう。この世界を統べる神が誰よりも感謝し幸せを願っていた少女に対して、それを裏切るような仕打ちをしたのだから。神の怒りに触れたと言ってもおかしくはない。


「ヒカリ」

「っ…は、はい…」


ラインハルトに肩を支えられていた状態で、ヒカリは突然名前を呼ばれたことで我に返って返事をした。呆然と成り行きを見守っていたエフィもまたはっとして二人を見た。


「突然見知らぬ世界に連れてこられて…家族や友人とも引き離され、危険な目にも何度も遭ったことでしょう。それでも君は懸命に、最後までやり遂げてくれた。だというのにこのようなことになって…とても辛い思いをさせてしまいました。本当に申し訳なく思います…君がそうやって沢山悩んだこと、悩みながらも前を向こうと努力したこと…周りの人間の不誠実を知っても尚、優しい気持ちを持ち続けたこと…神も僕もちゃんと知っています。この国を、民を救ってくれてありがとう」

「…っ…」


ラインハルトの言葉に、思わずぽろぽろとヒカリの目から涙が零れた。


「さっきも言いましたが、神は君にとても感謝しています。だから君が元の世界に戻りたいと願うなら、神はその願いを叶えてくれるでしょう」

「ぁ…ほ、本当に…?」

「はい」

「っそ、そんな勝手が許されると思うのか…!!」


その言葉にライネルが反論し、ヒカリへ手を伸ばそうとする。しかしその手は身を竦ませたヒカリに届く前にラインハルトによって阻まれる。


「邪魔をするなラインハルト!!聖女はこの国の財産だ、勝手に元の世界に帰られては困る!!」


ラインハルトに掴みかかったライネルはそう叫んだ。


「兄上…この期に及んで尚彼女を苦しめるというのですか」

「うるさい!!私は魔王を倒した英雄だ、眠っていただけのお前が偉そうに言うな!!」

「ならば何故ヒカリを僕のような呪われた男の妻になどしようとしたのですか…!ヒカリにこの世界に留まってほしいと思う気持ちがあったのならば、もっと彼女の心を聞き、心を尽くすべきではなかったのですか…!!」

「っ…」

「僕は貴方が羨ましかった…ヒカリの傍で彼女を守れるだけの強さと立場を持っていた貴方が…全てが終ればヒカリは元の世界に帰ってしまう、この世界に残ったとしても本来なら貴方方の誰かと結ばれる、敬われるべき立場だった…代われるものならば代わりたいとどれだけ願ったか…!!」

「え……」


ラインハルトの言葉にヒカリは呆然とその背を見上げる。


「え……?」


その様子を遠目で見守っていたエフィもまた呆然と声を洩らした。


「えっと……何が起こってるの…?もしかしてラインハルト殿下はヒカリが好きなの…?」

「そうだな…」

「そうだなって…え?コルト様はいいの?」

「?…何が?」

「何がって、貴方はヒカリのことが好きなんじゃないの?」

「は……?まて、いつからどうしてそうなった…!?」

「え?だ、だってコルト様はヒカリを命に替えても守るって…」

「俺は騎士として王子と聖女の護衛を拝命していた。この国の為に戦ってくれている聖女を命がけで守るのは当たり前だ」

「え……?つまり、どういう…?」

「…俺達が出るまでもなく、ラインハルト殿下がヒカリを守ってくれるということだ」

「出るまでもなくって…貴方は知っていたの?え?事情ってこういうこと…?だからさっき止めたの?」

「……だから言っただろう」

「聞いてない!」

「聞かなかったのはそっちだろう!」


エフィ達が言った聞いてないと子供みたいな言い争いをしている間にも、会場の真ん中では二人の王子は睨み合いを続けていた。


「勝手な言い分なのは分かっています…神の寄り代という役目があったとはいえ、実際にヒカリを守り魔王を倒したのは貴方だ。貴方の言う通り僕は何もできずに眠っていただけだった…強い貴方を尊敬していました…その兄上がどうしてこの国を救ってくれたヒカリにこのような仕打ちをするのですか…!」

「異界の、素性も知れぬ者を受け入れる者がいると思うのか?いたとしたらそれはその者も同じく出自が卑しい者だろうな」

「貴方は………残念です、僕には貴方の考えは理解できない」


ラインハルトは前を見据えたまま背に庇ったヒカリに声をかける。


「ヒカリ」

「…っ…」

「いきなりこんなことを言っても信用ないかもしれないけど…実は僕は転生者なんだ」

「えっ」

「だから君の帰りたいと思う気持ちは誰よりも分かるし、あの世界を思い出させる君にどうしても焦がれてしまった」

「ラインハルト様…」

「僕は命を失ってこの世界に来たんだ…もう戻ることは叶わないだろう。だからもし君がこの世界に残ることを望んでくれた時は、他の誰でもなく僕が君を傍で守りたいと思っていた…けれど何度も話をするうちに、ずっと君が元の世界に戻りたいと願っていたことを知っていたから…だから僕は君の願いが叶うよう応援するって決めたんだ」

「私…っ…」

「この世界を救ってくれたことに感謝を、その優しい心に尊敬と親愛を…君がどこにいたとしても、君の幸せを願う人間がこの世界にいることを忘れないで……さぁ、神様に願って…」

「っ」


その瞬間ヒカリ達の足元に大きな魔方陣が現れて広間中に光が溢れた。


「ま、待てヒカリ…!!魔方陣を破壊しろ!!衛兵達!!ヒカリを捕らえろ!!」

「ヒカリの邪魔はさせない!」

「どけラインハルト!!」

「ぐっ…!?」

「ラインハルト様っ…」


ライネルに殴り飛ばされ、倒れこんだラインハルトにヒカリが駆け寄る。


「駄目だ、早く行くんだ…」

「でもっ…このままじゃあなたが殺されちゃう…!!」


(そんなことはさせない)


「え…?」


突然頭の中に響いた声に誰もが一瞬動きを止める。いや、誰一人として動くことが出来なかった。

コルトの制止を振りきって咄嗟に飛び出そうとしたエフィも、また同じように動きを止めて固まった。


(全く…ここまで私が選んだ聖女に無体を働こうとするとは…)


ヒカリとラインハルトを守るように、溢れた光が収束する。人間の頭くらいの大きさになった光の球は二人の前に浮きながら言葉を発した。その様はまるで震えた空気が直接頭にぶつかるような不思議な感覚だった。


(ヒカリ…あなたには今まで私のせいで迷惑をかけた。我が身が再び半身を取り戻せたのはヒカリのおかげだ、礼を言う)


「神様…?」


(そうだ、私がヒカリを呼んだ)


「………」


(ヒカリ、本当に元の世界に戻ることを望むか?)


「私は……戻りたい、戻ってお父さんやお母さんに会いたい…けど、このまま行ったらラインハルト様や私を心配して庇ってくれた皆が酷い目に遭うのではないですか?」


(安心なさい、私の入れ物としての苦痛を強いてきたラインハルトに、そのようなことは絶対にさせない)


「本当に…?」


(本当だ。ラインハルトも本当に良いのだな?)


「はい…神のお心に感謝いたします…」

「お、お待ちください…!!」


ヒカリ達の会話に割って入ったのはこの国の王だった。


「魔王という共通の敵が居なくなり、その上聖女を失えば我が国は他国から攻め入られるやもしれません…!!神に誓って聖女様を奉り、国の宝として敬います…どうか御慈悲を…!!」


(私の聖女にあのような仕打ちをしておいて、この期に及んでまだ保身に走ろうとするか…愚かな…)


どこか冷めたように尖った言葉でそう言った神は、ヒカリとラインハルトの身体を自身の身体で包み込んだ。その瞬間ヒカリの腕につけられていた魔道具が砕け散る。


「っ…!?」

「神様…!?」

「きゃああぁあっ!?」

「うわぁああ!?」

「っ!?」


その様子を固唾を呑んで見守っていたエフィは、すぐ近くで起こった悲鳴に驚いてあたりを見回す。


「ああぁっ!!顔がっ!?顔がぁ!?」

「ぎゃあああ化け物ッ!?」

「いやあぁ!!」

「痛いっ、いっ…!!」

「助けてくれ…助けてくれぇっ!!」

「どうして私の顔が…っ…!?」

「足がっ…小指がぁっ!?」


あちこちであがる阿鼻叫喚の声に目を凝らせば、会場の至るところにジャガイモのようにでこぼこになった自分の顔を触りながら叫ぶ、元は貴族の令嬢子息だったと思われる人々や、足の小指を押さえて床に這いつくばって悶絶している人々の姿が見えた。


(ふん、それは私の聖女を嘲った者達への罰だ。いや面白い願いを毎日熱心に祈ってくる変わった人間がいたのでな…その者の願いを採用してやったのだ)


「えぇ…」


思わぬところで自分の願いが神に届いていたことを知り、エフィは顔を青くしてちょっと引いた。面白いとかそんな理由で採用しないでほしい。


けれど。


「あぁぁ顔が、俺の顔がっ…!!」

「ぐぅっ…な、何故こんなところに柱が…!?」

「嘘だろっ…どうしてこんなことに…ヒカリっ助けてくれ…!!」


罰を受けた人々の中にヒカリを馬鹿にしていた三人の姿を認めて、エフィは思わずガッツポーズを象った腕を慌てて下げた。


「あぅ…指が…っ顔がぁあ…!?」


(王よ感謝しろ。顔を失った者達はその代償として力や魔力が少し上がっているぞ。これで聖女がいなくなっても国力が落ちて攻め入られる心配はなくなったな)


「あぁ…あぁ…」


(さて、私はヒカリを元の世界に戻しにいくからな)


「そ、そんな…我々はどうすれば元に戻るのですかっ…」


(呪いを解くのはいつだって愛だというのが物語の常套句だろう?精々反省することだ)


「そんな…」


アバウトすぎる回答を残し、ヒカリ達ごと消えた神様に誰しもが絶望して泣き叫ぶ中、ふとエフィは自分の手がコルトに掴まれたままだったことに気付く。思わず横を見上げた彼の顔に特に変化はなかった。


「………あなたは変わらなかったのね」

「………そういうお前こそ芋にならなかったんだな」

「芋……と愛を育むの無理じゃない…?笑ってるのか泣いてるのか怒っているのか…でこぼこ過ぎて表情も全く判らないわ…」

「そうだろうな…俺はとりあえずお前が芋になってなくて酷く安堵している…」


しみじみと繋いだままになっているエフィの手を、自分の目の高さまで持ち上げながら言ったコルトに、はっと我に返ったエフィはその手を振り切って自分の元に取り返した。


「いつまで繋いでるのっ!!」

「あ、あぁ悪い…捕まえておかないと飛び出して行きそうだったから…つい…」


自分よりも大きな手の感触を思いだして顔を赤くするエフィに、頭を掻いたコルトは口を開いた。


「…あのな」

「エフィ!!無事だったんだね!?」

「父様っ」

「えふぃいいぃ!!あぁよがったぼくのえふぃがジャガイモになっていだらどうじようかどぉ…!!」

「父様……鼻水がすごいわ…」


エフィを探して会場を走りまわっていた父親は、人間の状態のエフィを見つけ泣いて喜んだ。父親の姿も変わりないことを確認したエフィもしかり。共に神様の罰からは外れたことにほっとしてお互いの無事を喜び合った。


「………」

「そういえばコルト様、さっき何を言いかけたの?」

「……何でもない」

「そう…?」


また頭を掻いてそっぽを向くコルトに首を傾げたエフィだったが、きっとまた話す機会もあるだろうと思い、父親に連れられるまま叫び声や泣き声のする会場をそそくさと後にした。この騒ぎはきっと暫くは収まらないことだろう。


(ヒカリはちゃんと自分の世界に戻れたのかな…)


出来ることならば最後にもう一度だけ話がしたかった。ちゃんと、さよならも言いたかった。それでもヒカリが望んだことが本当に叶ったのならば、寂しいくらいは我慢しなければと思う。


(どうか……ヒカリが家族と会えますように…ちゃんと仲直りできますように…)


今宵この国に起こったことは、きっと数百年先も人々の教訓として語り継がれることだろう。


色々なことが一辺に起こりすぎてどっと疲れに襲われたエフィは静かに目を閉じて馬車の車輪が回る音に耳を傾けた。

暗い馬車の中、ヒカリに思いを馳せていたエフィはまだ気付いていなかった


これから自分に振りかかる災難に。











「メトカーフ嬢は俺と踊るんだ!!」

「いいや私が先に申し込んでいた!!」

「ですから私はどなたとも踊りませんと言っています」

「メトカーフ嬢は疲れているんだ、さぁあちらで僕と座って語らいましょう」

「いいやあちらで飲み物を…」

「いりません、語らいません。お願いですから放っておいてください」

「あぁ何て奥ゆかしいんだ…」

「………」


神がこの国に与えた罰は、エフィにとって、とんでもない厄介な事態を引き起こした。


それが目の前のこの光景の答えである。



神罰が下ったのは、この国でヒカリに対して悪意を向けた者達だ。

出自を笑った者、容姿を嘲った者達は顔面がジャガイモになり。そして恐ろしいことにどんなに気を付けていたとしても毎日どこかしらの角に足の小指をぶつけてしまうのだという。ジャガイモ相手に愛を育めるメンタルを持つ人間は中々居ないことだろう。けれど愛する人と結ばれない限りその罰が許されることはなく。


しかしエフィやコルトのように、それを免れた人間も少数ではあるが存在しているわけで。


結果、エフィのような平々凡々な見た目でも、そこに適齢期の令息達が集中しているわけである。悲しいことにエフィの価値が上がったわけではない。あくまで周囲の価値が著しく下がっただけだ。ドレスを着たジャガイモ令嬢達と比べて、である。全然嬉しくない。



(ヒカリは今頃どうしているかな…)


神の粋な計らいというものなのか。エフィの元には一度だけヒカリからの手紙が届いていた。

あちらの世界に戻った後、ヒカリはちゃんと家族と仲直りができたらしい。元の生活に戻れたことの安堵と、エフィにもう会えないことの寂しさが書かれていた。エフィも寂しかったけれど、元の世界に戻ってもヒカリがエフィのことを覚えていてくれたことが嬉しかった。どうかヒカリがあちらの世界でも幸せに過ごしてくれることを願うばかりだ。今のヒカリには「ハルトさん」という頼りになる婚約者がいるそうだしきっと大丈夫だろう。


そうやってエフィが現実逃避をしていると、言い争っていた文字通りジャガイモ顔の令息達が声を揃えて「メトカーフ嬢は誰を選ぶのですか」とか聞いてきた。


「…私は人を見た目や能力だけで判断しない、誠実で真面目にお勤めができて、信用が厚くて、私の作った料理をおいしいおいしいって沢山食べてくれて、こんな私でも可愛いって褒めてくれるような人がいいんです。あと絶対に顔がジャガイモじゃない人」

「うっ…」

「しかし…」


中には潔く諦める人間も何人かいたが、殆どは食い下がってくる小物である。いい加減疲れたし腹も立っていたので、最終手段を用いることにした。


「あなた方のように人の話を聞かない方を神様はどう思うのでしょうね?」

「えっ!?」

「さっきからお断りしているにも関わらず、このように囲まれ自分を選べと強要されるなど…恐ろしくて…神に助けを乞いたくなってしまいます」


ちなみにこの呪い、相手に無理強いしようとすると更に酷くなる。それは顔がジャガイモになったこの国の第一王子が、姿を変えられていない中でも見目の美しい令嬢を無理矢理自分の妻に召し抱えようとして、自慢の銀の髪を全て失い正真正銘のジャガイモ頭になってしまったことで証明している。


「い、いや、強要など…そんなつもりはなく…」

「ではどうしてどなたも私の話を聞いてくださらないの?やはり無理矢理…」

「う…あぁ、失礼用事を思い出した…」

「僕もだ…」

「怖いわ…神よどうかお助け下さい…!」

「し、失礼する…!!」


こう言えば髪まで失ってはたまらないと思うのか大抵の人間は引き下がる。

それでもしつこく付きまとってくる相手に対しては、容赦なく神に「あの人が禿げますように」と助けを乞うた。その後の頭皮がどうなろうとエフィの知ったことではない。


「ふぅ…」

「なぁ」


漸く最後の一人を追っ払って両手を腰に置いたところに聞き知った声がかけられる。


「苦労しているようだな」

「…しつこくつきまとう方が悪いのよ。まだ潔く諦める人達の方が救いがあるわ…コルト様こそ、お洋服が乱れてらっしゃいますよ」


隣に並んだコルトの騎士服は、捩れた跡がつきタイの一部が力任せに引きちぎられたようになっていた。


「ああ……」


げんなりとした表情から察するに、彼もまたエフィと同じ憂き目に遭っているのだろう。


「勝手なものだな…今まで俺になど見向きもしなかったというのに…」

「同感ね…」


同じ感想を漏らした相手と同時に溜め息を溢す。

コルトが「少し外の空気を吸わないか」とバルコニーの方を指を差す。このままここにいても令嬢達の獲物を狙うかのような視線や令息達の牽制しあう視線にさらされるだけかと思い、エフィも頷いて二人でバルコニーへと出た。


「襟が曲がってますよ」

「さっき無理矢理部屋に連れ込まれそうになったんだ」

「まぁ…随分肉食系なご令嬢ですね…芋なのに…」

「まさか自分がそういう対象として襲われるとは思わなかったんだ……芋に…」

「それは……本当にご無事で良かったです…」


想像以上に疲れているらしいコルトに、思わずエフィは素直に同情した。


「…心配してくれるのか?」

「それは…知っている人がそのような恐ろしい目に遭えば、心配くらいはするでしょう…」


エフィも先程まで令嬢達から向けられていた剣呑な視線を思い出す。美しい容貌を失った代わりに攻撃力の上がった彼女達に本気で襲われたら、きっとエフィなどひとたまりもない。


「そうか…」


どことなく嬉しそうにしたコルトは、改まったようにエフィに向き直った。


「あのな…さっきの話だが…」

「さっき?コルト様が手篭めにされそうになったことですか?」

「違う!それはもう忘れろ!…その……俺が言ってるのは、その前にお前が言ってた…」

「私が?」

「俺は…騎士として毎日真面目に務めているつもりだ」

「はい…?」

「朴念仁と言われるほど融通が利かないとよく言われている。嘘もすぐ顔に出るから吐けない」

「はぁ…」

「食事も基本的に沢山食べる」

「はぁ…………ん?」


コルトが何を言いたいのかよく分からず曖昧な返事を返していたエフィだったが、赤くなった顔を背けて口ごもりながら言うコルトの姿に、漸く相手の発言の意図に思い至り、ぽかんと口が開いた。


「え……え?」

「………」


赤い顔で押し黙るコルトに動揺はしたものの、すぐにコルトもまた顔がジャガイモじゃない女子を探しているだけなのだろうと気付いて我に返る。


「コルト様…いくら貞操の危機だからといって、私で間に合わせようとするなんて…酷いのではないですか?」

「なっ、違う…!!」

「違いませんよ、コルト様は私が好きなんじゃなくて、私が顔を変えられていない僅かな人間だから」

「最後まで聞け!」

「からかうのは止めて下さい」

「違うって言ってるだろう!…あぁもう本当に話を聞かない奴だな…!!」


苛立ったようにがしがしと頭を掻いたコルトは、エフィの手を掴んで自分の口許まで持っていきその掌に口付けた。


「なぁっ…!?な、何、なに!?」

「…こんなに競争率が高くなるなんて思わなかったんだ」


突然された行為に動転して手を引こうとするも、相手の大きな手にがっしりと掴まれていてそれは叶わなかった。何かものすごく失礼なことを言われた気もするが、今のエフィに問い詰めるほどの余裕はなく、ただ赤くなって酸素を求める魚のようにはくはくと空気を食んでコルトを見上げた。


「俺が見つけたのに……俺だけがお前のことを知っていたのに…こんなことになって、皆がお前を見るようになって……焦ったんだ」

「な…ぁ…え…どうして…」

「本当は…魔王を倒して、お役御免になってからメトカーフへ行ってちゃんと言うつもりだった…なのにお前は俺がヒカリを好きだとか言うし…」

「い、いつから、そんな…」


悔しそうに言うコルトに動揺したまましどろもどろと聞き返すと「…あの時、ドアの向こうにいただろう」と罰が悪そうにコルトは言った。


「気付いてたんですか…?」

「お前達が居なくなる少し前にな」


あの時、というのはメトカーフ領でエフィ達がライネル達の話を立ち聞きしてしまった時のことだろう。


「あいつらが酷いことを言っていたから…ヒカリが落ち込んでいるかもしれないと思って後を追ったんだ。そしたらヒカリじゃなくてお前が泣いてた」

「あ、あれは…だって悔しかったんだもの…!!」


カッと赤くなって思わず言い返すとコルトは続ける。


「自分の領地をバカにされたことを怒ってるんだと思ったら、ヒカリのことで泣いてて…言われた本人よりもお前が悔しい悔しいって悪態つきながらピーピー泣くもんだから、ヒカリの方が苦笑して慰めてて」

「ちょっと何でそこまでじっくり覗き見してるのよ!!ばかぁ!!」


幼稚にも泣いてしまった場面を見られていたのが恥ずかしくて、腕を振り上げて相手の胸を殴ると、相手は避けもせずにそれを苦笑して受け止める。


「それから何となくお前のことが気になるようになって、気付いたら目で追うようになってた」

「はぁ?」

「ライネル達が後ろを向いている時に睨んでくるようになっただろ」

「っ…」

「洗濯物を干す時にいつも変な鼻歌をご機嫌で歌って」

「!?」

「ヒカリの仇ーとか、あいつら全員禿げてしまえーとか言いながら薪を割っているのを見たときは流石にどうかと思ったが…」

「何でそんなところばかり見てるのよあなたはっ!!」


思わぬところで自分の醜態を観察されていたことに羞恥心が限界に達して、エフィは掴まれていない方の手で思わず顔を覆った。


「メトカーフを出立するときも、何度も何度もしつこくヒカリをお願いしますって頼んでくるし」

「あれは、だってあんなことを平気で言う人達と一緒だったら誰だって心配するでしょう!?」

「俺はお前に信用されていたと思っていいんだよな?」

「う…」


自分でもそう思っていたことを指摘されて更に顔が熱くなるのが分かった。


「お人好しですぐ泣くところと、働き者なとこ、気の強いところも…話を聞かないのはまぁ、あれだが…ああやって友達のために怒れるところが……好ましいと思った」

「!!」

「あと、お前は芋を煮るのが上手いと思う」

「そこで芋ですか…」

「すごく旨かった。また食べたい」

「っ…」


不意に笑った相手に、その顔を正面から見てしまったエフィはぎゅうっと胸が掴まれたように苦しくなった。

じっとエフィを見つめながら言うコルトは真剣で、決して悪ふざけや、他の令息達のように顔がジャガイモになっていないからという理由で言っている訳ではないことは分かった。

ただ異性からこんなにはっきりと好意を向けられることなど初めてのことで、エフィはどうしていいか分からなくなっていた。


「それに、俺はジャガイモじゃない」


「確かめてくれていい」とエフィの身長に合わせてコルトが屈む。ぐっと近づいた距離に思わず一歩後ずさると、相手も同じように一歩距離を詰めてくる。じりじりとそれを繰り返しているうちにどんと壁が背中に当たった。


「ほら、早くしろ」

「っ…わ、分かったから!!」


背中は壁、顔の両脇にはコルトの腕があり、逃げ場のなくなったエフィはコルトの顔を直視できずに目を泳がせて「近すぎるから一度離れてっ」と相手の胸を押して必死に叫ぶ。きっと顔は真っ赤になっていることだろう。そんなエフィの様子にふっと笑い声を洩らしたコルトは目を細める。


「……初めて見た時は下働きの娘か何かだと思った」

「っ…どうせ私は垢抜けてな…っ!?」


思わず言い返してしまい顔を上げた瞬間、目の前にコルトの顔があって思わずぎゅっと目を瞑る。額に唇が押し当てられて離れていく感覚がして、おそるおそる目を開けば自分と同じくらい赤い顔と目が合った。


「…っ…!?」

「違うよ、確かに貴族の令嬢らしくはなかったが、朗らかで健やかそうだと思った」

「そ、それ褒めてな…」

「褒めてる。それと……今みたいな顔は…普通に可愛いと思う」

「か……!?」


褒められているのか貶されているのか、コルトの微妙な評が全く気にならないほど、言われた言葉と額に残る感触にエフィの頭はショートした。


確かにコルトならば人を見た目や能力だけで判断しないと思う。異世界から来たヒカリに対しても誠実に対応していたし、あの中にあって自分の職務を果たそうとしていたのは接していれば分かったことだった。

信用がおけるのは既に自分で白状してしまっている。

滞在中エフィの作った料理を毎日残さず食べてくれたのは彼だけだった。それを覚えていたのは空になった皿が嬉しかったからだ。

そしておかしな言動や、気の強さを知った上で、可愛いと言ってくれた。今、さっき、言われてしまった。


しかもジャガイモじゃない。完璧だった。


「これで、全部だが…理解したか?」

「っ…」


先程自分が言った理想と完全に一致する目の前の相手に、エフィはただこくりと赤い顔で頷くことしかできなかった。


聖女であるヒカリと出会って、魔王が消えて、ヒカリの努力が報われて、元の世界に帰ることができて。彼女はその世界で幸せに暮らしている。そんなめでたしめでたしを迎えたこの世界の物語の外側で生きてきた自分が、今この瞬間、まるでお姫様のような立場に立たされるなんて想像もしていなかった。


「……返事は?」

「そんな…急すぎて…ちょっと…」

「また意気地無しと言われては堪らないからな…」


「本当はこんなこと柄じゃないんだ…」と、どこか不貞腐れたように言ったコルトは赤い顔のままエフィに手を差し出す。


聖女を虐げ呪われたこの国で、終わりを迎えた物語は形を変えてきっとまた続いていく。


「と……友達からなら……」


この動悸と赤くなった顔に、既に答えが出ているようなものだけど。


自分はおとぎ話のような美しいお姫様ではないけれど、願わくば自分の物語もハッピーエンドだったらいいのにと。

そんなことを思いながらエフィは差し出された手を取って口許を綻ばせた。


エフィ·メトカーフ

容姿も取り柄もない平々凡々な少女。男爵令嬢であるが貧しい名ばかり貴族で、暮らしは庶民とそんなに変わらないため大抵のことは自分でできる。母は早くに亡くしており、一人娘のため父親がやや過保護。涙もろく感情移入しやすく表情豊か、思い込みも強く話を聞かずに突っ走ってしまいがち。煮物が得意。


コルト

近衛騎士の副隊長を務めるほどの実力。伯爵家次男。精悍な顔つきではあるが額や顎の近くに傷があり、爵位を継げない次男であることや弟であるコークスと違って愛想もないため結婚対象としては嫌遠されていた。好きな子に意気地無しと言われたことを何気に気にしている。

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― 新着の感想 ―
[良い点] じっくり読ませて頂きました。 やっぱりハッピーエンドは読んでいて嬉しいですね。 がんばったヒカリちゃんが元の世界に戻れて本当に良かったです。 いも顔になった人達も、いつか元に戻れるといいで…
[一言] 面白かったです。 粋な神様が好きです(笑)
[良い点] お前の様な平々凡々がいるか!! コルトが褒めた美点はについては全く同感。大変得難い資質ですし、誰もが持てるものではありませんよね。そういう意味で、エフィは凡人に当て嵌まらないと思います。…
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