第5話 正しい武器は何ですか?~翔視点~
side:翔
武器を3つ選ぶねぇ・・・。
どんな武器があるかひとまず見ないと決められないか。
さっきは確か節系の途中までだったんだよな。
剣系、槍系、節系、弓、暗器に特殊系か。
最後は伝説武器?
うーん・・・中二心がくすぐられるけど、やっぱこういう伝説系の武器は初期からじゃなくて探索の上で手に入れるからいいのであって、初期で持っても性能に振り回されてPSが育たないからリストから除外っと。
やっぱスタイルをどうするかで決めないといけないよな。
中途半端に遠近両用にしちゃうと火力に不安が残るけど、間合いを自由に選べるから武器の取り回しや交換にさえ気を付けてれば手数や変則的な動きで相手にペースをつかませないっていうことが出来そう。
THE前衛って感じで、近接武器系で固めれば、リーチの問題はあるけど、武器ごとの癖さえ覚えれば他の武器にも応用ができるから今回選ばなかった武器もおそれなりに使えるようになるかもしれない。
逆に後衛にするなら、この武器の種類からだとアサシンスタイルになるんだよな・・・。
短弓か弩は必須だし、暗器2種が最低でもって感じだな。そもそも見つからないようにしなきゃいけない戦闘スタイルだから、トンファーかクナイを近接武器にして手甲鉤あたりで壁登ったりとかになるんだろう。
正直、やむにやまれぬ事情があるなら仕方ないと思うが、現状転生先が天使系のなにかなのはほぼ確定しているので、たとえ生まれがひどくてもアサシンになることはないだろう。
だって羽が邪魔で隠れるどころか目立ってしまう。
服の中に隠せばよいのだろうけど、せっかく飛べる手段がありそうなのに、わざわざ自分から利点を捨てに行く必要もないだろう。
どんな種族が存在しているのかはわからないが、全種族が空を飛べるわけではないだろう。
何かしらの方法で飛ぶことはできるのかもしれないが、魔法なり道具なりの制御をしながらの飛行と、元あるものを使っての飛行では元あるものを使っている方が圧倒的に有利と思うし、移動手段で歩くという行為がなくなるのはいろいろな面でありがたいのだから。
「さて、となると自分のスタイルか・・・」
ちらりと駿の方をみて、駿が使うであろう武器を予想してみる。
恐らく刀、ツーハンド辺りの武器に伝説系のパワータイプか、サポートタイプを目指して弓と護身に格闘かショートソードの選択かなと思う。
となると、ダブルアタッカーかメインアタッカーが役割になりそうだ。
ヒーラー?ないない。
回復は担当がいるから選ばない。
まぁ、この空間に来てないから代わりをしなくてはいけないのだろうけど、駿はともかく俺はサポートに特化した立ち回りが苦手なので候補からは除外。
アタッカーとして必要なのは何だろうか?
体力?
体力。すなわちスタミナである。後衛へ敵を寄せ付けないように立ち回りを変えたり、時には走り回ったりアクロバットな動きなどがあるかもしれない。そんな時体力がなければそんな立ち回りはできない。
攻撃力?
攻撃力が高ければ、雑魚を一掃したり強大な敵とも渡り合えるかもしれない。後衛火力があるのであればそこまで必要なものではないが、ツボ押し程度の攻撃力にしかならないのではさすがにアタッカーは名乗れない。
防御力?
いわばタフさだろう。本来であれば盾職が一番向いている項目なのだが片手剣+盾という構成にしたとき、盾で攻撃を防いだり受け流したりする際に受けきれずに倒れてしまわないことはとても重要である。
他にも回避や俊敏といったのもあるだろうが、アタッカーとして必要なのはやはり体力、攻撃、防御だと思う。
しかし、体力は別として攻撃力と防御力は武器によって比重が変わる。
極端な例だが、ツーハンドソードをメインウエポンとして使う場合、膂力が高ければ、振り降ろしや、薙ぎ払い時の攻撃力はダントツだろう。しかし代わりに防御を捨てることになるので、盾での防御がない分相手の攻撃がダイレクトに伝わってしまう。
逆に、ショートソード、ものによってはロングソードであれば盾が持てるので、一撃の攻撃力は大して高くないが、盾による防御で粘る戦いが可能となる。
本をパラパラとめくりながら自分に合う武器は何かを考えつつ、いままで遊んできたゲームを思い出していた。
思い出していたのは武器のモーションと種類についてである。
異世界に転生された時に武器がある程度使えるように体が調整されているとは思うが、日本にいたときは授業でしか武道を習っていないうえに、授業で習っていたのも柔道だけだったので、武器を持っての立ち回りなどさっぱりである。
そんなド素人が多少使える程度の腕で武器を振るのは、赤子に武器を持たせるのと変わらないぐらい危険だと思う。
なので、型の練習として参考になるモーションがないか記憶を漁っているのだ。
最終的にトレースできそうな武器は、ロングソード、ランス、薙刀、刀、鎌、トンファーとなった。
他の武器も多少は扱えそうだったが、参考になる作品が少なかったり、いまいち攻撃力にかける為候補から外した。
「ここから3種か・・・」
さてこの中から選ぶということは、それぞれの武器の長所と短所をしっかりと踏まえたうえで選ばなくてはならない。
まず初めにロングソードから考えてみよう。
ロングソード。その名の通り長い剣である。
定義としては、おおよそ80cmから100cmの刃渡りがあるものを指す。
長所としては、片手で装備することが可能なため、盾を持つことが可能な点。「斬る」「突く」「払う」「打つ」と使い方によって攻撃の方法が変えられるのも利点である。
逆に短所としては、刃渡りがあるため建物などの狭い場所での取り回しに注意が必要なことがあげられる。
次にランスについて考える。
およそ2mから4mの片手で扱える武器の中では最長を誇り、持ち手に鍔があるのが特徴である。
長所としては、リーチが長い分相手の間合いの外から攻撃をすることが可能である。また、空中からの突撃や馬上からの突撃の際、速度を合わせた貫通力を併せ持つ攻撃がもっとも効果を発揮することができる。
短所としては、懐には入られると対処ができないことと、筋力が足りないと遠心力に振り回されてしまうため、扱いの習熟難易度が高い。
次に薙刀について考える。
刃渡り30cm~60cmの日本刀の刃先と90cm~180cmの柄によって構成される武器で、ランスと同じく長物の武器ではある。
長所としては、ランスと同じくらいの長さを持つが、現代の日本人女性の護身術として扱われるように、取り回しがしやすく、「打つ」「突く」「斬る」を広い範囲で行うことができる。
短所としては、女性でも取り回しやすくするために、絵柄の部分を木で作成されることが多いため耐久性に難がある。また、両刃ではないため、扱いを間違えると相手に打撲しか与えられない。
次に刀について考える。
一番想像されるであろう日本刀は主に刃渡り60cm以上のものを指すので、取り回しがきつくないのであれば際限なく刀身は伸びる。
刀といっても本来の定義は広く、カットラスやサーベルといった海外の武器も大まかに定義すれば刀ではあるが、本に書いてある図が日本刀の図のため日本刀とあ呈して考察する。
長所としては、切れ味の鋭い刃であるだろうか。西洋の剣と違い刀身が厚くないため、「打つ」ということは難しいが、その分「斬り」は優れている。また、抜刀術という言葉が指す通り、鞘に入った状態からの攻撃も習熟すれば可能なため、相手に刀の軌道を読み取りづらくさせることも可能となる。
短所としては、片刃のため斬り方に注意が必要であり、下手な斬り方だと、切れないどころか、刃こぼれを起こしてしまいすぐに刀身がだめになってしまうので複数持つことが推奨されることであろう。
次に鎌について考える。
連想されるのは死神が持っている鎌の形状だろうか?柄が長く湾曲した刃が特徴である。
基本的には湾曲の内側にある刃で首などを刈る武器である。
長所としては、相手の間合いをずらして戦うことができ、懐に入られても石突の部分での応戦ができるため、見た目とは裏腹に使い勝手が良い武器である。
短所としては、重心が刃の中心にあるため、振り卸時などの動作を行うと体がもっていかれてしまう恐れがあるのと、慣れるまでは間合いの取り方が難しいという部分であろう。
最後にトンファーついて考える。
暗器として知られることが多く、ひざや袖口などに隠し持っておけるコンパクトさとは裏腹に鉄製であることがほとんどの為、非力な女性でも相手に大打撃を与えることもできる武器である。
長所としては、先にも書いた通り袖口などに隠せておけるので不意打ちや奇襲などで役に立つ。また、剣を防ぐこともでき、殴ると同じ動作で攻撃できることもあり習熟までの日数が短いという部分も利点である。
短所としては、他の武器とは違い、肉弾戦が主体となるため体裁きが必須となり、被弾数が増える可能性が高くなる。また、相手が太っている場合、打撃が通りにくいこともある。
それぞれの長所短所を挙げて自分が使いたい、使いやすい武器を考え、まず先に2種類の武器を決めた。
決めた武器は、
・鎌
・ロングソード
決めた理由は、駿と離れて転移されても比較的自由に立ち回ることが出来るというコンセプトで選んだ。
ロングソードは言わずもがなオーソドックスな武器なので、冒険者など参考になるものが多いと予想されるので、知識だけでない実践的な動きの習得がしやすいと考察して。
鎌に関しては、使用したかったからというのが大きいが、間合いを外せる、タイミングをずらせるというのは戦術的にとても重要で、自分のものにできれば少なくとも対人でのピンチは格段に少なくなる。
2種類を決め最後の一つを何にするかを悩んでいると、
「ピンポンパンポーン。
完了時間まで残り1分です。
完了後すぐ次工程に移ります」
アナウンスが響き渡り残り1分を知らせてきた。
一度目を閉じ、最後の候補として残った武器を思い浮かべる。
慣れ親しんだものを選ぶか。
取り回しやすさを選ぶか。
目を開き、目的のページを開きそっとそのページに手をかざした。
かざしてから少し経つとアナウンスが聞こえ、
「ピンポンパンポーン。
特殊能力フェーズが完了しました。
これより基礎講習フェースに移ります」
どうやら次のフェーズへと進むみたいだ。
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