第100話
何やかんやで100話までいくことができました。これもお読みいただいている皆様のおかげだと思っています。これからも最後までエタることなく頑張っていきたいと思います。
両者ともダメージが深刻のようで動かず回復に努めているようだ。
だがそれを観客は許すわけは無い。観客席からはブーイングが巻き起こる。しかし、二人はそんなことに動じることなく微動だにしない。
二人はどれくらい回復に努めていたのであろうか。先に動き出したのは真の方だ。いまだに肩の痛みに耐えているようで顔は苦痛で歪んでいる。
真の行動を見た優樹も立ち上がる。こちらも顔は苦痛で歪んでいる。
しかし、二人は向き合ったままその場からは動こうとはしなかった。
一瞬歓声が起こるがすぐさまブーイングに変わる。だが、そのブーイングもすぐに収まることになる。
真が行動を起こしたからだ。
しかし、真の起こした行動は優樹に向かっていくのではなかった。痛めている方の腕をおもむろに後ろにやったのだ。そこから腕を振り回しても優樹に当たることなど絶対にない距離だ。
向かい合っている優樹も怪訝な表情を浮かべる。しかし何かを思い至ったのであろうすぐさま驚愕な表情と疑問の表情がブレンドされたような顔で真に言葉を投げかける。
「お、おいおいおいおい。まさかお前……」
真は優樹の言葉など気にする様子もなく淡々と自分がやろうとしてることにベクトルを向けていく。そして、真は後ろに回した腕を身体を捻り大きく振り回した。
一回転した真は痛めた腕に目を向け、おもむろに肩から先を数回廻しだした。
「……まじかよ」
優樹の表情は驚愕に占められていた。
それもそのはずであろう。真は遠心力の力で外れた肩をはめたのだから。
真は優樹の様子など気にすることなくすぐさま次の行動に移す。
それは……
優樹に向かっていくことであった。
完全に虚を突かれた優樹は対応にロスができてしまう。
真は優樹に向かっていき、右腕を振りかぶり右フックを放つ。対応の遅れた優樹は大した防御もできないまま顔の左側頭部にモロに食らってしまう。真の攻撃はそれだけで終わるはずがなかった。
右腕を振りぬきすぐさま左腕も振りかぶり同じようにフックを放つ。
優樹は先に食らってしまった右フックの影響か左フックもモロに食らってしまう。
フックを二発食らった優樹はそのまま後ろに吹き飛び床に倒れる。
なおも真は追撃をする。先ほどのお返しとばかりにマウントポジショウンをとると息を突かぬ程の連打を優樹に浴びせていく。
だがそれは優樹にしっかり防御されてしまっていた。どうやら優樹は右フックで意識を失いかけたが左フックで覚醒に至ったようであった。
だが劣勢の状態には変わりない。真の連打を受けるがままになっている。
観客席からは今日一番の大歓声が巻き起こる。
戦っている二人にどんなに声を掛けようとも聞こえないほどの大歓声だ。
◇
蒼空はリングに向かって何かを叫んでいた。
だがその声は歓声でかき消されているようでリングの中にいる者には聞こえていない。
蒼空はどうしていいかわからなかった。
必死に声を出し叫ぶが聞こえている様子はない。それを悟った蒼空はその場に立ち尽くし瞳から一筋の光るものが流れる。
だが、それも一瞬
蒼空は後ろから肩を軽く叩かれる。
腕で顔を拭い蒼空は後ろを振り向く……
そこにいたのは…………
◇
真は一心不乱に優樹に拳を叩きつけていく。
防御されていることなどお構いなしにだ。
だがそれは真にとっていいことではなかったのだ。
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