第4話 正しい武器は何ですか?~駿視点~
駿君の武器選びです。
さていったい何の武器を選ぶのか?
side:駿
さて、まず武器の種類の確認か。
最初のページから、ショートソード、ロングソード、ツーハンドソード、サーベル、シミター、短剣、細剣、刀と剣系が並んでるな。
剣の種類なら、レイピアや蛇腹剣とかの奇剣もあってもいいとは思ったけど、適性がないからなのか、はたまた存在しないのかリストにはいなかった。
個人的には近接武器として取っておきたいけど、まだ全部見てないからいったん保留にする。
次のページを開くと今度は槍のページだった。
直槍、ジャベリン(投げ槍)、ランス、トライデントがあり、ちょっと変わったもので、薙刀、戟、ハルバードと竹槍があった。
竹槍って・・・。
確かに最も簡単に使えて殺傷能力も高い優れた武器だとは思うけど、これをメインウエポンとして使いたいかといわれると、うーん。
き、気を取り直して次のページを開こう。
次は節系のようだ。
メイス、杖、ロッド、六尺棒、多節棍、フレイル、モーニングスターと打撃系に優れたものが並んでいた。
撲殺天使が大好き釘バットなんかもあった。
杖やロッドがあったので、魔法などがあればその媒体としても使えるのではと思ったが、あちらに魔法体系があるのかも媒体が必要なのかもわからなかったが、とりあえず魔法系統の武器も保留としておく。
次のページは弓で、
長弓、短弓、弩しかなかった。
銃が存在しなかったので、こちらも適性がないか存在しない物なのだろう。
次のページに出てきたのは暗器だった。
クナイや手裏剣、寸鉄、手甲鉤にトンファーなんてのもあった。
次に出てきたのが特殊武器。
これには、鞭、鉄扇、鎌、ハンマーがあった。
個人的にはハンマーはメイスとかと同じでいいのではと思ったが、何かしらの区分けがあるのだろう。
ここまででページの8割ほどだった。
正直特殊武器という名称が出てきた時点でもう武器は終わりでは?と思ったのだがまだ、ページ数的に20ページほどありそうなのだ。
これ以上区分けできる武器あったかなと疑問に感じながら次のページをめくった。
『伝説武具』
「は?」
思わず声が漏れてしまった。
さっきまでと違い、見開きにデカく『伝説武具』という文字だけが書かれているページが出現した。
これはあれだろうか、エクスカリバーとかゲイボルグとかそういったものなのが次のページから登場するのだろうか。
おそるおそるページをめくると、
『村雨』
戦艦ではなく日本刀の『村雨』が書かれていた。
これはやはり伝承や神話などで登場する武器が書かれているのだろう。
しかし、こういった業物が別で書かれているところに不安を覚える。
各武器とは別系統の熟練度となるのだろうか?
こういう時こそ刀と村雨で習得できる武技を比較すべきだろう。
■武器熟練度により解放される武技※順不同(刀)
・疾風刃
振り抜きから斬撃を放つ。納刀時のみ使用可能。
・刹那
一瞬で5回切り刻む。
・護光刃
鞘で攻撃を受けたとき、攻撃をはじき斬撃を放つ。
...etc
■武器熟練度により解放される武技※順不同(村雨)
・血ニ餓エタ慟哭
相手の出血量を増やし、投信に浴び太刀の量だけ刃が伸びる。切るたびに笑い声が聞こえるようになる、
・諍ウ血肉ノ滾リ
相手を切るたびに、刀身が赤く輝き切れ味が増し、斬撃を飛ばす。精神異常「恐慌」にかかりやすくなる。
...etc
「っこわ!」
ドン引きである。
まさかの呪いの類の剣だった。
しかも何一つスキルがかぶらない。
もしかしたらベースに刀の武技、そこに剣固有の武技が解放されるのかもしれないが、使ったら最後こっちが呪われそうである。
流石に残り全ての武器が呪いの類だとは思わないが、使った場合にデメリットが発生しそうで怖い。
一応どんな武器があるのかを確認してみると、
レーヴァテイン、フラガラッハ、ケーリュケイオン、ブリューナク、角突弓、ミョルニルといった神話から伝承まで、雑多に武器が並んでいた。
有名なグングニルやゲイボルグといった武器が見当たらなかったのは、何かしらの理由があるのだろうか?
普通の武器と違って適性のあるなしが大きそうだが、何を基準に適性を定めているのかが不明なため、真相はわからないが、本に載っていないということは選ぶことすらできないのだから考えてもしょうがないか。
さて、とりあえず最後のページまで見たので、この中から3種類選ばなければならないのだが、1種類ぐらい伝説武器の中から選びたい気持ちもあるが、武技を考えると手にするのが怖い気持ちもある。
何も選べないまま時間が終了してしまうのはまずいので、3種選べと言われた時に既に決めていた武器を2つ選んだ。
選んだ武器は、
剣系から、ショートソード。
弓から、短弓。
である。
これでステータス振りとかがあれば|DEX≪器用≫全振りにするつもりではあるが、ステータス振りがあるかもわからないうえに、転送される世界がゲームみたいに何度もやり直せるのかすらもわからない。
元より決めていた武器を2種類サクっと決めたので、次に伝説武器の候補を選ぶとしよう。
武器の種類がかぶってしまっても構わないのだが、できればオールラウンダーとまではいわないが全距離に応じた武器が一つくらいあってもいいかもしれない。
候補だと、
槍から
・ブリューナク
・アスカロン
節系から
・ミョルニル
・ケーリュケイオン
・如意金箍棒
特殊から
・アダマスの鎌
になるだろうか。
どれか一つでもデメリットがなさそうなのはないかと思ったが、どれもひと癖ふた癖あるような感じだったので、選ぶとしたらデメリットを許容してでも欲しい理由がないと選びづらいかもしれない。
ただ、その分威力などは普通の武器よりも高いのではないかと思う。いや、思わないとやっていられないが正しいか。
これで、通常武器とほぼ同じ性能ですとでも言われたら発狂するしかないが、わざわざ伝説と銘打って分けているのだから武技以外にも何かしら特典がありそうである。
魔法があると考えて、魔法の触媒に杖があるといいのではないかと思うが、作品によっては手のひらからや、それこそ剣などの武器からでも魔法を使うのだからあまり形式にとらわれなくてもよいのかもしれないが、『魔法使い=杖を持っている』という先入観があるため、やはり杖はほしいなと思ってしまう。
なので、伝説の武器から選ぶとしたら、『ケーリュケイオン』一択となる。
ただし、こちらの武技は癒しの方面が多いみたいで、デメリットとして、気を失うほどの激痛が術者に来たり、味覚などの間隔が一時的に失われるらしい。
というか、回復の武技って実質魔法なのではないだろうか?
武技が魔法だったとして、スキルとして『ファイアボール』等があればよいのだが、武器固有となると回復一択である。
俺と翔の間では回復薬俺らではないやつに決まっているので、回復一択だとすると悩ましいが現状杖として使えそうな伝説の武器はこれしかないのだから仕方ない。
同じように普通の武器で魔法を使おうと考えるなら、『ロッド』『杖』『メイス』が該当するだろうか。
個人的にはデッキブラシをもって魔法を発動させたいところではあるが、あれはゲームの中でやるから面白いのであって、実際にやったら羞恥感がやばいことになりそうである。
そもそもデッキブラシがこの本には載っていないので、やるとしたら転移後で探すところからである。
しかし、どうやって本に書かれている武器を渡すのだろうか?
ふとそんな疑問が浮かんだ。
考えてもみてほしい、いきなり武器を3つ渡されても持ちきれないと思うし、そもそも使い切れない。
まだ刀、ショートソード、細剣の3点ならどこかの海賊団にいるロロノアさんみたいに口と両手に持って三刀流で使うことも可能かもしれないが、ツーハンドソードを選んでいたら、もはや別の武器は使えない。
携帯するだけでも、ツーハンドソードは背負うタイプになるだろうから、長物や弓などは持つことが難しくなるのではないだろうか。
俺が選んだ武器2つだけであれば、弓は肩にかけ、剣は腰に下げればいいかもしれないが、ここにあと1つ武器が追加されるのを考えると、両手がふさがる状況しか想像できない。
このマニュアルを設定した奴は馬鹿なのだろうか?
いや、何か方法があっていくつ選んでも問題ないとかに違いない。そうでないとアホすぎる。
「ピンポンパンポーン。
完了時間まで残り1分です。
完了後すぐ次工程に移ります」
残り1分。
転生後の世界にもあるとは限らないため、強くてニューゲームを行うにはチートアイテムぐらいはほしいところではある。
デメリットのない武器を選ぶのか、デメリットのある武器を選ぶのか、リスクとリターンをはかりにかけ体内で30秒を数えながら、俺はページの上に手のひらを置いた。
「ピンポンパンポーン。
特殊能力フェーズが完了しました。
これより基礎講習フェースに移ります」
お読みいただきありがとうございます。