第1話 始まりのはじまり
はじめまして。雪カマキリと申します。
初作品のため、色々と拙いかもしれませんが楽しんでいただければと思います。
毎週日曜更新で頑張ります。目指せ文庫化。
誤字脱字報告お願いいたします。
真っ白な空間にいた。
唐突になんだとは思うだろうが、目の前に広がる光景をありのままに伝える情報がそれしかないのだから仕方ない。
壁というものがないのか、壁はあるが視界に入らないぐらいだだっ広い場所にいるのかは定かではないが、一つ言わせてもらえるのであれば、俺の知る限りではこのような空間が広がる場所は知らないし、ゲームのたぐいだとしてもこんな何もないような空間に放り出されていったい何をしろというのか。
ゲームであればチュートリアルといったものが始まってもいいとは思うが、そのようなものが始まる兆候は一切見られない。
「すぅー、はぁー」
深呼吸を一つし、落ち着けと自分に言い聞かせながらこの空間に来るまでのことを思い出してみることにした。
~~ 回想 ~~
12月31日 大晦日。
かれこれ20年近い付き合いになる親友と2年参りの為の列に並びながら、俺は親友に問いかけた。
「さて、今年もあと1時間もしないうちに終わりますが、どうよ1年振り返って?」
「特に振り返るほど何かはなかったなー。あーでも会社立てる為の地盤固めはぼちぼち完了かなーというところまでは来たな。来年の今頃には設立出来てればッてところではあるけども」
親友こと天音翔が去年の春辺りから進めていた会社の立ち上げのめどを報告してきた。
「おーもうちょっとか。ほんとは俺もそこあたり手伝った方がよかったんだろうけど、任せっぱなしですまんね」
「ええねん。ええねん。その代わり駿にはうちの主力商品作ってもらったり、会社のページ作ってもらったり色々お願いしてるし、適材適所よ」
そんなことをいいながら朗らかに笑う翔に改め「外回りお疲れ様です」といい、お互い顔を合わせて笑いあった。
ちなみに駿とは、俺のことである。
塚地駿、もう少しで30手間になるIT業界という変人が集まる業界で働く普通のサラリーマンである。
親友の翔は、同い年で、数年前まで土木関係の仕事をしていたが、高齢化社会に役立つシステムや商品を開発する会社を作ってみないかという酒の席の雑談から、本格的に会社を作りはじめたりと、とにかく行動力がすさまじい。
雑談をしていると新年へのカウントダウンが始まり、カウントが0になり、お互いに「あけましておめでとう。
今年もよろしく」とあいさつしあっていたら、自分たちの番になったので2年参りを終え、後ろの人の邪魔にならないようそそくさとその場から離れた。
無料で配られていた甘酒をすすりながら、ふと、最近リリースされたとあるアプリについて知ってるかどうかを翔に聞いてみた。
「なぁ、先月。いや、もう月も変わったから先々月にリリースされた懐かしいアプリしってる?」
「懐かしいアプリ?またドラ○エとかF○とかのリメイクがでたとか?」
「いんや、MMORPG。しかも俺とお前が唯一パソコンで遊んだやつ」
「え、あれリリースされたの?知らんかった。あれだよな『おれは、ぜりービーンズでやんす』とかいうやつ」
「そそ。まぁパソでやってやつよりスマホ向けに作られてたから、そっくりそのままっていうわけでもなかったけどな。ジョブもちょっと違ったし」
「へぇ、あとでインストールしとこうかな。最近ゲームも全然やってなかったし」
「なつかしさ補正で楽しめるかもな。さて、2年参りも終わって、甘酒も飲んであとは何も無いなら帰るだけですが、なにか行くところとかある?」
「ふーむ、まぁこの時間に酒って気分でもないし、帰り道に居酒屋はほとんどないと来てるからな。行くとしたらカラオケとかが近いけどわざわざ新年に行くのもどうよ?」
「ですよねー」
「まぁ、駿が今年からは関東勤務から地元に戻ってきたんだから、機会はいくらでもあるし今日じゃなくてもよいか」
「だな。じゃあ明後日の新年会にまたかな?」
「んだな。じゃ俺は一校側なんで、鳥居でたらそこでお別れなんで、改めて言っとくわ。今年もよろしくな!」
「こちらこそよろしく」
お互い別れの言葉を告げ、鳥居をくぐった。
~~ 回想 終了 ~~
「鳥居をくぐってからの記憶がないってことは、出た瞬間辺りで交通事故か、はたまたラノベとかの異世界転移系のパターンなのか?個人的には異世界パターンだと嬉しいけども、現実じゃそんなご都合主義は起こらないので、交通事故の線が一番濃いよな・・・。ってことは、いま俺は意識だけ生きてる状態の植物人間であると館得るべきか、死ぬ直前の猶予時間にいると考えるべきか・・・。どちらも体験なんぞしたことがないから判別がつかないところがまたなんとも」
そんなことを考えながら、ふと一緒に鳥居をくぐった翔は無事だったろうかと思い始めた。
普通に考えればあた外ほぼ同時に鳥居をくぐったわけで、お互い車にひかれて重体である方が可能性としては高いが、人一倍危機感などに敏感な親友であればとっさの判断で境内へ続く階段側へ飛んだりして事故を回避していてもおかしくはないので、もし無事だったら俺がいなくても会社が立ち上がるようにとしたためたマニュアルに沿ってちゃんと会社を立ち上げてくれよと、ここにはいない親友に向かってつぶやいた。
いまだ、自分の状況がわからないので、死んでないと仮定して(死んでしまった後のことなんぞ考えてもしょうがないので)、今後どう動くかを考えることにした。
まず最初に行ったのは荷物チェックだった。
わかったことは、財布とハンカチそしてスマホを持っていたことだった。
ただし、やはりというか電波は届いておらず、圏外をさしていたため、メモ帳やレコーダーといったネットを介さないものしか使えないだろう。
ただし充電ケーブルなどはないので、充電が切れてしまったら使えなくなってしまうため、最終的にはただの鉄の塊になってしまうだろうと思われる。
財布には2年参りに持っていた金額がそのまま入っていた。
持ち物としては以上ではあったが、コートに入れていた貼らないカイロが2つと、シャツに貼ったままのカイロが1つの合計3つのカイロがあった。
結果、手元にあるものでは何もできないことが判明しただけだった。
とりあえず電源がもったいなかったので、携帯の電源をオフにし、さてどうしたものかと考える。
何か景色が変わったりしないかを期待しこの場から動いてみるか、おとなしくじっと待っているかの2択しか取れる選択肢はないが、じっと待ってるのは苦手な性分なため、結局あてもなく歩き始めることにした。
1時間後
「だぁ~っ!何も変わらないし、だれもいないし!てか、周りが何も変わらないからほんとに俺は歩いてたのかっていう疑問すらあるんだが・・・。せめてこの空間の端か壁が見えりゃいいんだけど、たかだか体感1時間歩いただけじゃ果ては見えないか」
幸いといってよいのか、この空間ではいくら歩いていても疲れないらしく、いつまでも歩いていられそうではあったが、流石にあるかどうかもわからない空間の果てを探すための気力は持ち合わせておらず、翔には会わないが、何かが起こってくれることを期待して、その場でじっとしてみることにした。
しばらく待ってると、視界の端に今まで白一色だったところへ黒い点が現れた。
突如として現れた変化に内心歓喜しつつ、徐々に大きくなってる黒い点を凝視していると、どうやらその点は人影の様であったので、原住民もしくはこの空間に迷い込んだ人がほかにもいたのかもしれないと思い立ち、人影に向けてこちらからも歩き始めた。
「おーい」と声をあげてみるも相手からの反応はなし、声が届いていないか意思が通じてないかのどちらかだろう。
言語が通じないなら残りの手段はジェスチャーしかないなと考えつつ、人影との距離を詰めていった。
お互いの顔がわずかに見える距離まで近づくとお互いに声を上げた。
「翔!「駿!」」
なんと人影の正体は親友であった。
大声をあげて声をかけていたのに何で反応しなかったときくと、「いや、そもそもこっちに聞こえてこなかったしな。
こっちも声上げたけど駿の方も聞こえなかったんじゃないか?」と言ってきたので、この空間ではある一定の距離離れると音がかき消されるか、そもそも大声が響かないようになっている空間であるらしいことが発覚した。
「まぁいいや。てか二人して事故ったか?だとしても同じ空間にいるのがわけわかんないけど」
翔もやはり事故の線が濃厚だと思っていたらしいが、二人して同じ異質な空間にいてこの空間に来る直前の記憶が一致するということで可能性として半分以上ないと思っていた『異世界』説が濃厚になり始めた。
「事故ったかどうかは今のところわかんないけど、翔と俺二人そろってこんな空間にいるってことは、おそらく異世界転移か転生かの何かがあるんだろうけど、問題は性に会うまで何の声も聞こえなかったし誰にも会わなかったってところがすげー気になる」
「あーそれは俺も思った。事故ならまぁ仕方ないかなと思ったけど、夢っていうか自分の記憶の中をさまよってんだとしたらあまりにもスマホのアプリとか視覚や触覚から得られる情報が多すぎるなーとは感じてた。駿の好きなラノベ的展開であればすでに何かしらのアクションがあってもいいとは思うけどね俺も」
「そうなんだよな。まぁこの空間に連れてこられたのが俺ら二人なら合流した時点でなにかしら・・・」
「おこるんじゃないか?」と続けようとしたとき唐突に、
「ピンポンパンポーン。こちら異世界管理機構統括本部からの連絡です。ただいま条件を満たした人間を確認しました。これより対象2名の最適化を開始いたします。完了時間は約2分となります。最適化項目は『共通言語』『環境適正』『魔力巡回路』になります」
しばらくは説明回が続きます。
設定考えるのって楽しいですね。




