第104話
会場は大歓声と一部の落胆の声が入り混じった声が響き渡る。
そんな中真は床に仰向けで倒れこむ。胸を大きく膨らませ激しく呼吸を繰り返す。そのままの状態で真はすぐに起き上がることなく体の休息をとる。
床に寝そべっている真に近づいて来る人物がいた。
優志だ
真に傍までくると真に手を差し伸べてくる。だが真はその手を直ぐに掴もうとはしなかった。真としてはどうで手を取ってしまえば起き上がらせられると確信していたのでそれはしなかったのだ。
だが優志はそれを許してはくれなかった。
優志は屈んだと思ったら真の手を取り無理やり起き上がらせてきた。
流石にそこまでやられてしまえば真としてはどうすることも出来ず諦めて立ち上がることをきめた。
「さっさと起きればいいものを……」
優志は真にしか聞こえない声で呟いてきた。まあ声を小さくしなくても会場は歓声が響いているのだから聞こえるはずもないのだが。
優志の言葉には表情を変えることなく真は立ち上がると自分の足でしっかりと立つ…………
事は出来なかった。
立ち上がった瞬間真の身体がふらつく。
倒れこみそうになったが傍にいた優志がすぐに真の身体を支える。流石に真もこの事態には安どした表情を見せ、優志も驚きの表情を見せていた。
「お前にしては珍しいな。そんなに苦戦したのか」
自分で相手を選んでおいてそれは無いだろうと真は思うが、それを口に出すことは無かった。そのまま優志の肩を借り真はそのまま会場を後にする。
自分の控室に帰ってきた真はすぐに部屋に置いてあるソファーに飛び込む。
真を部屋まで連れてきた優志はそんな真の様子を黙ってみていた。
そして時間がそんなに立たずに真の控室の扉がノックされる。
動きたくとも動きたくない真の様子を見ていた優志は真に何にも断りもせず訪ねてきたであろう人物を部屋に招き入れる。
真の部屋を訪ねてきたのは先ほどまで闘っていた優樹であった。
優樹も自分一人ではまともに歩くことができないようで、スタッフの男性に肩を貸してもらいながらも真の部屋にやってきていた。
「よく俺を倒してくれたな」
優樹は満面の笑みで真に話しかけてきた。真は応える気力もなかったのでそのままの態勢で黙っていた。
「まあお前の状況見たら俺もまんざらでもなかっただろ?」
優樹は続けて真に話しかけてくるが、真は一言も話さず頷くだけで留まる。
真の頷いたのを見て優樹は納得のいく顔をしていた。
そしてそのまま優樹は優志と話し始める。真としてはどっか他の場所で話し合ってくれと言いたかったがその言葉を口にするのも辛いほど消耗していた。
そのまま優樹と優志は5分程話していたが優樹も限界だったようでそのまま部屋を後にしていった。それに続いて優志の方も部屋から出ていく。
だが優志は出ていく直前に真がに対して驚きの言葉を残していった。
「色々と話したいことや聞くこともあるだろうが今はゆっくり休め」
優志にしては珍しくねぎらいの言葉を残し部屋から出ていく。
真は内心驚きもあったがようやく静かになった空間ができたことに喜びを覚える方が大きかった。
ソファに完全に横になった真は意識を手放そうと思った。だがそれは許してはくれなかった。
何故なら……
再度真控室を訪ねてきた人物がいたからだ。
部屋の扉をのっされた音を聞いた真はどうするか考えた。
休みたい思いで占められていた気持ちは訪ねてきた人物の言葉になくなることを余儀なくされることになる。
「はいっていい?」
部屋を訪ねてきたのは蒼空であった。
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