お兄ちゃん好きです
「結城 遥ちゃん。今日からお前の妹になる子だ。」
春風が吹く4月の朝──俺はお兄ちゃんになった。
おやじが知り合った人はロシア人で幼い少女はロシア人のハーフ、神々しい白髪ロングの碧眼でまさに絵から飛び出てきたような美少女だ。
「遥です。よろしくお願いします。」
つんとそっぽを向きながら不器用に挨拶をし、照れくさかったのか朱色に頬が染まる。
それが伝染したように俺、鈴木翼の頬っぺも朱色に染まった。
「よろしく──」
朝は同じ時間、同じ部屋での起床。
食事の時間などまで同じ。
別に規制されているわけでもないのに一緒にいる時間がやけに多い気がする──。
「それってただのスキンシップなんじゃねぇの?」
友達に聞いてもやっぱりそんな返事ばかりでイマイチ納得いかない。
というかさすがにスキンシップで同じ部屋でいいと言うのは行き過ぎな気もする。
そんなある日だった──。
靴箱を開けると、一枚の小さな白い手紙が入っていた。
差出人は不明だが、小さな字で放課後屋上で待ってますとだけ書いてある。
ありきたりなラブレターだなと、それでもそんな初めての手紙に胸を踊らせながら放課後屋上に向かう。
そこには最近見慣れた白髪美少女が、夕焼けに向かって風に靡いていた。
やはりあれはラブレターではなく、何か相談したい事があっただけなのかなと思ったが、その少女──遥はゆっくり振り向くと、
「お兄ちゃん好きです──。」
なんの前触れもなく、そんな事を口にするのだった。
続編は明日掲載予定です。