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   ~死因検証②~

くだらないな~、とか思いながらも読みにきてくれてありがとう(^人^)感謝♪


さて、最終話です!

「それでね。


子供たちが、お腹が空いたと言うから、


何とかご飯を調達しなくちゃならないと思って、


人間が寝静まったころに台所目指して歩いていたわけよ。


台所に行けば流しに生ごみがあるじゃない。


運悪くゴミを捨てていたとしても、何かはあるわけよ。


だからさ、こっちも頑張って台所へと進むんだけど、


その日はテーブルの上からいい匂いがしてきたのよね。


あれは多分ポテトチップよ」




 ゴキ子さんは、ポテトチップが好きなんですか?




「あれは美味しいわ。特にコンソメ味が好きよ」




 詳しいですね。




「人間が食べるものは一通り食べてるからね。あなたよりも詳しいわよ。」




 そんなものですか。




「そうよぉ。


ところがね、あの日は、匂いはするんだけど、


残念ながらしっかりと袋が閉じられていて、何重にも折りたたまれてさぁ。


そのうえ輪ゴムでぐるぐる巻きにされてるじゃない。


さすがにどうにもならないわよ。まぁ、諦めも大事だからね。


それでテーブルを諦めて、初心にもどって台所へ進んだのよ。


ところが、あのトラ猫のヤツいやらしいじゃない。


寝ていた振りをしていたのね。私が台所に到着するよりも早く、


アイツは私に飛びかかってきたわけよ。


もうビックリして、悲鳴を上げながら逃げたわ。


何とか逃げて子供たちのところに帰らないと、


子供たちがお腹を空かせて待っているんだもの」




 それなのに、どうしてバックの中にいたんですか?




「あのまま逃げ惑っていたって、いつかはつかまると思ったのよ。


そこで、母親が毎日持ち歩いているバックの中に飛び込んだの。


本当に何も考えずに、とっさの行動だったわ。


さすがに猫がバックをひっくり返すことはできないし、


そこなら安心だと思ったのよ。最初はバックの中に手を入れてきたり、


鼻面を突っ込んできたりと頑張っていたけど、


結局無駄な努力だと気がついたんでしょうね。


諦めたようで、バックの前で寝た振りを始めたわ。


アイツが寝た振りをしてることは分かっていたから、


今バックから出たら猫のヤツの思う壺だと思って、


バックの中でじっとしてたの。


そしたら、いつの間にか眠くなってきちゃって」

 



 早寝なんですね。




「早寝って言うけど、さすがに疲れるわよ。ほっとしたら、眠くなるものよ」




 安心したんですね。




「そうね。気がついたら朝だったわ。


母親の声が聞こえて、娘の男みたないしゃべり方も聞こえてきて。


まぁ、朝からにぎやかだこと。


でも、これでバックからでたら、


今度は母親にスリッパで追いかけられるのは分かりきってるじゃない。


だから、じっと耐えたわよ。


我慢して、チャンスを待ったの。


そうしたら、温かいものがバックに入ってきて、


しかもちょうど私の真上に乗っかってきたじゃない。


これがちょうどいい感じにポカポカしてきて、


ちょっと重かったけど、その重さもちょうど良くて、また眠くなっちゃって」




 笑ってるけど、笑える話なんですか?




「笑えるも何も、いまさらどうすることもできないじゃない。


死んじゃったんだから」




 と言うことは、ゴキ子さんの死亡原因は……。




「ちょっと、冗談じゃないわよ。


この無敵のゴキブリさんが、一日くらいバックの中にいたからって死んでどうするのよ」




 じゃぁ、やっぱりトラ猫が原因ですか?




「猫じゃないわよ。


温かくて、気持ちよくて、気がついたらゆらゆらとゆれていたのよ。


それは、母親が仕事へ行く為にバックを持って外に出ちゃったのね。


焦ったわよぉ。


このままでは、家からどんどん遠くなるし、


子供たちとも二度と会えないんじゃないかと思うと気が気じゃなかったわよ。


でも、そこで飛び降りようにも、これもまた怖いじゃない。


万が一飛び降りて、踏まれたりしたらと思うと。


そこで一環の終わりじゃない」




 そうですね。




「もう、これはしょうがないって思ったわ。


母親は毎日出かけるけど、必ず家に帰るんだから、


しばらく待てばきっと帰るだろうと思ったのよ。


そう考えたら、また眠くなってさ」




 よく寝ますね。




「寝る子は育つっていうじゃない」


 


 まだ育ちたいんですか?




「それで、目が覚めたら今度は真っ暗でさぁ。


なんだか、暗いだけじゃなくて湿気の匂いもして、


私としては最高の環境なんだけど。


出ようかどうしようか悩んだわぁ。


ここでバックから出たらきっと最高の環境だろうなって、


そりゃぁ これ以上の誘惑はないわよ。


でも、そのときに脳裏をよぎったのよ。


子供たちの私を待つ可愛い顔。


どうしても帰らなくちゃって思ったの。


ここでバックから出て、遊んでいて母親が帰る時間に間に合わなかったら、


子供たちのところへ帰れなくなるじゃない」




 なるほど。母性本能ですね。




「母だからねぇ。


それでさ、じっと耐えたんだけど。


そしたら案の定、母親がバックを持って家に帰ったのよ。


内心嬉しかったわよぉ。


これで子供たちの顔が見れると思ったらさぁ。


後は夜中になって、人間が寝静まったら、


子供たちへのお土産を台所から持って行く。


それで全てはうまくいくはずだったのよ。


ところが、トラ猫がその夜もバックの前でじっと動かないの。


なんなんだろうねぇ、あの執念は。


結局、朝になって。


また温かい弁当にプレスされて、揺られて揺られて、気がついたら暗い場所で……。


以下省略って感じね。


これが五日も続いたら、そりゃぁ干からびるわよ。


喉は渇くし、毎日温かくて重いものが体に乗って、


水分が体から抜けるのが分かるのよ。


どんどん干からびて、子供たちの顔がどんどん遠くなるのよね。


気がついたら、庭に放り出されてたわ」




 気がついたんですか?




「言葉のあやよ。あんた、本当はバカでしょ」




 結構失礼なことを平気で言いますね。




「だから、死因は弁当による圧死かしらね」




 そうですか、結構地味な死因でしたね。


 ということで、ゴキ子さんの死因でした。




「ちょっとー。ゴキブリを見たらスリッパ構えるのやめてよねー」




ありがとうございました。

少しは笑ってもらえたかな^^

明日は、別の小説をアップします~


また、読みにきてくださいね♪

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