第107話
部屋から出た真と優志。
おぼつかない足取りながらも真は優志の後ろについていく。
そして、急に優志が立ち止まった。
「さっきも言ったけどお前がそんなになるなんて珍しいというか初めて見たぞ。俺の親父ながらなかなか強かったみたいだな」
「……そうですね」
「ふっ、そうか」
後ろを振り向き真の様子を窺って話してきた優志に対し真はぶっきらぼうな感じで話を返す。優志はそんな真の様子など気にも留めず軽く笑ったと思ったら、前に向きなおすと再び歩き始める。
それからは道中得に会話もなく進んでいくのであった。
しばらく歩くととある部屋の前まで来た。
真も見慣れているクレールのある優志の部屋であった。
「とりあえず入れ」
扉を開けて中に入っていく優志が真に向かって言ってきていたが、真は慣れた部屋だ。躊躇もなく部屋に入っていく。
「扉を閉めたら適当に座ってくれ」
言われた通り扉を閉め真は座り慣れているソファーに座る。いつ来ても座り心地の良いソファーだ。
その間優志は部屋にある電話でどこかにかけている。
電話をかけて一分もしないうちに部屋の扉がノックされ中に男性が入ってくる。こちらの男性も真は何度も見たことがある。優志の秘書を務めている人だ。
優志は秘書に飲み物を持ってくるように指示していたようだ。真と優志に飲み物を置いていくと秘書はそのまま部屋から出て行った。
「とりあえずおめでとうと言っておくか」
優志は秘書が出て行ったと同時に飲み物に口をつけ話すとすぐに真に賛辞を送ってきた。
「…………どうも」
いつもであればそんなことは言わない、いや言ったことなどない言葉に真は多少の不信感を感じながらも素直に優志の言葉を受け取った。
優志も真の様子を感じ取ったのであろう
「そんな不審がらなくてもいいじゃないか? せっかく俺が素直に褒めてやっているのに。素直に受け取れよな」
「はぁ。わかりました」
「なんか納得してないようだがまあいい。ここに呼んだのは契約の事だ。もちろんお前はわかってきただろうと思うがな」
優志の言葉に真は頷いて答えを返す。それ以外に呼ばれる理由など真にはなかった。
「約束通りこれが誓約書だ」
優志はそういうと脇に置いてあったテーブルの引き出しから一枚の紙を取り出してきた。
真は立ち上がると優志からもらい受けそれをもって再度座り直す。
そして紙の書いてある内容に軽く目を向ける。
「間違いがないか確認してくれ」
優志に言われてソファーに深く腰掛けじっくりと目を通していく。
真は不審の点がないかじっくりと読んでいく。紙は何枚かに分かれており全部読むには結構時間かかりそうであった。
五分程経ったであろうか。真が読み進めるうちに不審な点を見つけた。
「これはどういうことだ?」
真は立ち上がり優志に詰め寄っていく。
真の行動を予想してたのであろう。薄ら笑いを浮かべて真を待ち構えているようであった。
「どれの事を言っているんだ?」
さもわざとらしく優志は真に聞いてきた。
それを見た真は怒りのメーターがかなり上がるのを感じながらも紙の書いてあるところを指さし優志に見せつける。
「ここの事だよ!!」
そこに書いてある事柄は真には許容しがたい無いようであったのだ。
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