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闘技世界  作者: オレオ
8/9

冷汗

こんにちは、オレオです。マジで半年ぐらい投稿してなかったことをここにお詫びしますごめんね。

Q.忙しかったの?


A.めんどくさかっただけです。


これから頑張りますよ。えぇ。

「お主に授けよう…この『バンテージ』を!」


 それはやけに見覚えがあるものだった。

 バンテージとは、ボクシングや空手などの徒手での攻撃を旨とする格闘技をする時、自分の拳を怪我や骨折から守る包帯である。これは格闘技初心者からプロまでがみんな付けるアイテムであり、前の世界ではともかく、この世界でも普及しているのかと疑問に思った。


「これはただの武器ではないんだ。徒手を使って戦う者にのみ扱える代物で…」


リューマからバンテージの説明を受ける。


 ざっくり言うと、戦闘の時に使うという点は同じだが、それ以外が前の世界とは180°使い方が違った。


 バンテージをつけることにより得られる効果は自分の血液の巡りを早くすることで、魔法の循環がいつも以上に早くなり、魔法の威力、効果が倍増する、というものらしい。魔法が使えない俺には意味が無いと思ったが、龍属性の身体能力は魔力の大小が大きく関係しているらしく、バンテージをつけることにより、身体能力向上の効果も増えるらしい。簡単に言うとシンプルに強くなるってことだ。


 それだけではなく、この武器はなんと防具としても使えるらしく、常に魔力のオーラを纏っているので、自身と近いレベルの者が使う剣技や魔法なら何発かは防御できるらしい。

 俺の属性にピッタシの武器に防具。これは早速クエストに向かうべきなんじゃないだろうか。


「本格的な装備も揃ってきたとこだし、早速クエストに…」


 そう言いかけた時だった。


《カンカンカンッ!!!》


 甲高い金属音が耳を劈く。唐突の出来事に俺たち一同は窓からその音の正体を探る。それは、集会所の屋根につけられていた大鐘だった。


「なんの音だ?」


 俺はアクアたちに問いかけると、これは緊急の集会の合図らしい。

「緊急集会とは…珍しいね。」


 リューマはそう告げると腰に剣を差した。行くのか?という俺の質問に首肯し、ワールダーは全員集合だ。と言った。じゃあ俺もじゃん。


 俺たちは、主に俺はクエスト行きたい欲がどこか彷徨っている状態のまま、急いで集会所に向かった。


       



「いきなりの集会、申し訳ない。緊急事態じゃ。」


 そう告げるのは11〜13歳の小学生高学年程の少女だった。

 何やら仰々しく飾られた金色の台座に座っており、その横にはボディーガードと取れる武装した男が左右に1人ずつ立っていた。見るからになにか『長』のようなスタイリングだが、その背丈からは違和感しかなく、目に見える『場違い感』があった。

 が、俺以外は何も変に思ってないようだ。俺は隣のリューマに聞いてみた。


「誰だい、『アレ』…。」


「そうか、君は知らないのか。」


リューマは少女について色々と教えてくれた。


 少女はこの街の長老に位置する人らしく、この世界の大規模な街は全部で6つ。その街の長老はそれぞれ元伝説のワールダーチームのメンバーだったらしく、なんと、全盛期では神レベルの龍、通称龍神の一種をものの2、3分で倒したとか。証拠として、龍神の肉は食べたものを若返らせる効果を持ち、それを食べた結果、チーム最年少であった彼女の背丈は小さくなり、言動や行動に見合わぬ姿、所謂、ロリババアのようなポジションになっているのだとか。


「諸君らをここに集めたのには理由があるのじゃ。とある頼み事を受けてくれんか。」


 この街のワールダー全員に頼み事…?俺は不可解に思いながらその話に耳を傾ける。


「明日、いや、今晩かもしれぬ……


『邪拳会』の一員がこの街を襲撃する可能性があるのじゃ。」


 唐突の知らせに集会所に集ったもの達の空気は凍りついた。


 邪拳会が……?邪拳会ってさっきリューマが言ってた例の凶悪組織だよな……でもなんでこの街に?


 俺の脳内は疑問で渦巻いていたその時、俺の隣にいた隻眼の若い青年が片手を挙手した。それに対して長老は首を縦に振る。


「発言の許可を頂き、感謝します。私から1つ2つ質問をさせて下さい。まず、なぜそれがわかったのでしょうか?そして、その仮説が当たる確率は如何程で見積もっていらっしゃるのでしょうか?」


 俺の疑問を代弁したかのようにその青年は喋った。


「そうじゃな……まずは後者から答えさせてくれ。皆には先程『可能性がある』と言ったが、ほぼ100%、確定だと思っていてほしい。」


「………!!??」


 『可能性がある』という僅かな逃げ道に縋ってたであろうもの達が後ずさりする音が聞こえる。


「そして前者じゃな。」


 その間も長老は淡々と理由を述べる。


「ついさっき、近隣の小規模な村が襲撃されたと情報が入った。こちらからも援軍を送ったが、きっと奴らは突破してくるじゃろう。」


 もう被害が出てるのか……。

 だが、俺は少しその発言に違和感を感じたので質問をしてみることにした。


「…すみません。」


「……。」


 長老は何も答えずこちらを見ている。その視線にどこか、部外者を見るようなモノが混じっている気がした。

 きっと先程の彼はどこか高貴な存在で長老と顔見知りだったのだろう。その中で顔も見た事がなく、貴族ほど身なりが整っている訳でもない男がズカズカと割り込んできたら、まぁそうなるわな。

 俺は喋ってもいいのかどうか分からない空気の中、恐る恐る口を開く。


「それだけじゃ俺たちの街が襲われるという証拠にはならないんじゃないかなって………奴らも近場の村を荒らしただけで帰るかもしれないじゃないですか…?」


「…………奴らがなんの目的も無しに行動するとは思えん。小規模な村をわざわざ『幹部クラス』の奴が降りてきて襲うのには、なにか理由があるはずじゃ。」


 なるほど。


 ……………………。


 ん?待てよ?

 俺は耳を疑り聞き返す。


「『幹部クラス』が来るんですか……………?」



「…言ってなかったかの。最近老化が始まってのぉ……。物忘れやら記憶違いがしょっちゅうあるんじゃ。勘弁してくれ。」



 周りにいた者達がザワ付き始めるのが分った。


……勘弁してくれはこっちのセリフだ。

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