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闘技世界  作者: オレオ
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武器

「オイオイ、なんだよそんなに叫んで…なにかマズイのか?」


「マズイなんてもんじゃないわよ……だって、あなたには貴族の血が通ってないんでしょ!?」


 俺は星崎優斗。元総合格闘家だ。色々あって異世界転生した俺は、暇なんでこの世界を旅することにした。


「まさかこんなレアケースを引いてしまうとはね……」


「な、なんかマズイのはよくわかったからよ。一体何がマズイのか理由を教えてくれよ!」


「龍属性が亜種魔法だってことは教えたよね?」


 俺は、「あぁ」と相槌をうつ。


「亜種魔法ってのは基本、その魔法を操る本体に何か特殊な条件がないと本領を発揮できないのよ。例えば、壊属性や呪属性はアンデッド族にしか能力を使えなかったり、光属性はプリーストやシスターなどの聖職者にしか使えなかったりね。」


「それで、龍属性は貴族の誇り高い血統にしか操れない、という効果があるんだ。」


「そんな…嘘だろ……」


 俺はその場にしゃがみこみ、状況を整理する。要するに、俺の魔法は他の奴らと違って全くの使い物にならないものってことか?


「でも、全く使えないわけではないわよ?」


 アクアが俺をフォローする。でも、心待ちにしていた1番の異世界要素である『魔法』が全くの使い物にならないと知った俺の前では、どんなフォローも右から左へと通りすぎていきそうだった。しかし、俺は食いつかなかったがリューマがアクアのフォローに疑問を呈した。


「全く使えないわけじゃない…ってどういうこと?常人が使う龍属性なんて、言葉は悪いけどたかが知れてると思うけど…?」


「いや、そうとは言えないわよ。こっちに来て。」


 そう言ってアクアは俺たちに外に出るように促した。俺はその通りに外に出る。



「ここで思いっきりジャンプしてみなさい。」


「え?」


 俺は困惑しながらリューマの顔を見たが彼もピンと来てない様だ。とりあえず俺は言う通りにジャンプしてみることにした。


「じゃ、じゃあ行くぞ。」


 俺は脹ら脛と太ももに思いっきり力を溜め、解放と同時に上に飛び上がる。


 すると、景色が一変した。今さっき見ていた集会所の屋根を見上げずに見ることが出来ていた。

 ちなみに集会所の高さは8m程だ。


「うぉぉぉぉ!!!」


上空から着地した俺は思いっきり叫ぶ。


「やっぱりね。龍属性を付与されたものは貴族かどうかは関係なく基礎ステータスが普通のワールダーより段違いに跳ね上がるのよ。」


「なるほどな…ってことは!」


「そう。身体能力のみでリトルゴブリンだけでなく、ミドルゴブリンを倒したユウトにはピッタリの魔法かもしれないってこと!」


「うぉぉぉ……!!」


 まさかの吉報に俺の闘志が高まるのがわかる。

 俺はクエストカウンターに目をやり、すぐさま言った。


「そうと決まればクエストだァ!」


 俺が意気揚々とのたまっているとアクアがすかさず言った。


「武器もなしにどうやって戦うのよ。」


 たしかに。俺達は武器防具屋によった。



「へいらっしゃいッ!」


 まるでラーメン屋の店長のような挨拶をするのはこの武器防具屋のおやっさん、ウィンさんというらしい。

 

「オウオウ、ネラルー家のお嬢さんとイドラ家の御曹司さんがこんなショボイ店に何用ですかな。」

 ガハハと自虐ネタで笑うウィンさんにリューマは応える。


「いやいや、ウィンさんの腕は家でも一二を争いますよ。」


 ウィンさんが嬉しそうに笑ってるのを見て、何か懐かしいものを見るような感情に襲われた。


「んで、肝心の武器はどこにあるんだ?」


 俺は武器に話を戻す。リューマは話の軌道を武器の件に向け話し始める。


「この人に『アレ』を譲って欲しいのです。」


 アレ?アレってなんだ。妙な言い回しをするリューマに懸念を抱いていると、ワナワナとウィンさんが震え出した。


「ア、『アレ』って……この前見せた…『アレ』ですか!?」


「おい、さっきから聞いてりゃアレアレって…アレってなんだよ!?」


 俺はウィンさんに一歩詰め寄ると、ウィンさんは横にあった武器の入っている樽から大剣を引っこ抜き、俺に向ける。


「!?」


 急に剣を向けられた俺は咄嗟に戦闘態勢をとる。


「ス、ストップ!ストップです!話を聞いてください!」


「は、話を聞くも、あの武器を扱えるのは邪拳会のものしか…」


 邪拳会?また新しい単語が出てきた。どういう意味だよ…!


「彼は邪拳会ではありませんが徒手を武器とします。僕も驚きました。邪拳会の奴ら以外に徒手を武器とする人間が現れるとは…彼の強さは折り紙付きです。」


「実績が、あるのかね…」


「ワールダーになる前に素手でリトルゴブリンとミドルゴブリンを倒したらしいです。」


 ウィンさんの表情が吊り上がる。リューマがアクアの顔をみて言う、


「この話は本当なんだろう?」


「本当よ。コイツのワールダーカードを見ればわかるわ。」


 そう言いながらアクアは俺を顎で指す。ワールダーカードを見せろってことか。俺はその通りに見せる。

 ウィンさんはがっつくように俺のカードを見る。


「ほ、本当だ……ワールダーになったのが20分前……」


「そして、ゴブリンを討伐したのが2時間ほど前です。」 


「………わかった、信じよう。」


 ウィンさんはそう言って後ろの戸棚から小箱を取り出す。その中には俺の翌見覚えのあるものだった。


「お主に授けよう…この『バンテージ』を!」

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