カエル とぶ(かなバージョン)
ずっと(10年以上前から)頭の中にあった言葉
「かえる とぶ」
それを話として構成してみました!
あるやまのなかの おがわのそばのちいさないけ。
そんなところにすんでいる ちいさないきものの おはなしです。
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ぼくはかえるのトオ。
おたまのときには だれよりもおよぐのが はやかった!
あしのちからが つよいのかな!
いまだって およぐのはだれにもまけないよ!
でも・・・みんなにかくしていることがあるんだ。
じつは・・・・・およぐのはとくいなんだけど、、、
とぶことができないんだ・・・。
ジャンプできないんだ。。
なんかこわくて。。
どうしてもできない。。
みんなが ピョンピョン とんでいくときも
ぼくは はしって おいかけるんだ。
ずっとそうやってきたから、あしもすっごく はやくなったよ。
カエルのきょうそうがあったら いちばんだろうな!
みんなも
「あいつは あしがはやいからなぁ~」
「とぶよりも はしったほうが はやいんだろうな~」
っていって とべないとは ぜんぜんおもってないみたい。
なんでとべないかっていうとね・・・。
じつは・・・みちゃったんだ。。
どれだけ たかくとべるかを きそっていた カエルたちが、
たかくジャンプしたしゅんかん・・・・!!!!
とりが!!!とりがきたんだよ!!
そして、くわえられちゃったんだ。。。
あっというまで だれもなにもできなかった。。
それだけじゃないんだよ。。
しばらくしてから ふとちかくの きをみたら、
そのカエルが きのえだにささっていたんだ・・・。
こわくてこわくて・・・。
それをみて どんなばしょでも ジャンプするのがこわくなっちゃったんだ。。
みんなは ぼくがそんなおくびょうものだって しらないけどね。。。
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そんなカエルのトオは みんなからの にんきものです。
およぐのも はしるのも はやいので
みんなから そんけいされていました。
すこしあめが ふっている ある日、
トオとなかよしのともだちカエル、
ログ・ロケ・ピンのさんびきは あそびに いくことにしました。
カエルにとっては すこしあめがふっているときが
いちばんあそべるときなのです。
トオはこのよんひきの なかでいつも、
「きょうは こんなあそびをしようよ~。」
とかいってみんなをひっぱっていました。
それはじつは、うまくジャンプしないでもできるあそびを いうためだったのです。
トオはいいました。
「きょうは、ちょっととおくまでいってみようか?」
ログはすぐにさんせいしました。
「さんせい!おれたちも おおきくなってきたし、もっととおくもいってみたい!」
ロケも のりきです。
「そうだね!ワクワクするね!」
ピンは すこしかんがえています。。
「でも、もどれなくなったらどうしよう?」
ロケは いいました。
「だいじょうぶ。まっすぐすすむことにすればいいんだよ。」
トオもいいました。
「それはいいね!まがったりしないで、とにかくまっすぐにすすめば
もどるときもだいじょうぶだね。」
ピンは まだしんぱいそうです。
「でも、きゅうにてんきがかわって はれちゃったら ひからびちゃうかも・・。」
ログは いいました。
「だいじょうぶだよ!おれ きょうでるときに てんきどうなるかな?って
おやじにきいてみたんだ。
そしたら、『きょうは くものながれをみていると はれることはないとおもうぞ。』
っていってたよ。」
ピンは だいぶあんしんしたようです。
「それなら・・・いってみようか。」
こうして4ひきのかえるは いままでいったことがないとおくまで
いくことになりました。
ワクワクしながらすすむ よんひき。
いままで みたことのないような あたらしいものをみつけます。
あめのなか さいている きれいなむらさきいろの はな。
はなが あつまって おおきなはなになっているようにみえます。
ピンは だいこうふんです。
「きれいだね!!あんなはな みたことない!きてよかったなぁ。」
トオもまんぞくしています。
「ほんとうにきれいだね!まだまだしらなかったことってあるんだね。」
ログもロケも
「もっといろいろみてみたい!」
とトオがペタペタはしるうしろを ピョンピョンとんでさきへすすみました。
ログが なにやらみつけたようです。
「お~いみんな!あれはなんだろう?」
ロケは あしをとめて よくみてみました。
「あれは、カタツムリだよ!ぼくたべたことがある!」
トオもいいました。
「そうなんだ!ぼくは むししかたべたことないなぁ。」
ピンもいいました。
「うにょうにょ うごいていて ちょっと・・・・かわいいね!」
「え!?・・・・かわいい!?」
みんなすこしおどろきましたが、ずっとみていると かわいくみえるようなきもしてきました。
トオはいいました。
「かわいくおもえてきたからたべるのは やめておこうか。。」
ログは ちょっとざんねんそうです。
「しょうがない・・・か。でもたべてみたいな・・。」
ロケはいいました。
「でも、カタツムリは なかにむしがいることもあって、
それがぼくたちのなかにはいるとたいへんなことになるかもしれないらしいよ。」
ピンはいいました。
「かわいいけど、そんなあぶないこともあるんだね!
とにかくたべるのはやめておこう。」
ログもなっとくしました。
さらにすすんでいくと またはじめてみるものに であいます。
しかし とってもこわいものだったのです!!
それは・・・
ヘビです!!!
トオはみんなに ちいさなこえでいいました。
「やばいよ・・・。ヘビがいた・・・。」
「え!?」さけびだしそうなみんな。
トオはいいました。
「ぜったいに こえをださないようにしよう。」
ロケもいいました。
「まだきづかれていないから だいじょうぶ・・・。」
ピンはすでになきそうです。
「こわい・・・。」
ログはいさましく、
「おれがたたかおうか!?」などといっていますが、
ぜんりょくで みんなにとめられていました。
ゆっくりとしずかに そのばをはなれようとするよんひき。
しかし、カエルがジャンプしてにげようとすると
けっこう めだちます。
ピョンピョンしているすがたを ヘビはみつけたようです!!
トオはさけびました!
「みつかったよ!!!はやくにげなきゃ!!」
ログは、
「おれがおとりになろうか!?」
などとゆうかんに いっています。
ロケは、
「あぶないよ!!それより、さっきとおったいけの なかににげよう!
ヘビはきっとおよげないよ!!」
ピンは もうないています。
「えーんえーん・・。こわくてからだが・・・。」
ヘビとめがあったのでしょうか。
こわくてピンのからだは かたまってしまったようです。
トオはいいました。
「せなかにのって!はしってはこぶから!」
トオはせなかにピンをのせると いけにむかってはしりました。
ヘビはどんどん ちかづいてきます。
ログとロケは いけについてもぐりました。
トオはいっしょうけんめい はしっています。
ヘビがすぐうしろで おおきなくちをあけました。
たべられる!?
そうかくごしましたが、めのまえには もういけがありました!
おもいっきり そこにむかってあたまからとびこみました。
そしてもぐりました。
ヘビはみずの なかには はいれないみたいです。
よかった・・・。
ピンもせなかであんしんしたように いきをはきました。
トオはおもいました。
あぁ・・びっくりした。。
あぶなかったなぁ。
さいご、いまぼく もしかして とんだ・・・!?
はじめてとぶことできた・・・!?
よこにとぶようなかんじだったけど とんだような・・・。
ぼくとべたのかも!
ピンにきいてみました。
「ぼく・・・とんだよね?」
ピンは、
「うーんこわくてこわくてわからなかったけど・・・どうしたの?」
ログとロケにもきいてみました。
「ぼく・・とんでたよね?」
「え?もぐってたからわからないけど、とぶのがどうしたの??」
ログとロケは なにいっているの? というようなかおをしています。
トオは、ぼくがとべないことしらないから、へんなこといっているようにおもわれたんだな。
とおもいました。
「なんでもないよ~ヘビもいっちゃったし。そろそろかえろうか。」
といいました。
よんひきはかえるために あるきだしました。
トオはジャンプしてみようと おもいました。
しかし、やっぱりあしが うまくうごかず、できません。。
おかしいな・・・さっきはとべたとおもったんだけど・・・。
そんなトオのようすに ほかの3びきはまったくきづいていません。
それどころか、ロケが
「ジャンプするとまた、ヘビにみつかるかもしれないから、
あるいていこうよ。」
といってみんなあるいています。
ピンはいいました。
「トオはすごいね。ジャンプするより、はしったほうがはやいんだから。」
ログもいいました。
「およぎもはやかったけど、はしるのもはやいよなぁ。
おれも はしるれんしゅうしておけばよかったなぁ。」
トオは みんなにほめられてうれしそうにしています。
・・・べつにとべなくてもいいかぁ・・・。
トオはそんなこともおもいながら すこしつよくなってきたあめのなか
いえへもどろうと あるくのでした。
もうすぐでおうちにつくというところで あめがだいぶつよくなってきました。
いちばんまえをすすんでいたトオがとまりました。
「これは・・・・・!!!」
みると いくときにはなかった かわがそこに できていました。
あめがつよくなったので かわができたみたいです。
ながれがはやく おおきなかわまでつながっていそうです。
「このかわにおちたら・・・・。」
ピンはまたふあんそうなかおをしています。
ロケも、
「ぼくたちのすんでいるところには もどれないだろうね。」
と青ざめています。
ログは、
「だいじょぶだいじょぶ!ほら、あそこをみろよ!
ちょうどいいかんじで ほそいきのえだが たれさがっているだろ。
あれにつかまってから とべばむこうにいけるよ!」
といいました。
たしかに、かわはばも そんなにひろいわけでは ありません。
うえにちょうどいい えだもあります。
ロケも さんせいしました。
「もどるためには そう・・・・するしかないね。」
ピンは またふるえています。
「おちたらどうしよう・・・・。」
ログが いいました。
「やるしかねぇよ!ここでずっとくらすか?」
ピンは くびをよこに ふりました。
「それは・・・いやだけど・・。」
でも、ピンよりもあおざめたかおをしているのが トオでした。
・・・・ジャンプしないかぎり もどれない・・・・。・・・・・。
ためしにそのばで ジャンプしようとしましたができません・・・。
う~ん・・・。どうしよう・・・・。
ロケが いいました。
「はやくいこう。そうしないともっとかわが ふとくなっちゃう。」
ピンも かくごをきめたようです。
「あのぐらいなら とべるとおもう・・・。」
トオは いいました。
「ぼくは さいごにいくね。みんなさきにいって!」
みんなは うなずきました。
まずさいしょに とぶのはロケです。
「よっしっっ!せーのっっ!!!」
きあいをいれて とんだロケ。
うまくほそいきのえだに つかまりました。
そしてしなるほそいきのえだを うまくつかってむこうがわのいしへ とびました。
「よっしゃあ!!」「やったぁ!!!」
みているみんなもロケもさけびました。
つぎは、ピンがとびます。
「よし・・・。いくよ・・・・!さんはい!!!」
こわいとかんがえないようにしながら ジャンプします。
ピンのからだはかるく、たかくとぶことができて、
うまくほそいきのえだに つかまることができました。
そして、そこからもうまくとんで むこうがわのいしへ とぶことができました。
ピンはなみだをながして よろこびました。
ログもロケも、ピンのことをいちばん しんぱいしていたので、
これでぜんいん ぶじに かえれるだろうと おもいました。
ログがいいました。
「よし!!おれもいく!!!とおりゃあぁぁぁ!!!」
ログがとびました。
ほそいきのえだにとびつきました。
しかし そのしゅんかん!!
ほそいきのえだは しなって おれてしまいました!!!
「あ!!!!!」
ロケもピンも どうすることができません。
ログはからだもおおきく すこしおもかったのでしょうか。
このままでは ながれのはやいかわにおちて もうあえなくなってしまいます。
ログが きにつかまっておちたしゅんかん、
トオは もうはしりだしていました。
じょそうをつけて おもいっきり ジャンプしました!
トオのめにはログのことしか みえていませんでした。
おちてくるログ。
そこによこから すごいいきおいでトオがぶつかりました。
そして、にひきは むこうがわのいしのしたのほう
ぎりぎりみずがこないところに はりつきました。
「はぁはぁはぁ・・・・・。」
ぼくはやったんだ・・・・。
とべたんだ・・・・!
とべたんだ!!
ログをたすけることができたんだ!!
いつもはげんきいっぱいのログも なにもかんがえられないのか
そのばで かたまっています。
ロケとピンが はしってきました!
「やったね!!!!」
「もうだめかとおもったよ・・・・。」
ピンはおおなきしながら だきつきました。
いしのうえまでいって やっとおちついたログは おれいをいいました。
「ほんとうに ありがとう。。たすかったよ。。」
トオはいいました。
「ほんとうによかった・・・。」
そしてちいさなこえで いいました。
「ぼくはとべたんだ・・・。みんなのおかげだよ。」
よんひきはなかよくかえりました。
そしておとうさんおかあさんに かってにとおくへいったことを こっぴどくおこられながらも
ぼうけんをして おおきくなったじぶんを うれしくおもうのでした。
読後感はどうだったでしょうか。
勇気というものは、なんでもないときには発揮しづらいものです。
何かあった時には勇気をもって行動したいなって思います。