確率
「あなた…もしかしてリューマ君!?」
俺の名前は星崎優斗。総合格闘技を生業としていたものだ。俺はある試合終わり、何故か異世界に飛ばされてしまった。何を言ってるか分からない?俺自身も何を言ってるか分かってないから大丈夫だ。
まぁなんだかんだで色々あって、俺はアクアという少女とこの世界を冒険することとなった。いやほんと色々あったからそれは前話を見て欲しい。
んで、状況は戻るが、今俺の前には清廉潔白という4文字がピッタリに似合っている美少年が立っている。
「え…っと、アクア、この子は?」
俺は初対面の少年の説明を促す。
「あぁ、アンタははじめましてよね。この子はリューマくん。私の幼馴染でイドラ家の御曹司よ。」
「はじめまして、イドラ家皇子のリューマ・イドラと申します。以後、お見知りおきを。」
「おう、俺は優斗!星崎優斗ってんだ。よろしく!」
俺はもう一度リューマの体格、服装などを観察する。漫画アニメなどで出て来るような貴族の服に透き通るような薄紫の髪型。窓からの日差しがあたり、神々しく光っている腰の鞘に、小武器などをつけたベルト、如何にも騎士という言葉が似合う格好だ。
俺は素直に思ったことを聞いてみる。
「いったいそんな大貴族様がなんでこんなところに…」
「僕もワールダーになったのは最近なんだ。だからまだまだヒヨっ子でね。もっと力をつけるにはこの街が適正なんだ。」
なるほど。
「星崎優斗くんはいったい?って言ってもワールダー認定しかないか。」
「あぁそうだ。あと優斗でいいよ。ところで、どこでその認定をするんだよ。」
「ここよ!!」
アクアが大声で叫ぶ。
「ここがワールダー認定所よ!」
両手を広げ大袈裟に見せるアクアを横目に、その認定所に駆け寄る。すると、そこにはまるで漫画から出てきたかのような美人な女性がいた。
「ワールダー認定所受付担当、サチです。」
「サチ…さん。」
あまりの美しさに少し面食らってしまったが、気を取り直してワールダー認定についての説明を聞いた。
「ワールダーの認定には身分の証明ができるものが必要です。お持ちですか?」
「いや、な、ないです…」
しどろもどろになりながらも何とか受け答えする。どうやら認定には身分の証明ができるものが必要らしいが、なかった場合は作ることができる。そして、それを元にワールダーを認定して、やっと適正属性がわかるらしい。
「こちらに手をかざしてください。」
俺は言われるがままに手を出す。そこには占いなどで見る大きい水晶玉があった。それは青白く光っており、見とれてしまうほど綺麗だった。
「うおっ」
手をかざした瞬間、その玉の上に白く薄い板のようなものが写った。そこには何やら文字が書かれている。それを読んでみると、なんとそれは俺の身体能力や年齢、身長、体重などの個人情報をまとめたデータカードだった。
「これは…」
「これはユウト様の情報を可視化したものです。これを元にデモカードを作ることができます。デモカードがあれば、ワールダーカードの作成の他、スカイバスの使用やパートナーモンスターの育成等もできます。」
「ワールダーカード…免許書みたいなものか。」
「そ。あんたもようやくこれでワールダーになれるってことよ。」
そうこうしてるうちに、デモカードができたようだ。
「これをスキャンしてワールダーカードを作るの。それと同時に属性もわかるわよ。」
「なるほどな。」
カードがスキャンされていくのを眺める。あぁ、これで俺もワールダーになれるんだな…。昔っから冒険とか秘密基地とか、The・男のロマン、みたいなの大っ好きなんだよな。
俺がワクワクしていると、サチさんがカードを持って来た。薄茶色で大きさは手のひらサイズ、色はともかく、大きさは車の免許証などと同じぐらいだ。
楽しみにしている俺だが、何か異変を感じ取る。サチさんの手が震えている。
それだけじゃない。何やら目元が落ち着かないし、俺を見ては何やら可哀想なものを見るような目をして、逸らす。それを繰り返す。
背筋が凍る。何だこの違和感…異物感は…
オイオイ、俺のワールダー人生かかってんだよ…!しっかりしてくれ…!俺のワールダー人生は如何に……
恐る恐るサチさんに尋ねる。
「あの…なにか…ありました…か?」
「…誠に申し上げにくいのですが…ユウトさんの適正属性は…『龍』となっております…」
「「えぇぇぇぇ!!!???」」
アクアとリューマが声を揃えて絶叫した。