突然
こんにちは。オレオです。
いやぁ前回とだいぶ期間空いちゃいましたね。リアルが忙しかったんですよ。言い訳ですけど。
まぁその代わり結構長ったらしく書いたんで、最後まで読んで貰えると嬉しいです!
「………すまん、つまりどういう意味なんだ?」
俺は星崎優斗。現役総合格闘家だ。
格闘家、と言うぐらいだからもちろん試合もしている。俺は自分で言うのもなんだが、結構強い。プロ戦では負け無しだ。
そんな俺がいつものように試合後、勝利の余韻に浸ってると、唐突に来る頭痛、目眩に被われる。最初は大丈夫だろう、と高を括っていたが、段々と弾む痛み、次第に視界が暗くなり、耐えきれず気を失ってしまう。
目が覚めればそこは、広い草原に、大地をなぞるように吹く風、そして眼前には青髪赤眼の女性。
どうやらここは『異世界』らしい。
「だからぁ!ここはあんたの言ってる『チキュウ』でも『ニホン』でも無いの!
ここは『ロード』よ!通称『始まりの街』!」
「いやだから、それがどういう意味かって聞いてんだよ。なんだよ始まりの街って。」
「始まり街は始まりの街よ!それ以上でもそれ以下でもないわ!」
やばい、全然状況がわからん。
どういう意味だ?俺はいつものように試合後の感覚を楽しんでいて、そしたら急に頭に痛みを感じて、耐えきれずに意識を失って…あれ?その先が上手く思い出せない。
なにか助言されたような。「ここにいてはならない」みたいなことを言われたのは覚えてる…
わかんねぇ〜〜〜……
混乱している脳を何とか動かし、目の前の女性との会話を続ける
「要するにここは『ロード』って街で、『日本』は愚か、『地球』でさえないってことか。」
「そうよ!やっと理解できた?」
「理解はできたけど納得できねぇよ。俺をここに飛ばしたのはお前か?」
「違うわよ!ていうか、あんたほんとにここの世界の人じゃないの?頭打っておかしくなっただけじゃないの?」
なんだこいつ人を馬鹿みたいにいいやがって。
俺は反論しようと立ち上がろうとしたその時
「キキィィィッッ!!!」
うぉっ!?
草陰から棍棒を右手に緑の皮膚をした小人?が四体ほど出てきた。なんだこれ誰だお前。
「あれは…リトルゴブリンよ!あなた戦える!?」
「え?いやまぁそれなりに強いけど…」
「じゃあ手を貸して!まだ四体しかいないけど、多分群れを呼ぶつもりだわ!その前に叩くわよ!」
「叩くわよ!」つったって、どうすんだよ。
とりあえず俺はいつもやってる『オーソドックススタイル』をとる。
オーソドックススタイルとは。
格闘技の構えで、右構えとも言う。右手を奥手に、左手を前手に、利き足である右足を奥足に、そして、体を少し右側に傾ける。
俺の構えは主にこれだ。
俺はいつものように構えを取っていると横から声がかかる。
「あなた、武器は?それとも魔法職?」
は?
魔法職ってなんだよ。てか武器なんてねぇよ。俺は思った疑問をそのままぶつける。
「はぁ!?あなた戦闘職でもないのに戦えるなんて言ったの!?バカじゃないの!?」
「いやひでぇ言われようだな。そんなの知るわけねぇだろこの世界初めてなんだから。」
「んもう!使えないわね!あんたは下がってて!」
ズイっと右手を前へ掲げながら俺を押しのけ前に出る。
「はぁぁぁぁ!」
気合一閃。すると女の前に1冊の本が現れる。
うおすげぇ。
だが、それだけじゃなかった。
女の足元に魔法陣のような紋章が展開される。
それは足元だけじゃなかった。次第に女の周りを囲うように帯状のなにかが回っている。なにか書かれているが解読できない。きっと古代文字かなにかだろう。
戦闘態勢に入った女を見てこっちも構えを解き、観戦する。言い分によると、あいつは魔法職ってやつだろう。どんな戦い方をするのか興味がある。
四体のうちの一体が女に襲いかかる。
速い。あの小柄な体躯のどこにそんな筋力があるのか、まるでジェット機の如くゴブリンは女との間合いを詰める。
女は咄嗟に叫ぶ。
「『ウォールウォーター』!!」
すると、女の周りを半球体状の青いバリアーのようなものが覆う。
すげぇぇぇ!!映画じゃん!完全に!
ゴブリンはそれに頭から突っ込む。
手に汗握る展開。どうなる?俺は事の行方を見守る。
まるで障害物にぶち当たったかのように跳ね返るゴブリン。何が起こったのか理解できないように頭を振るわせる。女はそこをすかさず狙い撃つ。
「『ショットウォーター』!!」
液状のものが丸く固まり、それがゴブリンの脳天にぶち込まれる。後ろに大きくノックバックしたゴブリンは後ろの木に体をぶつけ、木の下に崩れ落ちる。その途端、ゴブリンの体は少しづつ粒子のように解けていく。
ほへ?どうなってんの?
見たことも無い怪物に襲われ、見たことも無い技で救われ、見たことも無い消え方を目撃した俺は、何とか脳の処理をしようと頑張っている。が、わけわからんことが多すぎる。何からツッコめばいいんだ。頭をぐるぐると回転させているところに、女がこっちに目線をやり、言う
「どう?こうやって戦うのよ!」
「かっけぇ。」
もうこう答えるしかなかった。
俺に褒められ得意げになっている女を後目に考える。
なるほどな。確かに、普通の人間なら手を焼く相手だろう。
だが、相手が俺の場合は?
俺はもう一度構え直す。
戦闘態勢を取り直す俺を見て女は言う。
「あんたまだ戦う気なの!?いいからすっこんでなさい!」
「『じっとしてろ』って言われて『はいわかりました』ってなる格闘家がどこにいんだよ!」
俺は反論すると、飛びかかる準備をしているゴブリンを睨み込む。いつでも掛かって来やがれ!!
俺の期待通りゴブリンは頭上から棍棒を振りかぶっくる。
「邪魔だ!どいてろ!」
俺は女に啖呵を切ると、上からの棍棒をバックステップで避ける。
やはり速い。が、『あいつら』程では無い。
俺は今まで戦ってきた対戦相手の顔を思い出す。
今度は地面と平行に飛び込んでくる。
ここだ!
俺はスウェイバックで攻撃をいなす。
スウェイバックとは。
主にボクシング等の立ち技格闘技で用いられる防御方法だ。
顎を引き、体の上半身を後ろに反らし、相手の攻撃を躱す。
そして、この防御法の強みの一つ、なんとこの技『カウンター』に繋げることができるのだ。
体を反る動きを最小限に抑え、後ろ側に溜め込んだ力を膝を使って思いっきり前へ。この時、ちゃんと後ろに下がる時点で足の準備をして置く。体を打ち返す動きは直線をイメージする。体のバランスを1番に考え、頭の中で自分のフォームを意識する。
様々な準備、要素をクリアし放つ『カウンター』。威力は壮大だ。
相手の横一文字に繰り出された棍棒攻撃をスウェイで躱し、カウンターを決める。
カウンターの強いところは、「予期せぬタイミングで来る」ことだ。
それの何が強いのか。
みんなはプロレスは見たことがあるだろうか。プロレスラーはほんとにすごい。体の頑丈さが人間のそれではない。それほどまでに苦痛に耐えれる要因の大部分はなんなのか。
それは至ってシンプル。攻撃される『覚悟』を持っているかどうかだ。攻撃を食らう瞬間、その攻撃を意識しているかしていないかでは大きな違いがある。
全く予期せぬ攻撃なら、アマチュアボクサーでもプロボクサーを1発KOできるだろう。それほどまでに『覚悟』とは、攻撃を食らう面では重大なファクターなのだ。
そして、その覚悟の隙間を上手く突いた技が、カウンターだ。
「攻撃中」という、一番無防備な状態に攻撃を叩き込む。先程言った通り、どんな相手でも1発KOが有り得る。それほどまでに強い技なのだ。
カウンターを叩き込まれたゴブリンは数メートルぶっ飛ばされた後、光の粒子となって消えた。
「素手で…倒しちゃった…」
「あんま強くなかったな。」
俺の一言に戦慄した様子を浮かべる女。てか、女って呼び方失礼だな。今更だけど。
「てか、お前名前なんて言うんだ?」
「まずは自分から名乗りなさいよ。」
「俺の名前は星崎優斗。総合格闘技をやっている。」
「ソーゴーカクトーギ…って今のやつ?」
俺は頷く。
「なるほどね…私はアクア。ネラルー・アクアよ。」
「アクア、か。よろしく。」
互いに挨拶を済ませたところで、俺は一つ一つあったことを聞く。
「てか、なんであのゴブリンはこう…粒子みたいになって消えてったんだ?」
「あれはモンスターの特有の死に方よ。」
「はえ〜。ってことは人間は普通に死ぬのか。」
「…そうよ。んで、その粒子の正体は経験値。それを吸収して人間はレベルアップするの。」
「なるほど。でもなんか経験値を吸収した感じしねぇな。もっとこう…ぶわぁってなんのかと思ったら。」
「そりゃあリトルゴブリンを1匹倒したぐらいじゃあレベルアップなんてできないわよ。何事も場数をこなすのが大事なのよ。」
なるほどなぁ。と感心してるところに…
「キィィエエエエエエエ!!!!」
おうおう、今度はなんだ。俺は音のした草陰に視線をやる。
すると、そこから出てきたのは俺と同じぐらいの身長のゴブリンが出てきた。
「あれは…ミドルゴブリン!?!?」
まぁリトルがあればミドルもあるよな。ってそんな感じじゃなさそうだな。俺はアクアに状況の説明を促す。
「あれはミドルゴブリン。ここら辺に生息するはずの無いモンスターよ!」
「出るはずのない場所で唐突に出てきたモンスター…ね。」
RPGのイベント見たくなってきたな。
「絶望するのはまだ早いわ…あのミドルゴブリン、討伐推定レベルはLv10〜15よ!」
推定討伐レベルなんてあるのか。
「ほう。ちなみにお前のレベルは?」
「…Lv5……」
さぁ、本格的にやばくなってきたな。