第10話 情報の大切さ
本日2話目です。
今週の土曜日にまた2話上げます。
side:駿
『ツール』を押した途端画面が切り替わり、文字の羅列が表示された。
ついでといわんばかりに、機械の前面がせり出してきてキーボードの様な表示が浮かび始める。
「え、ツールってもしかして開発ツールとかそんな感じなのか?
いやいや、各端末から仕様変更できちゃまずくないか?
あーもしかして各設定部分は自分で修正して使ってね的なことだったりするのか?」
よく見てみないことにはわからかないため、羅列されている文字を読む。
所謂ソースコードと呼ばれるものに似た表記が書かれており、おそらくソースコードに対するコメント(ここでいうコメントとは何をするためにあるかを示すためののメモを指す)であろう囲みには、『接続先設定』と書かれていた。
「えー、これソースコード書き換えて自由にできちゃうやつなのでは?」
元の世界では一応WEBプログラマではあったので、書き方の方式が同じであれば読めるのだが……。
「うーむ、見た感じ単gのスペルとかは同じに見えるけど、意味も同じなのかね?コメントの書き方はC#に近しいか書き方というより、まんまC#かこれ?であれば中身変えなくてもログ出すだけでも多少は意味がわかりそうだな」
「じゃぁログでも仕込んでいきますか!ってこれコピペとかどうやればいいんだ?ショートカットキーは……おおう単語のキーしかねぇ。仕方ない時間かかるしミスも出るかもだけど全部手入力していくかー」
鳴れない配置のキーボード入力にてこずりながらも、気になる箇所にログを仕込んでいき、文字を一文字売ったタイミングで現れた『反映』と書かれた文字をタッチすると、最初に表示された画面に戻った瞬間、ログとして仕込んだ様々な値が画面に表示された。
「お、おぉ!マジで動きやがった。さてさて何か有益な情報はあるかなっと」
画面をスクロールさせながら、何か有益な情報もしくは値を変化させることによって変わる項目がないかを確認していく。
何度もログを確認し、怪しそうな箇所の値をメモし再度『ツール』のボタンを押下した。
再度表示されたソースコードを眺めながら、手元にメモした紙とみくらべ、気になる箇所を確認し、その周辺で行われている処理を読み解きながら、いじって大丈夫かの判断をつけていく。
値の書き換えで問題がありそうな箇所は、手元のメモから削除し、大丈夫そうな箇所には〇をつけていく。
候補として上がっていた箇所以外の仕込んでいたログを消し、気になっている箇所に集中的にログを仕込む。
気になっている1箇所のみにログを仕込んで情報を確認しては、次のログを仕込み出力を繰り返していった。
結果、メモに残っていた6候補の内3候補は変えたところで、特にほしい情報は得られそうになかったので候補から外れ、残った3候補につけた変更される情報については以下のようなあたりがついた。
・成人指定書籍の検索権限
・一部専門書の検索権限
・アクセス領域
正直端末ごとに成人指定の検索を制限するのは無駄じゃないかなと思った。
早速すべての値を書き換えてと行きたいところだが、アクセス領域については、影響が大きすぎるので、一旦他の2つだけ制限を解除してみることにする。
ちなみに、現在のアクセス領域は『館内』となっている。
館内の定義がどの程度なのかはわからないが、駿は個人IPアドレス内だと思うことにした。
所謂ローカルホストといわれる、閉鎖空間でのみ使用可能なネットワークということである。
変更できる領域は、『世界』、『大陸』、『霊脈』、『国』、『館内』となっていた。
区切りがわからないが、一旦『国』に変更して増加量などを確認してから、『世界』にしてみようと思う。
「さて、アクセス領域を変える前に他2つを許可にしてみて蔵書がどこまで増えるか……。許可する前の本が○○冊と、では許可にして検索!」
検索前は130冊だった総冊数は、少し増えて175冊となった。
このことから、エロ本か専門書が館内にあったということなのだろう。
どのジャンルが増えたかを確認すると、専門書のみが増えていた。
「ちっ、エロ本じゃないのかよ。となると、ここは私邸とかじゃないのか?私邸だったら必ずあるとまでは思わないけど、本の偏り方とかがおかしいんだよなぁ。どっかの拠点とかってことなのかねぇ?ま、考えてもしゃーない。さてお次はいよいよ検索範囲を広げてみましょうか!」
もはや慣れた手つきで操作し、アクセス領域を『国』へと変更し、再度検索をかける。
「うおっ!本の数がめっちゃ植えやがった。ってことは『国』っていうのは国が登録されている端末から全部取得してるってことなのかな?いや、違うか、それだと全世界とあんまり変わらないから、端末ごとに〇〇国みたいな登録があってその国名が同じものからのみ取得してる感じかな?ルーターかよ』
先ほどの検索の種類を増やしたときとは比較にならないほど本の検索件数が増えた。
『国』の単位で増えた件数を考えると、『世界』辺りになるとどれだけ増えるのだろうか?
どうせ変更できるのであればと、再度ツールを開きアクセス領域を『世界』に変更してみる。
しかし、検索をかけた時、
<検索権限がありません。権限の変更をしてください。>
というメッセージが現れた。
そううまい話は転がっていないということなのだろう。
であればとアクセス領域を『大陸』に変更してみたが、結果は同じく権限ではじかれてしまった。
残った『霊脈』に変更してみると、こちらは権限として足りていたらしく検索が可能となった。
とりあえず『霊脈』で検索をかけた際にヒットした件数は約400万冊にもなった。
割と少ないような気もしたが、娯楽書である漫画や小説といったものの数がそこまで多いわけではないからかもしれない。
地球で言えば、ファンタジー小説なりSF小説なりは『こんな世界があればいいな』といった想像から創作されるが、オロではモンスターという脅威が身近にあり、化学では証明できないようなことが魔法で実現できてしまえるため、その手の本が作られないからだろう。
逆に娯楽小説には恋愛やミステリー系のものが多くを占めていた。
あまりにも多い検索数であったが、今回必要なのはオロという世界の情報がメインである。
娯楽系のものと、エロ本あたりはリストから外れるだろう。
個人的にはエロ本を入れてもいいかなと思うが、あの手の物は自分のペースで紙をめくったりしている間が一番楽しいのであって、脳からいつでも取り出せる状態のものはなんか違うかなと思ったためリストから外した。
必要と思われる情報を片っ端から脳へ登録を行っていき、体感で30分を過ぎたころにやっと作業が終わった。
同じ姿勢で固まった体をほぐしながら、得た情報の整理を行う。
自分自身に関しては、
・自分の種族
・魔法適正
・魔法の使い方
・魔術の使い方(現状使用不可)
・武技を使うための練習の仕方
・スキルについて
といった感じでこの世界での必須となりえるであろう情報を多く知ることが出来た。
中でも、今現在自分のステータスを見ることが出来る魔法がわかったのは大きい。
なんでも、このステータスを確認することが出来る魔法だが、自分にしかかけられないのと使用者が極端に少なく忘れられた魔法とのことだった。
『国』で検索してた時には見つからなかったので、『霊脈』の検索で見つかったので、どこかの種族が秘匿して本を所持しているか、霊脈のどこかにひっそりと取り残されているのかだと思われるが、普通に考えて秘匿されているんだろうなと思った。
ちなみに自身のステータスをすぐさま確認してみたが、
Lv.1
種族:悪魔
MP:9450
攻撃:240
防御:100
魔力:3500
抵抗:800
速さ:230
器用:15
となっていた。
しかしレンジャーもしくはシーフ辺りを意識して武具を選んだつもりだったが、まさかの器用が15……。
魔力とか抵抗が高いのは種族的なものが影響しているらしい。
他の能力にしても、人間を基準に考えるとレベル1の能力としては破格らしいが、ステータスで表示される能力値は素の状態でのものらしいので、武器や防具でそのあたりはカバーできるらしい。
そうなると、種族差なんてものは魔力の保有量ぐらいでしか差がつかないのだろうなと思ってしまう。
ちなみに速さだが、数値の7割ほどのスピードが出せるとのことだった。
およそ時速160kmは出せるらしいが、そんな速度で走れそうにもないし、後ろの羽を使っても安全に飛べなさそうである。
外に出たら実験してみようと思う。
外つながりというわけではないが、現在地が判明した。
暗黒大陸の貴族用の一時在留所らしい。
場所もわかったし、ざっくりとではあるが地図のようなものも知識で手に入ったので、いよいよ館の外に出よう。
地下?専門書が保管されている部屋ぐらいしかないらしいので無視します。
オロの世界の中心はどこになるんだろうなーと考えながら、唯一の出口へと向かう。
外の世界がどんなに過酷かを想像することもなく……。




