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序章
午後8時沢山の人達が行き交う駅。
使い潰して履けなくなった通学用の靴を新しく買う為に、街へ出て用を済まし、再び電車を利用して帰ろうとしていた。
駅の周りにも、人々は、溢れかえっていて、その間をスタスタと歩いていく。
高校二年生になって、まだ一月も経ってない篠原直也は、早く家に帰りたいという思いで歩いていたが、ふと自分の耳に聞こえた歌、そして歌詞に脚を止めた。
「これの歌、誰が歌ってるんだろ…。」
その歌声のする方に目を向けると、肩辺りまで伸ばした黒髪の女の子が、街の街灯に照らされた中、アコースティックギターを引きながら、目立とうともせず、ただ淡々と歌っていた。
直也は、路上ライブに興味はないし、普段から音楽を聴くことはあまりないけども、なせが気になった。
ただその少女の歌っていた曲の歌詞が、妙に篠原直也の心に響いて、つい脚を止めてしまったのだ。
「一人になっても歩んだ。周りのみんながいなくても。微笑みあって生きていた今日までを。そして明日を。」
彼女は歌う。




