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攻略できない初心者ダンジョン  作者: ジルコ
第九章 初心者

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285/288

第280話 最悪のタイミング

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

後書きに注意事項がありますので読んでいただければ幸いです。

 細い路地が無計画に張り巡らされた裏通りを、セナを中へと入れたデブ猫と占星術師のダンジョンマスターであった柊の姿を模したドッペルゲンガーが駆けていた。

 人の常識の範囲内とは言えど、その中でもかなりの速さで継続して走り続けているのにも関わらず、その後をぴったりと数名の者が追いすがっている。

 本来であれば一般人が入ってしまえば身包みを剥がれるだけではすまないようなスラムに近い場所なのだが、それゆえに住人は危険に対する鋭い嗅覚を持っており、それらに関わろうとする者はどこにもいなかった。


「ふむ、完全に破壊されたか。ぬかったな」


 デブ猫の内部で振動を感じつつスマートフォンを確認していたセナがため息を吐きそれを傍らへと置く。

 つい1時間ほど前まではホテルでいつも通りの情報収集をしていたのに、いきなり通信機器が使用不可能になり、それとほぼ同時に部屋が爆発したのだ。

 異変に気づいたセナがとっさに声をあげてそれに反応したドッペルゲンガーが魔法を使い、周辺を覆う氷の壁を作り上げたからこそ無傷で済んでいたが、そうでなければいかにセナとは言えど多少なりとも傷を負っていたかもしれない威力だった。


 2台持っていたスマートフォンの内、セナが持っていたものについてはそのまま持ってきたものの、もう一台のなにかあった時用に鉄製の箱に入れた上で保管していたものは爆発に巻き込まれて箱そのものがひしゃげてしまっていたためホテルに置いたままだった。


「要人や記者など外国人が多く泊まるホテルでここまでするとは、ここもだいぶ変わったものだ」


 そんなことを呟いたセナがこの先の行動について考えを巡らせる。

 セナの知っていたこの国の状況と、現在の状況に変化があるかもしれないと事前に一応調査はしており、体制は変わったものの大きな変化はないと判断してセナはやってきていた。

 しかしそれはあくまで表向きだけの話であり、内部についてはだいぶ変わっている可能性が高そうだと自身の判断を修正する。


「しかし柊を狙ってくるとは予想外だったな。あまり表に出ていないはずなんだが……とは言えあの宗教団体に網を張っている者がいれば知られていても不思議ではないか」


 部屋から逃走する時に、柊が死んだかどうかを確認する誰かの声を聞いていたセナが小さくうなずく。

 生前の柊が主に内部の調整などを行っていたことをセナは知っている。ミニミニ人形シリーズを使い、そして多くの犠牲を出しつつも情報収集したからだ。

 犠牲が多いのは接近して情報収集を行おうとすると排除されてしまう可能性が高いせいであったのだが、遠方から監視などやりようはいくらでもある。実際セナもそうして最初の頃は情報も手に入れていたのだから、他の者がしている可能性はあった。


 デブ猫が走る時の、見た目よりはるかに少ない揺れを感じつつセナは息を吐く。今回の襲撃がセナを狙っての事ではないらしいことに少し安堵しつつも、本当はどうなのかはまだ判断できていなかった。

 情報があまりに少なすぎるのだ。


「まあ良い。ある意味尻尾を出してくれたと言えなくもない。好都合だ。デブ猫、次の角を曲がったら速度を上げろ。振り切るぞ。ドッペルゲンガーにも伝えろ」

「ナーオ」


 セナの指示に応え、ドッペルゲンガーに着いて来いとばかりに首を振ったデブ猫は角を曲がり、そして速度を一気に上げた。ドッペルゲンガーも一瞬反応が遅れつつもそれに続く。その速度は今までとは違い、明らかに人類の常識の範囲から外れていた。

 そのままの速度のまま走り続け、そして遂に追跡者を振り切って郊外の森へと身を潜めたセナはデブ猫から出て一息つく。


「申し訳ありません」

「気にするな。むしろこれで種が撒けた。ドッペルゲンガーの1体もここに馴染ませる事が出来そうだしな。後は芽吹くのをじっと待てば良い。今回で終わるとは最初から思っていなかったしな」


 頭を下げた柊の姿をしたドッペルゲンガーに、セナは気にするなと返しニヤリと笑った。既に追跡者にはミニミニシリーズの人形たちが数体張り付いている。そしてそれを周辺から観察する体制も整っていた。

 なにかしら新しい情報が得られるだろうと、そうセナは考えていたのだ。


「さて、まずは通信機器の確保だな。そして一旦帰国して朗報を待つ」

「わかりました」

「簡単に帰れるかはわからんが、まあ何とかなるはずだ。あまり離れるとダンジョンも心配だしな」


 ふっ、と笑いセナは再びデブ猫の中へと入っていった。

 帰国するということが、そのセナの想定よりもはるかに困難な状況になっていることにセナが気づいたのは、道端で転んだ男のそばに偶然(・・)落ちていたスマートフォンをデブ猫が咥えて逃げていくという出来事が起きた後だった。


お読みいただきありがとうございます。


注意


ちょっと自分の構想ミスにより、このまま投稿すると今後の展開がかなり矛盾してしまうことになってしまいました。

なのでちょっと構想を練り直してきます。1週間程度を予定していますのでしばらくお待ちいただければ幸いです。


よろしくお願いいたします。

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昔に書いた異世界現地主人公ものを見直して投稿したものです。最強になるかもしれませんが、それっぽくない主人公の物語になる予定です。

「レベルダウンの罠から始まるアラサー男の万能生活」
https://ncode.syosetu.com/n8797gv/

別のダンマスのお話です。こちらの主人公は豆腐。

「やわらかダンジョン始めました 〜豆腐メンタルは魔法の言葉〜」
https://ncode.syosetu.com/n7314fa/

少しでも気になった方は読んでみてください。

― 新着の感想 ―
[一言] とても待っています! このままじゃ、透が吐血しっぱなしだぜ!
[気になる点] 一週間どころじゃない! [一言] 待ってます!!!
[良い点] 楽しみに待ってます
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