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プロローグ:ガール・ミーツ・ガール
空から女の子が降ってきた。
そういうのって、小説や漫画だとよくある話。
主人公の男の子が、空から落ちてきた女の子を見つけて、そこから旅が始まる。
いわゆる「ボーイ・ミーツ・ガール」というジャンルに多い展開。
だから、急に自分の部屋のベランダに女の子が降ってきても、その現象自体に不思議は感じなかった。
というか今の東京はもう超能力者ばっかりの都市だし。
それに自分は【ヒーロー】で、そういう超常現象は何度か目にしたことがあるし。
でもまあ当然、ビックリはした。
完全に油断していて、情けない悲鳴を上げてしまった。
敵が攻撃を仕掛けてきたのかと思ってすぐ身構えたけど、むくりとこちらを見上げてきたのは、濃い紫色の長髪が目立つ華奢な女の子だった。
その目に敵意は感じられなかった。むしろとても純粋で無垢な目をしていた。
それで、その女の子と見つめ合いながら「ああ、これがボーイ・ミーツ・ガールか」なんて呑気なことを考えてしまったんだけど、
残念ながら私はボーイじゃなくてガールだ。
だからこれは多分、「ガール・ミーツ・ガール」ってことになる。