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神様からのいらない贈物  作者: ケンケン
戦いの終わりと闘いの始まり
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第103話

 真はひたすらに拳を放っていく。先程とは全く違い優樹はなすがままの状態になっている。何も反撃も防御をしない優樹に対し真の拳は迷いをおもいっきり乗せたものを放っていく。


 「そんな拳じゃ俺は倒せないぞ」

 

 優樹も真の迷いを感じ取っているようだ。優樹の言葉に真に動揺がはしる。

 その瞬間を優樹は見逃さなかった。


 真のはなった拳をマウントのとられた状態ながらもうまく体を捻り、そして腕を巻き込みながら慣性を利用しそのまま真と一緒に回転する。

 迷いや動揺にとらわれている真に優樹の行動を止めるすべはなかった。


 二人はそのまま転がり優樹が手を放し二人は離れる。そしてそのまま距離をとり二人ともすぐに立ち上がる。

 真はすぐさま距離を詰めようとしたのだが真にはそれができなかった。


 なぜなら真の視線の先。優樹が見える更に向こう側に蒼空の姿が映ったからだ。

 踏み出した足を止め。目に映る蒼空の姿を見つめる真。蒼空の方も悲しげな瞳で真の方を見つめている。


 構えていた優樹は真の様子に気が付いたのか闘いの最中ながらも顔を後ろを振り向く。

 そして、真と蒼空の状況にすぐに気が付く。


 振り向いた優樹はいやらしそうな笑みを一瞬浮かべたと思うとすぐに真剣な顔つきに戻り、真の顔をまじまじと見つめる。

 

 そして、優樹はありえない行動をする。

 今度は身体ごと振り返り蒼空の方向に向かってゆっくりと歩いていき、近づける距離の限界まで行き蒼空に向かって言葉を放つ。


 「邪魔するなや蒼空!! そこにいるのも邪魔のようだから視界からいなくなれや。わかったか蒼空」


 「…………はい」


 蒼空はそれだけ言うとその場から離れていき、会場の扉から出て行った。


 「これで存分にやれるだろう?」


 振り向いた優樹は笑みを浮かべ真に言ってきた。先ほどまで殴っていた名残だろう。優樹の顔はかなり血だらけになっており更に笑みを際立たせる格好になっていた。


 真は優樹のその表情を見て頭に血が上りそうになる。

 しかし真はその場ですぐに大きく深呼吸をする。もちろん自分を落ち着かせるための深呼吸である。


 「ああ。やろうか」


 真はすぐに行動を起こそうと思ったがその行動を自分にストップさせる。そして優樹の状態をまじまじと確認する。

 まあ、時間にしたら確認の時間など一瞬ではあるが。


 確認を終えた真はすぐさま優樹に向かって走り出す。走り出した真の右手の拳に力を込めて優樹に向かっていく。

 優樹の方は真が走って向かってくることに対して何か行動を起こすことなくその場から一歩も動こうとはしなかった。


 真は観察したことに対し、優樹の行動を見て確信する。

 すぐさま真は優樹に対し距離を詰めると走りから歩みに変える。そしてゆっくりと優樹に向かって近づいていく。


 会場からは真の行動に大きなどよめきが起こる。


 だが優樹はあきらめにも似た表情をしていた。そして真が彼我距離まで近づくと口を開いた。


 「なんだよ気が付いてたのかよ?」


 「…………」


 真は優樹の言葉に何も返すことは無かったが軽く頷く。


 「……そうか。じゃあ決めてくれや」


 真は右の拳をゆっくりと優樹の鳩尾らへんに持っていき溜めていた力を一気に開放する。


 完全に優樹の鳩尾にめり込んだ拳を優樹から離すと優樹はそのまま前のめりに倒れてくる。それを真はしっかりと受け止める。


 一瞬遅れて会場からは大歓声が巻き起こる。


 勝者のコールなど何もない。結果を知らせるのは観客の歓声。


 受け止めた優樹を真はそっと床に置き、それを合図に今まで周りを囲んでいた金網が上に上がっていく。

お読みいただきありがとうございます

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