第3話 異世界への改編 その2
説明といってもおおよそは翔が考察していた流れに変わりはない。
大事なのはどの工程で何を対象とし作業を行っているかである。
今までの工程は、
最適化(完了)
付与(実施中)
種族融合(未実施)
である。
まず、最適化。
この作業は、最初に考えた通り、惑星環境への適合作業である。
ただし、人間として生きる為の最適化ではく、これから転移させられる世界での種族として現在の体に足りないスキルや部位といった目には見えない部分を対応させるための最適化だったのだろう。
魚であれば水の中にいないと呼吸ができないが、人間は逆に水中では呼吸ができない。
なので、新しく生まれ変わるのがもし魚であれば、エラをつける前に水中でも呼吸ができる器官を作ったり、泳ぐための筋肉の土台を環境調整などで作成を行うのだ。
次に付与。
最適化下地を作ったことで、『翼生成』や『水かき生成』といった、目に見える部分の変化、つまり種族特性となる『飛行』や『泳ぐ』といった行為を行うための部位を文字通り付与していくのだろう。
そして、種族融合。
これが水かきなどの部位変形を効率よく使える種族に近いもしくはそのものへ変化を行う作業なのだろう。
今回の場合であれば、天使のような羽が生えているため、鳥人もしくは天使へと種族そのものが変わっていくのだろう。
そしておそらくこの後に待っているのは、本当のスキル付与と、自身のスキルなどを確認するためのチュートリアルか何かだと思う。
正直スキル付与に関しても、これまで同様にこちらで選ぶことはできず、決められた何かが与えられるだけなのだろうと思う。
チュートリアルは、よくある「ステータス!」といえば目の前に薄いウィンドウが開いて自分の情報が見れるとか、自身の状況を確認するための方法のレクチャーとかかなと思ってる。
そんなことを翔に説明すれば、
「ふむ、まぁ現状の変化を見ればそんなところが妥当か・・・。てか痛くはないんだけど目が今熱い」
「おなじく」
付与の改変作業による改変部位に熱が発生しているが、先ほどの背中に羽が生えるというような無から有を生み出す作業でなければ激痛は発生しないらしい。
「さて、駿。そろそろ種族融合に移るんじゃないかなという時間ですが、なんになると思う?」
「うーん・・・。羽の感触からして鳥人か天使とかなのかなと思うけど、付与でくちばしとか、手足が鳥系になってないところを見ると天使かなぁ」
「やっぱそうなるよなぁ。ま、あっちいってもバラバラになってスタートじゃなさそうで安心だな。俺も背中羽っぽいしちょっと安心したわ」
「それは確かに。たぶんだけど種族融合は世界への認識変更みたいな作業がメインだと思われるからもうしばらくは何んもないと思うので、この間に方針決めとかないとな」
「つってもまだ何ができるかも、どんな状況かもわからないから最低限しか決められないけどな。決められるのは開始同じ場所じゃなくて違う場所でスタートした場合の集合場所と所属する派閥が違った場合ぐらいか?」
「派閥は無視する一択だけど、違う場所スタートはどうするかね・・・。」
「日本というか地球なら地元の公園とかいくらでも候補は上がるけど、さすがに異世界となるとなぁ。しかもおそらく天界とか天使系の何かが住まう空間に飛ばされるのが濃厚だろ?どこがいいんだろうか?」
「そーだなぁ。ゲームやアニメとかを参考にするなら天界内で会うのは絶望かもしれないから、地上の教会総本部が一番わかりやすいのかなと思う」
「はぐれたらそこだな。あ、教会なかったら?」
「うーん必ずあるとは思うけど、複数の宗教があったり、翔の言う通りない場合は中央かな」
「中央?」
「そ、中央。星の中央とかでなく各国や地域が一番大きく栄えている場所として呼んでる中央。もしかしたら東西南北とかで中央がそれぞれあるかもだけど、その場合は国土面積的に一番小さい場所にしよう」
「そのこころは?」
「すれ違いの確率が下がるから」
「なるほど、了解。全地域共通の中央国家ね。聞き込みすりゃすぐ情報集まりそうなチョイスだし異論なし」
「ピンポンパンポーン。作業が完了しました。続いて特殊能力フェーズへ移ります。並行して武具の選択を行います。共に使用できる武器が同一の為、リストの提供を行います。・・・概念抽出。・・・完了。・・・概念出力。・・・出力座標指定、概念空間へ接続します。・・・成功。出力したリストを本の形に形成し転送します。・・・成功。使用武器の選択は使用武具のページへ手のひらを押し付けることで完了となります。また、使用できる武具は一人3種類までとなります。その他武具については適性が低くなります。特殊能力フェーズ完了目処は25分となります」
アナウンスの途中で俺と翔の目の前に1冊ずつ本が急に現われた。
アナウンス通りであるならば、この本に書かれているのは武器一覧ということだろう。武具といっていたのが気になるが見ればわかるかと本を拾う。
「制限時間25分以内に『この本の中から好みの武器を3つ選べ』か。あんまりじっくり悩めないのは痛いな」
翔が、本を手に取りながら、「図がなくて説明文だけのリストだったら俺は目次見て、直感で決めよう」
といっていたが、確かに25分の制限時間内に説明読んで、武器のイメージをつかんでというのを繰り返してたら3種類決める前に制限時間が来そうである。
見てみないことには何とも言えないので、俺も本を手に取り、表紙を開いた。
そこにはまず目次があり、次のページから武器の説明が書かれているらしい。
「文章だけではありませんように」と祈りながらページをめくる。
見開きで一つの武器の説明があり、武器の代表的な形状が記載されていた。
「「ほっ」」
二人してページを見た瞬間に安どのため息が出てしまった。
お互い本を読むのは苦にならないが、さすがに制限時間付きで全ページを読めるほど読むスピードは速くないので、絵があるだけでだいぶ早く決めることが出来そうである。
ページには武器の形状のほかに『初心者おすすめ度』や『適正』等が☆で表されていた。
他に何か記載がないかとりあえずほかの武器と比較する際の材料を探していると、見開き右下の方に気になる記述があった。
「おい、翔見開きの右下見てみた?」
「え、いやとりあえず画像だけの確認してた。何かあったか?」
「とりあえず今見てる武器のでいいから。右下見てみろ」
そういって、自分の本に再度目を落とし、そこに書かれている項目を再度確認した。
開いていたのは『ショートソード』と呼ばれる武器のページで、そこに記載されていたのは、
■武器熟練度により解放される武技※順不同
・木の葉斬
一瞬の斬撃を放つ。落ちてくる木葉の軌道を変えず真っ二つに切ることが出来る。
・星割
振り降ろし時のみ発動可能。地面に当たれば、前方に地面を這う斬撃を飛ばす。空中で止めると何も起こらない。
・断空旋
剣先に風の渦を発生させ、切り上げの動作で前方に竜巻を発生させ、軽いものであれば上空に吹き飛ばし、重いものであれば風に触れた部分を風の刃が切り刻む。
・閃牙
牙を砕く斬撃を放つ。
など、10種類ほどの技が書かれており、載せきれなかったのかめんどくさかったのかは不明だが一番下に「...etc」と記載されていた。
「翔、見た?」
「見た。どことなく知ってるゲームの技を思わせる名前が多いけど、技があるんなら似たような武器でも自分の考える戦い方に合わせて選べそうだな」
「似たような武器で悩んだら見る項目ってところだね。とりあえず何の武器が使えるかだけでも確認しないと選ぶものも選べないか」
「決めたらここで発表しないで、あっちでお互い発表しようぜ」
「お、了解。んじゃサクっと決めますかぁ」
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