世界想造をはじめましょう。
空と部屋をつなぐ端の窓から、ほのかに明かりが差し込むのが思ったよりも眩しくて、思わず目を覚ましてしまった。
布団からむくりと体を起こすと、窓から覗く空はもう一面鈍色に染まっている。目の前の壁時計を確認すると、指し示す時間は00:56。
ここは、まったく代わり映えないいつも通りの自分の部屋だ。見渡してみると、ぐちゃぐちゃになった布団。脱ぎ捨てられた衣類。今にも倒れてきそうな本の山。
だが、ただ一つ、決定的な異変がそこにはあった。
「あ、お兄さん、目が覚めましたか?ささ、行きましょう」
見知らぬ少女が、ベットの傍らに佇んでいた。
しかし、不思議なことに動揺する気持ちは全くと言って良いほどなかった。それどころか、懐かしさや愛おしさすら感じていた。見ず知らずの少女がいるはずなのに。
「あれあれ、どうしました?ポカーンとして。まるで赤ちゃんみたいに」
ニヤニヤとイタズラっぽく微笑みかけてくる彼女に、こちらも思わず笑みが溢れてしまう。
「まあ、ゆっくりで良いですから。とりあえず、この部屋から出ましょう?」
彼女が柔和な笑みを浮かべながら、白い手を差し出してくる。思わず手を取った。なんとなく、使命感のようなものを感じたのだ。
「ふふ、これからどうします?楽しみが、いっぱいですね」
今までの自分なら、断固として出なかったこの部屋を、初めて見る少女に手を引かれただけで、易々と出てしまった。
部屋を出ると、そこには一面、大海原が広がっていた。見渡す限りに淀んだ水面が続き、それがなんとなく赤みがかって見えている。幻想的な風景だ。
「本当に何もありませんね…。でも、お兄さんならきっと、良い世界が創れますよ!」
彼女が一本の矛を差し出してくる。
さあ、彼女の言う通りだ。これから、どんな世界を作っていこうか。
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ここまで読んでいただきありがとうございました!
わかってくださった方もいるかも知れませんが、主人公は小説を書き始めようとする現代の若者と、日本を創造しはじめようとするイザナギノミコト様を重ねて書いておりました。
随所にそれを匂わせる文面や、ダブルミーニングなどを散りばめています。
なにぶん初投稿なので、勝手を知るためにできれば評価をしていって頂きたいです!酷評すら励みになりますので!
ではまた、機会があれば!