第2話 異世界への改編 その1
説明回です。
誤字脱字の報告をお願いいたします。
「「は?」」
唐突に流れてきたアナウンス?に二人して固まってると、頭の中に何かが流れ込んでくる感覚がし、遅れて激痛が走った。
「「あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁっ!!!」」
頭を押さえながら床を転げまわり、果てしなく長い1分が過ぎたころようやく頭痛が治まり、よろよろと立ち上がりながら先ほど流れてきたアナウンスの言葉を思い出していた。
「共通言語は言葉の通りだとして、環境適正と魔力巡回路ってなんだよ。何俺ら砂漠とか劣悪な環境に飛ばされたりすんの?なぁ駿」
「いつつつ。いや知らんけど、こういった場合の環境適正は、たぶん病原菌とかの抵抗じゃねぇの?いきなり地球しかも日本から違う惑星に行ってもそこで生きてる微生物なんかの抗体なんかあるわけないんだし、ましてや何か病気にかかっても抗体無いから体への影響もろだろうから」
「あーなるほど。さすがオタク詳しいね。んじゃ魔力巡回路は?」
「元オタクじゃないですかそちらも。なんだろーな、ニュアンスでいいなら魔法が使えるようになる器官か血液に魔力とかチャクラとか不思議継な何かが流れるようになるとかなんだろうけど」
「お、じゃあもしかして魔法とか使えるようになっちゃう系な感じ?」
「さて?何かが変わった感じがするわけでもないし、純粋にあっちの空気に合わせるために何か変えられたんじゃないのかねぇ」
「てか考えて見りゃ問答無用でいま俺たち何かされたのか。神だとしてもとんでもねぇな」
「神からしたら動物園にいる動物の内の1匹とかって気持ちなんだろうよ。動物の気持ちまではくみ取りません的なさ」
「まぁ、地球規模でいや70億とかっていう中から見りゃ俺らなんかそんな扱いにもなるか。待遇について考えたところでどうしようもないという結論に達したところで、これからどうすりゃいいんだよ。最適化だかからなんも音沙汰がないわけですが」
「俺に聞かれても・・・。プログラムのバッチ処理みたいに待機時間でもあんじゃない?」
「え、プログラムにそんなのいれんの?」
「並行処理とかで前処理が終わってなかったらまずいからエラーしないように入れたりすることもあるけど、まぁあんま見なかったなぁ」
「ピンポンパンポーン」
・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「「・・・・え?」」
またアナウンスが来るかと思い黙って待ってみるもそれ以降何も続かず、思わず人そろって間の抜けた声が出てしまった。
さらにしばらく待っても何も起こらず。
二人して、「え、誤作動か何か?」「さぁ?」といった感じでどうしたらいいのかわからないままさて本格的にどうしたものかと思い始めたとき、
がっ
ざざっ
びたんっ
「いったぁーい!なんでこんなところにまでコード延びてるのよぉ。後でこのコードは片づけるとして、ええっとマニュアル、マニュアル。え?早く次の工程へ移れ?後ろの作業が詰まってる?す、すいません!すぐに進めます!・・・・あ、マイク入ったままになってる・・・。え、えっと・・・」
「「・・・・・・」」
「ピンポンパンポーン。最適化完了。つづいて付与フェーズに入ります。完了時間は、「「続けるんかいっ!」」となります。付与につづいて種族融合を行います。こちらの完了時間は約3分となります。合計6分の作業となります」
マイクが入っていたことの失敗などなかったかのように続けられるアナウンスに思わず二人して突っ込んでしまい、付与の完了時間がわからなかったが、合計時間と種族設定とやらから逆算するとこちらも3分ほどらしい。
だがしかし今のアナウンスの内容に不安が募る。
付与というのが、お約束のスキルなどの特典だと考えれば『火魔法』や『剣術』といったようなものになるのだろう。
だが、つづいて流れた種族融合というのが不安をあおる。
言葉通りだとすると、転移後の世界の世界に存在する何かしらの生物(人型とは限らない)と合体もしくは生物への変態の可能性が高い。
この考えが正しいのであれば付与の意味合いがガラッと変わってくる。
『与えられた内容次第で合体先が変わってしまう』場合と、『合体先が決まっており、それに適応する形で与えられる』場合である。
この場合悲惨なのは前者である『与えられた内容次第で合体先が変わってしまう』方である。
考えてもみよう、例えば有名な蜘蛛のラノベで主人公が重宝していた「糸操作」のスキルが与えられたとすると、糸を操作する魔物もしくは何かの植物と合成されてしまう可能性が高まる。
まだ、蜘蛛であればお手本?があるので頑張ろうと思えるのだが、芋虫であれば最悪である。
まず幼体の時点で弱く、あわよくば生き残れたとして、さなぎの時期は何もできない、やっと蝶になったとしてそこからの進化が望めない。
ぱっと思いつくのはモ〇ラのように大きくなったり変形できるようになるだろうが、蝶という枠組みから抜け出せそうにない。
(やつは蝶でなく蛾だけども)
羽つながりで言えば妖精になれる見込はあるのだろうが、そこに至るまでの軌跡がわからない。
今のは最悪の例えではあるが、何が与えられるかがわからない状態であることに変わりはなく、覚悟しなければならないだろう。
俺一人だけ覚悟を持ったところで翔が同じ結論に達しない限り、種族融合後の姿を見て発狂する可能性だってある。
ひどい姿になるとしても、想像できているのといないのでは雲泥の差があるだろう。
ここまでの思考、僅か2秒であった。
「翔!希望的思考は捨てた方がいいかもしれない!最悪スキ・・・いっづぁぁ!」
翔へ想像し得る注意事項を告げようと口を開き、重要な部分を告げようとしたとき、背中に激痛が走り思わずうずくまってしまう。
脂汗を垂らしながら、翔の方をみると同じようにうずくまっていた。
なおも背中に走る激痛に耐えながら、ふと背中に熱を感じ、何かが生えてくるような感覚が伝わってくる。
直観的に翔も同じ状況なのではと思い、翔の方を再度見ると、ありえないことが起こっていた。
コートの下に隠れて何が起きているか正確なことはわからないが、肩甲骨あたりが異常に盛り上がっており、まだまだ成長?を続けている様子である。
自分の背中も同じことになっているであろうとは思うが、不思議と背中に圧迫感はなく、ただただ痛みと熱をお伝えてくるだけで、本当に同じようなことが起きているのかが心配になる。
痛みと熱に耐えること1分ほどだろうか、未だ背中に熱は感じれども、先ほどまで襲っていた痛みはそれまでが嘘であったかのようにピタッと治まった。
うずくまっていた状態からゆっくり立ち上がり、コートを脱ぎ捨て、恐る恐る背中に手を回し服の中に手を突っ込んでみた。
サワリ。
サワサワ。
スベスベ。
「はっ!」
イカン。
手触りがよくて無心で触ってた。
どうやら羽が生えたらしい。
形状はよくわからないが、恐らく大天使などをイメージした羽であろうと推測する。
どうやって服の下に収まっているのかが不明だが。
ふと先ほどのアナウンスについてもう一度考える。
羽が生えてくる前までは、『スキル付与』→『姿変形』のプロセスだと思ったが、どうやら『姿変形』→『スキル付与』の順に行われているのではないかと思い始めた。
マニュアルの読み違いなら構わないのだが、どうにも違和感がぬぐえない。
何に違和感を感じているのか考え込んでいると、
「駿、なんか羽生えてきたけどこっからどうなんだろ。くちばしにでも変わったりすんのかね?付与から種族融合の流れになるだろうから、スキル云々から容姿が確定されての流れだと思ったんだが違うのかね?」
翔も同じようにスキルから容姿が確定するかもしれない可能性にはたどり着いていたらしい。
「最初の最適化である程度スキルの下地作りがされて、スキルによって体の一部が発達、最終的に発達した部位に沿って種族が変わるとかなのかね?」
恐らく自分の考えをまとめる為に翔が発した推測に、違和感の正体がやっとわかった。
「あぁ!そうか!種族融合って融合とか合体で考えるから違和感があるんだ!そうだよ。
翔の言う通り種族で考えればスキルが先に来てもおかしくないんだ!」
「お、おう。急にどうした?何か納得できるテンプレでもあったか?」
「あぁ悪い悪い、思わず興奮しちゃった。えっとだな・・・」
俺は翔に今までの出来事とこれから起こるであろうことの説明を行った。