僕と妖精さん(4月13日)
日比谷花壇によれば、エビネ。
花言葉は『気品』です。
https://www.hibiyakadan.com/hanakotoba/m04.html
僕はウィル、スフリー村の村長の長男さ!
次の村長になる予定だから、毎日毎日お勉強してるんだけど嫌になっちゃうよね。
いとこのアラン達は、いつも遊んでるってのにさぁ。
だからさ、時々逃げ出し……抜け出して、森の奥に入っちゃう事も有るんだよ。
そこには、僕だけの友達も待ってくれてたりするから……。
あの日もそうだった。
村の歴史の勉強が嫌で、厠に行くと言って森に逃げ込んだ。
獣といっても大きなヤツはこの辺りにはいないから、ちょっとだけ昼寝でもするつもりでさ。
森の中は薄暗かったりするけれど、所々に日差しの差し込むところが有って、僕だけの秘密の場所だった。
でもその日は珍しく先客がいて、それが妖精のリリアだったんだ。
驚いたよ。
妖精なんて、昔話にしか出てこないからさ。架空の存在じゃないかとさえ言う人もいるのに。
綺麗な金髪に、素敵な緑色の瞳。薄いピンクの服に、背中から生えてる、半透明な白い羽。
手のひらサイズの彼女は、間違いなく昔話の妖精さんだった。
顔もとても綺麗だし、僕に気付いた時の微笑みは、『こういうのを"気品がある"って言うのかな』って思ったね。
思わず見とれちゃったよ。
物語の人物になったみたいで、胸がドキドキしたのも覚えてる。
それから少し話して友達になれたんだけど、リリアは長生きで、かなり昔の事も知ってるみたいだった。
父さんや母さんが若い頃の話や、小さい時の話。じいちゃん や ばあちゃん が小さい頃の話もしてくれた。
もっと昔の事も教えてくれて、少しずつさかのぼってく昔話は、リリアが話上手なのも有って、とても楽しかった。
結局その日は、夜まで森の中にいて、皆に心配かけたし怒られたけど……。
それでも、僕はリリアと出会えて良かったと思ってる。
だって友達が出来たし、昔が有るから僕もいるんだって思えたから。
勉強って大事なんだなぁって。
それでも、やっぱり勉強が嫌で、リリアと遊びたくて、森に入ったりもするけどね。
リリアのお家は森の奥に有って、人では僕だけが教えて貰えた、秘密の場所。
誰にも言えないその場所で、しりとりしたり、最近の出来事を話したり、一緒に果物をかじったり……。
昔話の人たちも、リリアや仲間達と、こんな時間を過ごしてたのかな。
穏やかで、自由で、優しく包まれるような一時は、僕の宝物。
だけど、暗くなる前には帰るんだ。もう心配かけたりしたくないからさ。
それじゃあ、今日はもう帰るね。
また君と話せたら、良いな。
Wikipediaとか見て、ふと浮かんだ話にしました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%8D




